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南仏の山岳集落について整理し、近代都市計画の次のステージを考えてみる。【前編】山岳集落とは何か。

フランス南東部のエリアには古い山岳集落がたくさん散らばっています。一般に鷲ノ巣村や城塞集落と呼ばれているものです。ニース周辺のほぼイタリアのエリアです。先日そのエリアにある6つの集落をまわってきました。山の中に小さい集落がポツポツと点在しています。中世から残る古い街並みは美しく、そして力強く自然と対峙していてとても見応えがあります。しかし観光として見る分には良いのですが、現実的には中心市街地からバスで何時間もかかる上に、集落内の環境も近代的な整ったものではありません。日本では限界集落などと呼ばれ限界突破していそうなエリアですが、かなり子供を見かけたのが驚きでした。そんな場所でなぜ人は生活しているのか。人々は本当に幸せか。その美しさに必然性はあるのか。ただその美しさに魅了されるだけではなく、客観的な視点で見ていこうと思います。
 全体の章立てです。まず近代的な都市にはない山岳集落の特徴や成り立ちにについて触れます。次にそれを維持するための雇用を生み出す産業のあり方、人口を安定成長させる社会福祉サービスのあり方について考え、そして日本の地方再生などの文脈にも絡んでくる観光産業の議論、最後に近代的な都市計画のこれからについて集落での学びをもとに考えていこうと思います。原広司氏のような壮大な集落に基づく都市建築論ではありません。あれは天才の所業ですから。軽く浅い内容であることを始めにお詫びしておきます笑

Lucéramの入り口。川の流れる美しい集落。
Peille 地形が生み出す美しい連続立面

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