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夏納め

夏の名残はいつまで続くのか
気がつけば秋を飛ばして
冬がやってきそうな気配さえする

真夏のような
ぎらぎらとした日差しないものの、
太陽は空高く輝き
道ゆく私を照らしている。

行き交う人は皆一様に薄着で
未だ半袖で歩く人さえいる。
私はというと
薄いてろてろの長袖を
一枚だけ着ているのだが
どうも肌寒い。
格好悪いのだ
全然平気ですという顔で
やせ我慢しながら歩いている。


昨日、
食べ納めと真夏の名残の
スイカアイスを食べた。

今季発見したアイスで
赤い果実はシャーベット、
タネはチョコで表現してある。
さっぱりとした甘さが絶妙で
そういったものをあまり好まない私が
ついリピ買いしたほどだ。

私は冷たいものを
飲んだり食べたりすると
体の内側から冷えてしまって
途端に寒くなってしまう。
気管が弱いため
冷やすと咳が止まらなくなる。

次の夏までお別れだからと
昨日は粋がってアイスに手を伸ばし、
案の定咳き込む私を見る家族の目は
哀れみが含まれていたことを知っている。


小さな虫歯があって
通っていたクリニックの帰り道、
行きつけの八百屋さんで
野菜を大量に買い込んだ。
少し前まで葉物が高かったが、
値は落ち着いて
買いやすい値段になっていた。
小売店のことを考えたら
買うべしと思うものの、
以前パクチー1束500円を見た時は
めまいを感じ買うことはできなかった。

八百屋さんからの帰り道には
大きな公園を通る。
人々の笑い声、話し声に混じって
蝉の鳴き声が響いている。

——まだいたか

切なく儚く
季節外れの鳴き声は
よく響く。
週明けから気温が下がり
それ以降はもう『夏』は
さすがに来ないだろう。

蝉は鳴き納め。
私も今一度食べ納めと
帰ってからおやつに
あずきバーを食べた。

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