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我妻恵美子さん『おどる湯』:生命力と江戸の粋あふれる舞踏

ことし44件目はレトロな工場跡?倉庫跡?を舞台に上演された現代舞踊作品。研ぎ澄まされた素晴らしい舞踏(Butoh)に、衣装、美術、音楽、会場、人々、空気、地理的由縁…さまざまな要素が調和していました。

我妻恵美子さんの身体の端々からみなぎる生命力と江戸の粋は、いまだにわたしの瞼に焼き付いたままです。

🎭11月12日(日) 15:00
我妻恵美子『おどる湯』
北條工務店となり
https://agaxart.wixsite.com/agart/hokusai-manga-butoh

北斎漫画の世界観と江戸の銭湯文化を表現するのが、この作品のテーマのようでした(違ったらごめん)。

我妻恵美子さんのお衣装が、これまた銭湯好きにはたまらない素晴らしいものでした。青いヒラヒラしてる部分、なんとお風呂でからだを洗うナイロンのタオルでできているんですよ…‼️ 無造作に縫いつけられたようにみえるナイロンタオルが、踊るたびにフワァ〜ッ…もうね、謎に大興奮です。

この日はとても寒くて、会場内にはストーブが炊かれていました。それもまたムードを盛り上げている一要素だったかもしれません。

この公演の面白かったことのひとつに、コンテンポラリー舞踊の公演でまずお目にかかることはなさそうな、地元のオバチャン、オッチャンたちが、楽しそうにワイワイとみにきていたことが挙げられます。江戸町人文化を描き出すうえで、本物の向島の住人のみなさんが風景の一部を担っていました。

舞踊家ではないとおもわれる人々もたくさん出演されており、素晴らしいパフォーマンスをみせてくださったことも印象深かったです。一般の人の生まれもった面白みを見抜いて活かすのって、すごいことだよなあ。

折良くこの前日、わたしは歌舞伎座で坂東巳之助さんと尾上右近さんによる『三社祭』をみたばかりでした。これは江戸時代の人気キャラクターである「善玉と悪玉」の絡みを2人の役者が踊る演目で、江戸文化を身体表現に落とし込むという点では『おどる湯』と共通しています。2日続けて江戸の粋を堪能して、感慨深かったです。

この公演のホスピタリティの素晴らしさとして、日本語と英語でアナウンスの対応をされていたことも、とてもよかったです。外人コミュニティ(?)で暮らしてる者として、ありがとうってちゃんと伝えたいです。

しかしあれですね。いつも思うことがあります。これはわたしの勝手な妄想に過ぎないのですが、物心つく前からバレエや日舞を習わせて蝶よ華よと育てた娘/息子が、いつの日か暗黒側に堕ちて白塗りで踊り出したりしたら、親御さんはどんな気持ちになるのかね。。。

有望な表現者がこれからもいっぱい堕ちてきますように🙏🏻 ワクワク🎵


左に植えられている松?もなんだか良いムードを醸し出しています。

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