おっさん大学勤務医

40代半ばの大学病院勤務医です。 地方都市で生活に困らない程度の収入で、妻と3人の子供…

おっさん大学勤務医

40代半ばの大学病院勤務医です。 地方都市で生活に困らない程度の収入で、妻と3人の子供と毎日平和に暮らしてます。 ハイパーな先生の多い循環器内科で比較的ユルく生きてます。 モットーは自然体。 休日はゴルフかアマチュアオーケストラでバイオリン弾き。 趣味は学会旅行と寝当直。

最近の記事

戦勝祈願

某学会学術集会で神戸に来ました。 夕方一足先に学会会場を出て、明日の大一番の戦勝祈願に、楠木正成公ゆかりの湊川神社へ。 それにしてもセンタープラザはB級グルメの宝庫。一人飯には有難い。 明日は医局メンバーで食事会です。

    • 悪いのはどっち?

      先日愛知県の市民病院が、4年間の時間外勤務手当の支払いが不十分だったことを認め、その差額(計8億円)を支払うとともに今後の手当を見直すと発表した。救急患者を多く受け入れる、多忙な市民病院である。 「当直業務の際に時間外手当を払っていなかった」 職員に支払うべき手当を支払っていなかったなんて、何と酷い病院なのか!と思われるかもしれない。 法律上は夜間の救急患者対応(外来・処置・手術)を「当直」として扱うと「やや高めの手当」が発生する。一方で「宿日直許可」さえとってしまえば「

      • 宿日直許可ってナニ?

        読売新聞の記事、医師の働き方改革の中の宿日直許可に関する記事。 今日偶然目にしたものだが、これはマスコミには珍しく、本当に非常に正しい記事だと思う。 解説すると、 「働き過ぎ」とされる日本人勤務医の労働時間を制限するため、医師の働き方改革を来月から導入する。 いろいろ詳細なルールが定められたが、今回問題となっている「宿日直許可」の概要は以下である。 ① 当直をした医師は、その翌日は午前勤務までとし、午後は帰宅させなさい、これを守らない場合は管理者が法的に処罰される

        • 勤務医は他の業界のサラリーマンより好待遇なのか

          医者になったばかりの20年前は、同世代の他の業界の人の給料など知らなかった。 他の業界の友人はたくさんいるが、他人に給料を聞くことなどない。 そもそも私の妻も他の業界で働いているが、自分の妻の給料を知らない(笑) が、最近はSNSの発達で、年収チャンネルや給与明細買取屋などといったデリカシーのない記事(や動画)ができたので、他の業界の待遇が容易に分かるようになった。 勤務医の年収はこちらのリンクの通り。 まあ平均すると大体当たっていると思う。 このサイトにはいろんなデ

          稼いでいる人が威張らない文化

          雨の休日、朝から職場にきて、なかなか平日できない研究仕事をしている。 ひとり静かな医局の電子カルテの前で、自分のPCやファイルを広げて、患者データを整理する。 単純作業をする時はそれだけでは時間の無駄なので、必ずイヤホンで何かを聴いている。 何を聴いているか?最近はYouTube番組の中で「流し聴き」に適したコンテンツをあらかじめダウンロードしている。 よく聴いているのは、PIVOT、ReHacQ、高橋洋一、ホリエモン、中田敦彦など、政治、経済、国際情勢、ビジネス情報

          稼いでいる人が威張らない文化

          医療の値段は年々変わります

          今年6月からの診療報酬改定が発表された。 このNHKの記事を読むと、「初診料」、「再診料」、「入院基本料」引き上げ、人件費ベースアップへ、となっており、引き下げられた加算や管理料等に関しては一言も書かれていない。政府に忖度した情報操作が甚だしい。 実は今回、特に内科開業医にとっては渋い改訂となり、エムスリー(医師専用サイト)の掲示板は荒れている(笑) コロナ禍では発熱外来やワクチン等でお世話になる医師会(開業医)の機嫌をとっていたが、新型コロナがひと段落したので気を遣う

          医療の値段は年々変わります

          一大学勤務医のまったり休日

          好天の日曜日、犬山城へ。(多分初めて?)。 名鉄電車に揺られて木津用水駅で下車。 何も考えずにGoogle Mapの高評価で選んだお寿司屋さんが、非常に美味しくてコスパがよかった!昼間から日本酒も呑む。 そのまま30分歩いて犬山城下町へ向かいます。 犬山城下町をふらっと歩く。 そして国宝犬山城に到着、そのまま天守閣に上りました。 織田信長の叔父、信康が築城、その後城主は転々としながら小牧長久手や関ヶ原の戦いの重要拠点。 現在は国宝5城、現存12天守、日本100名

          一大学勤務医のまったり休日

          これって被災地支援?

          昨日、楽天お買い物マラソンが開催されていた。 2月に父、3月に母の誕生日、とちょうどタイミングがよいので、ふるさと納税で石川県の被災地域に寄付し、返礼品を実家に送り届けてもらうようセットした。 誕生日プレゼント、楽天ポイント、被災地支援と一石三鳥になった。 そんなプレゼントでいいのかって?毎年その場の気分で祝ったり祝わなかったりなので、親も大して期待もしていないので大丈夫。 本来なら見返りを期待しない純粋な寄付がいいんだろうけど、これは普通の家庭ではなかなか続くものじ

          これって被災地支援?

