見出し画像

「3年で日本一の人事部にして」2年目の取り組み備忘禄② 人事部運営編

経営課題との向き合いを振り返った前編はこちらです。

https://note.com/oshima5555/n/ne19d05775a99

後編の今回は、人事部運営について書いていきます。

色々やってみて、実際どうだったの?

3月に出した下記記事を振り返ってみます。
ざっくり、何をしていたかというと、目指す人物像/キャリアパスを定義し、ジョブローテや評価プロセスにおいて人を育てていくという取り組みを開始しています。

人事部運営の具体的取り組みとその結果

下の画像は2022年に本部で実施した360度フィードバックの全体の分布で、行動評価で用いている4つのキーワードを元にスコアリングしています。

「明元素感」については、私が前職で叩き込まれて今も大切にしている言葉なのですが、この言葉がだいぶ浸透してきており、そういう人材が増えてきていることが非常に嬉しかったです。

一方で、「すぐやる」・「比較検証」については出来ていないという課題感を感じているメンバーが多いことがわかりました。

特にスタンスを明示したり、業務に対しての当事者意識が足りていないと感じている割が25%ほど存在していました。

DMMでは、日常的に「スタンス」という言葉が使われており、ここに課題感を感じているメンバーが多くいることは、真摯に受け止めなければいけないなと感じています。

●DMMにおける「​​スタンス」の考え方
“自分はどうしたいか”という経営層からの問いに的確に意志を示すことができる
・経営の自由度が極端に高いことにより基準となる的確な方針の提示が求められる
・オーナー企業であるが故に経営層に忖度せず事業に向き合う強い意志が必要
・意志や方針の裏付けとしてスピーディーに行動に移し精度を高める必要がある

「比較検証」については全体的に課題感を感じているメンバーが多いようでした。そこで人事企画のメンバーに「データ活用」に関する部内勉強会を企画してもらいました。

このデータ活用に関する勉強会だけでも4回ほど実施しており、2本くらい記事化できそうなボリュームだったりしますので、そのうちメンバーに書いてもらう予定です!

これ以外にも「言語化能力・合理的思考力」などを強化するために、戦略人事実践塾の番外編として人事部リーダー陣に対して、座学研修も企画してみました。

事前に収録動画で下記の内容をインプットしてもらったうえで、ワークショップをするようなやり方です。

・経営組織において、人が成長するとは、自律レベルを上げるということ
・自律レベルが高い=面白い・意義を感じる状態
・そのためには、仕事のなかで丁度いい「刺激」を生む必要
・自分に見合った刺激を見つけるために、ジョブクラフティング・ジョブデザインが必要
・ジョブデザインを効果的に進めるためには、上司との対話が必須
・以上のようにして、個人の自律を高めると、パラドックスが生まれ、放置すると組織は脆弱になる
・パラドックスの解消にも対話が必要なので、いずれにしてもフラットに関わり合う風土が必要だ
・組織学習っていう概念があって、企業にとっては結構大事
・とくにダブル・デューテロなどメタ視点の批判的学習が肝になる
・これらを阻害する要因は個人・組織構造・風土・外部環境など多岐にわたる

事後アンケートの声

●学術的なエビデンスもあり、内容についても腹落ちできる部分が多いと感じた
● 組織学習に関して体系的な構造理解ができた
● 今の自分で考えられていなかった視点を得ることができた。同組織内でも違う事業部を担当している方の意見も聞くことができて良い気づきになった
● 自身の組織や業務に置き換えてイメージしやすい内容だった
● 自分と自組織について見つめなおすいい機会になった
● 納得できる内容が多く、組織学習だけではなく顕在化していない問題についても改めて考える良い機会になった
●自分で言語化ができていなかった部分が言語化できた部分があると感じた
●部として課題に感じている部分を改めて考える機会になり、小さな成果でも良いので出していこうと思った
● 問題解決などへの取り組み方手法などの内容にて解像度の向上を感じた
● 自組織の目標設定やジョブデザインにフル活用するイメージが湧いた
● 研修を受けながら、担当の自組織でこんなことをしてみようと考えることができた
●即行動できる内容だと感じた。

教育に投資するのは部門責任者としては非常に勇気がいるなと思う一方で、こうした事後のアンケートが出てくる場を作れたこと、そしてその後の行動変容が少しずつ起きている実態を目にすることで、自分の進んでいる方向性や進め方にちょっとだけ自信を持てたりします。

