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老若日記-その21-これからの井戸端会議は食べながらしよう

夕方の帰り道にスーパーの袋を両手に持ち、家に向かうおばあちゃんの光景を毎日のように見かけます。

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袋の中は、ニンジンやジャガイモや牛乳パック。すれ違うおじいちゃんおばあちゃんの買い物袋は、家まで運ぶには心配になるくらい重そうです。
そんな光景を見ると、いつも気になる疑問が頭をよぎります。

もしこの人が一人暮らしだとして、体調が悪かったり怪我をしたりしたら、ご飯を買いにいってくれる人はいるだろうか。

一緒にご飯を食べてくれる人はいるだろうか。

心配事①買い出しも一苦労「買い物難民」

「歳も歳なので、そろそろ免許を返納するんだ〜。」
ふと、福島に住んでいる親戚のおばあさんとの会話を思い出しました。
とても元気でおしゃべりが大好きなおばあさんなのですが、今年で80歳になります。自分で車を運転して、お買い物も買い出しもしていました。

事実、高齢者の事故が絶えないため免許証の返納が進められています。
身近なスーパーや商店街が残っている地域に住んでいる人はまだ安心ですが、車がないと不便な地域に住む方は多くいるはずです。

そんな高齢者はどうやってお買い物したらいいのでしょう。

バスや電車の利用も郊外に行くにつれ、本数も減ってお店も遠くなります。
このような食品の購入や飲食に不便を感じる方のことを「買い物困難者」「買い物難民」と言うそうです。

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心配事②高齢者に増え続ける「孤食」

「孤食」とは、文字の通り一人で食事をすることです。
高齢化が進み、単身家庭が増え続けているこの国では必然的に「孤食」も増加傾向にあります。

農林水産省の調べによると、週の半分以上もしくは一日の全てを一人で食べている人は約15%、2011年からは5.1%増加しているというデータがあります。
また「孤食」は偏った食事内容や食事量になりやすく、高齢者が低栄養状態に陥る原因にもなっています。

一日の全ての食事を一人で食べている「孤食」の状況
出典:農林水産省 平成29年度 食育白書(平成30年5月29日公表)

お買い物に行くのも一苦労、ご飯も一人寂しく食べる毎日。
自分がおばあちゃんになったら、どうなっちゃうのだろう…
このままの未来を想像すると、どんどん悲しい気持ちになってきてしまいました。

これからの井戸端会議は食べながらしよう!

悲しい気分のなか、こんな明るいニュースを最近みつけました。

出典:【公式】日テレNEWS

団地の空き室をお惣菜屋さんにするアイディアです。
販売されているお惣菜は、一人用に小分けパックされており野菜なども一緒に販売されています。
また一部は食堂になっており、誰かと一緒にご飯を食べることも可能です。お店の人とも顔見知りになることで、安否の確認も同時に行う事ができます。

この食堂をつくった経緯もとても今時で面白いな、と思います。
開業資金はクラウドファンティングで集め、改装や運営も住民の人たちでつくりあげられています。
住んでいる建物にこのような面白そうな企画があったら、自分もお手伝いしたくなってしまうな、と思います。
同じ建物に住んでいても、隣人の人と関わりを持つ事が少なくなってきていますが、改装やお手伝いを通して知り合いも増えそうですね。

・住民が減り、空き家が増える団地のスペースを有効活用
近所で野菜やお惣菜を少量単位で購入できることで、買い物の不便を解消
・友達や住民の人と一緒にご飯を食べて、孤食をなくす
・クラウドファンティングを活用し、自分たちでコミュニティの再生を計る

まさに一石二鳥どころではなく、一石四鳥!!
この食堂でご飯を食べる約束を4日前にして、楽しみにしていたというおばあちゃんの言葉が印象的でした。
誰かと一緒にご飯を食べる、会って話をする。
コロナの影響で思うように好きな人達と出掛けることが制限されている今だからこそ、より大切さが身に染みます。

お昼を食べるというささいな約束が、明日に繋がる大きな活力になったりしますよね。
ちょっと寄り道をして、おしゃべりをする。
井戸端会議は一緒に食べながら。そんな場所がもっと増えたらいいなと思います。

一緒に食べられるコミュニティづくり

生活の充実度と食事の満足度はとても関係が深いと思います。
いくら栄養のとれた食事でも一人で食べるのと、一緒に家族でご飯を囲んで食べるのとでは、満足感や幸せ感も変わりますよね。
最近では少しずつ、孤食をふせぐために自治体などが家族や友人、隣人と一緒に食べる機会を設ける動きも増えはじめているようです。

これからもっと高齢化が進むことが予想されている中、自分が高齢者になった時に、楽しく食事をして生きていける環境が当たり前になっていてほしいと思います。

最後に、20代の私が考える50年後にあったらいいなという高齢者のコミュニティについて妄想していきたいと思います。

「自分がおばあちゃんになったら、こんな井戸端会議がしたい!」
未来の井戸端会議、コミュニティを想像してみる。

皆さんは「ソーシャルアパートメント」という言葉を聞いたことはありますか。

シェアハウスにも似ていますが、個々のプライベートな時間や空間を確保しつつ、共有ラウンジや娯楽施設を入居者同士で楽しめるアパートが今少しずつ増えています。
私はこの「ソーシャルアパートメント」を『高齢者が入居できる』新しいコミュニティの場にできたら楽しいのではないか!と思いつきました。

まだ自身は健康で、毎日を謳歌したい50代〜高齢者の方を対象に、共有のラウンジやキッチンを完備したソーシャルアパートメントです。
歳の近い方と一緒に料理をしたり、ご飯を食べおしゃべりすることも可能です。
アパート内に食堂や食材の買い出しができる、小さなスーパーがあっても嬉しいですね。

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アパート内の施設や管理、お掃除といった仕事を入居者が積極的にアルバイトできたら、住みながら働く事もできるかもしれません。
近くの病院や介護施設とも連携することができれば、もしも要介護の状態になっても、すぐに助けを求めることが可能になります。
一緒に住むことで「孤独死」も「買い物難民」も「孤食」も減り、「コミュニティづくり」ができます。
アイデア次第でもっと、健康に楽しく暮らせるアパートができるかもしれません。

妄想していたら楽しくなってきました!
もし私がおばあちゃんになったら、こんなアパートに住みたい!

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