          救急車を有料化した三重県松阪市が今後どうなるか

          非常に興味深いニュースが流れてきた。三重県松阪市は、「救急搬送された後に入院に至らなかった患者」に関して、1人当たり選定療養費7700円を支払うことになったとのこと。この選定療養費が実質的に救急車利用料に当たるようだ。 このニュースをみて、「ついに来たか!」と思った。(良くも悪くも) 有料化に至った理由は「軽症例の搬送が多いこと」とのこと。 確かに基幹病院に勤務している医者は皆同じように思っているだろう。 タクシー代わりに救急車を利用する患者が何と多いことか。 軽症

          救急車を有料化した三重県松阪市が今後どうなるか

          「がん保険は要らない」は本当か、現役大学病院医師が考える

          経済評論家の山崎元氏が食道癌で亡くなった。 亡くなる直前のインタビューがホリエモン氏等のYouTubeに挙げられたばかりであった。 山崎氏は進行した状態で食道癌が見つかった 健康診断は全く受けていなかったとのこと。 そのうえで、やっぱり「がん保険は要らない」と主張している。 山崎氏は入院中は個室で原稿書きをしていたので、贅沢費としての差額ベッド代は必要だった。 しかし医療費そのものは、手術や抗がん剤にいくらお金がかかっても、一定額以上(その人の所得による)は高額医

          「がん保険は要らない」は本当か、現役大学病院医師が考える

          岡田康志氏とホリエモンの対談をみて

          岡田康志氏は灘中高、東大医学部史上最高の天才として有名。 私自身はその神童としての伝説は多く見聞きしたが、医学者としての講演を聴いたことがなかった。 これはよい機会、と思い、今日ヒマだったので一気に見た。 持ち前の頭脳を生かし、ちゃんと医学研究分野で大活躍されていた。 従来観察可能であったものより微小な物質やその動きを見るために、光学顕微鏡をアップデートされた。そしてこれを活用して「実際にミクロの世界をみる」ことによって未知であった様々な生命科学を解明された。 その

          岡田康志氏とホリエモンの対談をみて

          学会中に頭をよぎる今後の日本の医療費問題

          米国心臓病学会(AHA)で発表・聴講のためフィラデルフィアに来ています。いろんな研究結果が出て、本来医学の進歩を喜ぶべきなんでしょうが、米国に来ると物価の高さと相まって、いつもなぜか暗い気持ちになるのは次のような理由です。 今回の学会で、現在糖尿病のみに保険適応のある「やせ薬」を、糖尿病のない患者に使うと心血管病による死亡が減ることが証明され、「肥満は治せる病気になった」などと称賛されました。長嶋茂雄氏や小渕恵三氏が患った心房細動からの脳梗塞の、高価な新規予防薬 (Xa阻害

          学会中に頭をよぎる今後の日本の医療費問題

          米国で医師になるという選択肢

          今日素晴らしいツイートを見つけたのでコメントしたい。 本当に素晴らしすぎて・・・自分もこういう医者になりたかった(笑)。 自分は理系科目で稼いで医学部に受かったので、英語には苦手意識があった。そのうえ医学部に入ってからも最低限進級に必要な勉強しておらず、当然英語など全く勉強しなかった。ちなみに志高い同級生は長期休暇毎にホームステイしTOEFLで高得点を出して医学部の交換留学生としてハーバードやペンシルバニア大へ行っていた。 そんな自分が研究留学を志したのは、医者6年目の

          米国で医師になるという選択肢

          医者が病気を創りだす?(「若手医師の自殺から考える働き方問題」に関する記事を読んで(3))

          前回記事はこちら 勤務医の過重労働を解決する方法・・・ それは「医者を増やす」しかないと思っている。 前回述べたように、某団体などは「医者を増やす」ことに大反対している。 理由は、「限られた医療費を医者の人数で分けると一人当たりの取り分が減るから」。 そしてもう一つの医者を増やす問題点、極端に「購買者」の自己負担が少ない医療という特殊業界ならではの問題点・・・ それは 「医者は自分の生活が苦しくなると病気を創り出す」ところであろう。 例えばメンタルクリニックに

          医者が病気を創りだす?(「若手医師の自殺から考える働き方問題」に関する記事を読んで(3))

          「若手医師の自殺から考える働き方問題」に関する記事を読んで (2)

          (1)はこちらから 勤務医の過重労働が問題になっている。 なぜ過重労働に陥るか・・・それは業務量>>人手、つまり人手不足。 これを解決する方法・・・ 「医者を増やす」しかないと思っている。 ところが某利権団体などは「医者を増やす」ことに大反対している。 理由は、「限られた医療費を医者の人数で分けると一人当たりの取り分が減るから」。 事実ヨーロッパのイタリアやスペインでは医者の給料が安くて、または常勤としての働き口がなくて、タクシー運転手のバイトをしながら生計を立

          「若手医師の自殺から考える働き方問題」に関する記事を読んで (2)

          「若手医師の自殺から考える働き方問題」に関する記事を読んで (1)

          勤務医の過重労働が問題になっている。 なぜ過重労働に陥るか・・・それは業務量>>人手、つまり人手不足。 特に救急医療が問題である。営業時間に関係なく重症患者が押し寄せるのが救急医療。 初期対応するのは救急医師と研修医だがこれは「交代制」なのでよい・・夜勤後は休めるから。 しかし重症疾患患者が発生すると、外科(腹部、心臓、脳)、内科(消化器、循環器)などの専門医の出番となる。 例えば急性心筋梗塞のケースだと、まず循環器内科当直医がコールされる。一人では緊急カテーテル手

          「若手医師の自殺から考える働き方問題」に関する記事を読んで (1)