教育に投資をしていくためにも、日々の予算管理や投資/コスト意識を強く持っていなければいけないため、改めて襟を正して数字と向き合おうとも思います。

もっと強いバックオフィスになるために

大きく方向性は変えずに、それぞれの内容をブラッシュアップさせながら継続して組織運営をしていきたいと考えています。

すでに取り組み始めているところで行くと、人事としての「専門性」と、それぞれの役割に求められる「経験値」、役割等級ごとに求められる「能力・コンピテンシー」をより細分化し、目標設定のタイミングで現状を上司部下双方が認識したうえで、この半期で能力開発すべき点をピックアップできるように設計し直しました。

私自身もHRBP組織のマネージャー、労務組織のマネージャーなど、あらゆる領域のマネージャーの評価を付けるうえで、目線合わせをしやすくなった実感があるため、有用に活用していきたいと考えています。

さらに、個々人だけではなくチームとして強くなるために、リーダー陣に2点お願いをしました。

1.「顔を合わせる機会」を設ける
2.細やかな「振り返りと共有」を増やす

変化が多い組織は心理的安全性が脅かされやすいので、チームメンバー間で信頼している関係性を保っていることは極めて重要です。

脳は、同じ環境下にいる時間が長いだけで、相手にポジティブな感情が湧いてくるようになると学術的に言われているので、「顔を合わせる機会」を設ける必要を意図的に作り出す必要性があると考えました。

人事部全体でルールを設けると破綻しそうだと感じたため、最小単位のチーム毎にちょうど良いバランスに合わせて設計してもらうことにしました。

また、チームでは小さな認識のずれが大きな勘違いにつながることがあります。そういったことを回避するためにも日頃のインプットとアウトプットにおいては、細やかな振り返りと共有を増やす必要性を感じていました。

これを増やしていくためには「全員、学習する意識を持つ」・「リーダーが学習機会を作る」ことが大切だと考えています。

では、どのように学習していけばよいのか?

基本的なことですが、アウトプットを習慣化することだと思っています。事実を要約して自分の考察をセットした上で、上司や周囲にレビューをしてもらう。

リーダー陣にはそのチェック・フィードバックのサイクルを意識的にやっていって欲しいと伝えています。 

このnoteも部内メンバーへ示しがつくように、ちゃんと書かなければと思って書いておりますw

またこの記事を最後まで読んでくださった方は、ぜひ感想・フィードバックお待ちしております!

これからの展望:日本一の人事部としてこれから何を目指すのか

より変化に強いバックオフィスを作っていくためには一人ひとりが「事業について理解する」ことが重要であると考えています。バックオフィスはどうしても機能組織になって仕事が型化されていることが多いです。しかし、会社としては売上のトップラインや営業利益を伸ばしていかなければならない。一番意識すべきことは「事業を伸ばすこと。そのために組織を活性させること」なので、人事業務においては採用にせよ育成にせよ「本当に必要な投資なのか?」などをしっかりと考える必要性があります。

「DMMの事業や顧客、現場の人たちは何に向き合っているのか?」ここをしっかりと理解すること、そして「一人ひとりが組織をどうやったらよりよくなるのか」、「人はどうやったら育つのか」、「マネジメントはどうあるべきなのか」を役職者だけではなく、全員知っておくことが相互コミュニケーションや現場向き合いにおいては重要だと考えています。そこを強化するためのアクションを各部長やマネージャーと検討していきたいと思っています。

繰り返しになりますが、我々が目指すのは、60事業17領域といった多角的なコングロマリット形の事業体を支える「日本一変化に強い人事部」です。

そんなDMMの人事部はすごいタフさが求められますし、課題も満載です。

ただ、単一の事業だけでなく、10や20の事業体の浮き沈みを間近で見ることができることや、それに関与し影響を与えることができることなど、人事担当者としての経験の幅を大きく広げてくれる環境があります。

このようなスピード感や手触り感をすぐに味わえるのが、DMMの人事部の魅力だと私は思っています。その結果、人よりも早く成長・進化をすることが出来るとともに、さらに新しい機会に巡り合う循環が生まれていくと感じています。

私自身が、そんなプロセスを通じて人事未経験から4年で3000人規模の会社の人事部長として抜擢してもらえています。

最近では、人事未経験者が3年で人事のマネージャーのポジションに就いていたりもします。

2019年11月DMM.comに入社 新卒でITメガベンチャーに入社後、大企業向けのHR領域のソフトウェアの開発およびコンサルティングに従事。 コンサルティングファームにて人事領域の業務改善に従事したのち、DMM.comに入社。 人事未経験ながら、HRBPとして、新規事業や子会社の立ち上げや会社買収後のPMIなど、事業ドリブンで「なんでもやるStyle」で組織作りを推進。「人事として事業に価値提供が出来ているのか」を日々自分自身に問いかけながら、現場と向き合う中で、徐々に人事らしさが生まれ、 2023年3月より新規事業を作っていく本部の人事マネージャーに就任。

