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建築なきまちづくり

 建築らしい話をしましょう。と言うのも先日ロンドンのある教会を改修したフードコートを見に行ったのです。しかしそこの空間を見た時に何か僕がこれまで優れた建築を見てきた時に得られた感動や、奥行きがありませんでした。空間自体は立派なのです。なんせ元教会ですから、迫力のある吹き抜けに美しいステンドグラスと空間のインパクトは十分です。教会が用途変更されたという特異性も十分に感じられるものでした。ですが何かが足りない。空間の細かい設計については触れません。僕自身具体的に設計のどの部分がこの違和感を作っているのかは掴めていません。重要なのは設計の良し悪しというよりもその背後にある思想にあると思うからです。ここにはまちづくりには建築がないという僕が学部時代からずっと感じていた分断の本質が眠っているように思います。僕は学部この頃所属していた研究室のまちづくりの活動に「これは建築じゃない」と当時建築について大した知識もない未熟者のくせに勝手にそう考え、積極的に参加していなかったように思います。社会的に意義があることとは思いながらも興味が持てなかったのです。ではまちづくりとは何なのでしょうか。建築とはなんなのでしょうか。今回は少し長話になります。


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