DMM入社を決めた理由は「事業いっぱいあって飽きなくておもしろそうだ(人事やった事ないけどなんとかなるか)」と思ったこと。 実際に、関わる事業領域は、農業、医療、消防車や救急車の開発、サッカークラブ、チャットボット、パチンコ等、非常に多岐にわたっていながら どれも業界やビジネスモデルの面白さがあるため、飽きが来ることなどはないと感じている。

さらに、新しい芽として、若手のメンバーたちも人事未経験でありながら、事業の面白さや手触りある人事の仕事に面白さを感じてくれています。

つまり、入社以前のHRとしての経験は、事業に向き合う人事担当者にとってはそこまで重要ではなく、大切なのは事業を本気で良くしたいという思いや前向きな行動力なのです。

そのため、人事部においては常に若いエッセンスやエネルギーを取り入れながら、DMMの人事部をより魅力的な組織にしていきたいと思っています。

ただし、そんな未経験者を下支えしたり、導いたりするためにも、ミドルやシニアのポジションにはHRの専門性を持った人材も不可欠です。

内部登用のために学習機会の提供や教育体制にも力を入れ続けていきますが、組織のバランスを見ながら各専門領域のスペシャリストや、CHROや人事部長になりうる人材候補の採用も継続していく予定です。

内製で全部やり切ることは求めるスピード感に対して追い付かないことも多分にありますので、必要に応じて外部の専門家の力を借りながら専門性を保持していく必要性も感じています。

そのため、戦略人事実践塾といった取り組みを開始していたり、プロリクルーターを通じて外部の業務委託による採用支援も始めている状況です。

ジョインアス:我々とともに未来を創るチャンス

DMMが成長・拡大していく中で、我々人事部が変化しながら強くならねばいけないことは必然です。

DMMグループ全体の社内状況に精通し、日々の業務改善に取り組む意欲を持ち、正確で誠実な仕事を着実にこなす強い精神力を持った人々が我々組織の強みであり、安定基盤であると思っている一方で、

シェアードサービス組織として生産性や効率性を改善しながら、業務効率を向上させていくことや、データ基盤を整備しアナリティクス領域を強化していくこと。さらには、そんな組織をさらに引き上げてくれるマネジメントなど、まだまだ強化していかなければいけない領域が満載です。

HR Officeとは
人事戦略を人事部全体の総合知から検討し、策定する組織。
60事業の情報をタイムリーに収集し、難易度の高い意思決定が求められる中で、人事関連業務を統括し、経営視点と人事視点の両軸から人事戦略の策定を行う。戦略実行のための人事部マネジメントがミッションとなる。

機能別で縦割りになりがちな人事部組織を横断して動き回り、プロジェクト組成やナレッジ共有などを通じて人事機能の強化+底上げを担っている。

HRBP/事業部人事とは
担当事業の事業戦略・計画に合わせて人事戦略を構築し、実現に向けて推進する役割。推進するために、事業部の人事課題(採用・組織開発・労務)の解決対応を自分自身でリーダーシップを持つことも期待される。3-5名のユニット体制を敷いており、1ユニットで1本部(5-7事業部)を見る形をとっている。
加えて、事業立ち上げ時のディレクションやバックオフィスの調整や撤退時には速やかなサポートも求められる。後述するCOEの決定事項の実行部隊でもある。

COEとは
採用・給与体系・育成・制度など、人事の基幹機能の個別最適が進むなかで、全体的な視点から統制する役割を持つ。コーポレートとして一元管理を基本とし、事業間でのシナジー発揮など、横連携で束ねていくことがミッション。全体制的と個別最適の両輪を回せるよう、各セクションと補完や指摘をし合いながら、最適な形の模索が求められる。
DMMにおけるCoEは、一般的な企業と比較すると中央集権の色は薄く、「企画立案」よりも「運用」に重点を置かれている。如何に現場の組織運営やガバナンスに影響を与えていくかを考えた時に、企画の派手さではなく効果的に運用されることが重要だからである。

HR Shared Serviceとは
共通で必要となる業務を集約・標準化し、より効率的で質の高い実行を行うための組織。従業員のパートナーとして個々の声を聞き、意欲を高める役割も持つ。業務効率化、コスト削減、業務品質向上が主なミッションとなる。
人事領域の幅広いオペレーションを支える重要な役割。多岐にわたる人事業務の知識をもって現場や従業員への助言・対応を行うプロフェッショナル集団。今後は、子会社も含めたグループ全体を対象とし、最適化を進めていくことが求められる。

これからやりたい世界観を実現していくためにも、まだまだ人事メンバー募集している最中ですので、興味がある人がいましたら是非お声がけください!

あなたも我々とともに未来を創るチャンスを掴みませんか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?