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デザイン事務所のデザインからプレゼンまで。

なんかこんな記事書きたいなと思っていた内容です。
デザイン事務所と大きく括ってしまっていますが、私の仕事の進め方です。
(他の事務所も大枠は大体は同じかなと)
まだ途中ですが完成まで時間が掛かりそうなのでこの段階で出しちゃいます。
ちょこちょこ加筆、変更、修正していければと。
ちなみにクライアントは法人が多いです。

①ご依頼
依頼をいただき、プロジェクト内容についての打合せ日程が決まったら、まずはその会社や社長について調べます。
ホームページはもちろん、社長が本やブログ、ユーチューブなどをやっていたら一通り目を通します。

②初回打合せ
まずはお客様の依頼内容をお聞きしながら、初回打合せ用の質疑シートがあるのでそこの項目を埋めていきます。
・場所
・新築or改装
・面積
・会社/商材の特徴
・目指したい空間イメージ
・空間に入れるコンテンツ(試飲、商品説明用モニターなど)
・必要設備/機能
・スケジュール
・施工会社様について(既に依頼予定の会社があるか、相見積はするか)
・予算
初回打合せ前にテナント図面、その他レイアウトに関わる情報をいただいていたら初回打合せにラフレイアウトを持っていくこともあります。

③契約
内容、スケジュールを加味し設計料のお見積を提出します。
了承を得た後契約を結びます。

④契約後〜プレゼンまでの流れ
契約後、プレゼンまでは下記のステップで進めます。
・ラフレイアウト提案
・修正レイアウト提案(この時点でレイアウトは確定させる)、白CG(テクスチャのない白いCG)
・デザインプレゼン(コンセプト、平面図、CG、マテリアル)

⑤スケジュール作成
ラフレイアウト提出に向け作業を進めなければならないのですが、レイアウトを進める前に先ずはスケジュールの作成を行います。
何事もスケジュール通りに進めることが好きなのでとりあえずスケジュールを作ります。
スケジュールを作ることで不要な焦りもなくなり、全体の流れを見通せるので今やらずとも後でまとめてやれることがわかり無駄な作業を省けます。
また、どのタイミングでどんな資料が出てくるかわかるためお客様も安心します。

⑥ゾーニング/ラフレイアウト
やっとレイアウトの検討です。
飲食店の場合は施設側で排水位置が決められており、テナントの排水はそこに接続しなければいけないため、キッチンやトイレなどの水回りの位置が制限されます。
そのため水回り位置を先に決め、その後商品棚や座席などのレイアウトを考えることが多いです。
また飲食店の場合、必要な厨房機器が決まっていることが多いため厨房機器のリストがあればそれをもらい機器がきちんと入るようレイアウトしてきます。
その他席数やトイレの有無、ストックルームの大きさ、商品棚の数もレイアウトを進める前に確認しておきます。

レイアウトですがいきなりカウンターやテーブルを図面に記載していくのではなく、私の場合は使われ方毎に図面に丸を描いていきます。
正しい定義はわかりませんが私はこれをゾーニングと呼んでいます。
最初はざっくりと大きな丸から始まり、用途毎に小さな丸を書き足し細分化していきます。


ゾーニングイメージ


「ダイニング」のように使われ方を指した名詞で考えるのはNGです。
その名前をつけた時点でダイニング以上の機能はそこには生まれません。
いただいた条件を満たしながらゾーニングをいくつかつくっていき、デザイン的にも良さそうなものには壁やカウンター、テーブルなど少しずつ具体的な要素を書き込んでいきます。

ゾーニングは区画によっては数パターンでラフレイアウトに持っていくこともありますが、大体の場合は10〜20パターン描きます。
書かずに思考の中で消去したものもあるので検討パターンは30案くらい考えます。
経験を積む内に描かずとも良くないレイアウトがわかってくるので段々書くパターン数は減ってきています。

そうしてデザイン、オペレーションの考えなどの違いのあるラフレイアウトをまとめ、3パターンくらいを提案します。

ラフレイアウト(パターン1)
ラフレイアウト(パターン2)
ラフレイアウト(パターン3)

残りレイアウト提案〜プレゼンまではまた書き足します。

2024/2/20追記
⑦コンセプト作成
コンセプトは契約締結後、ゾーニングと同じタイミングでつくり始めます。ちなみにコンセプトとは、「企画・広告などで、全体を貫く統一的な視点や考え方。(広辞苑)」です。

なぜデザインにコンセプトが必要かというと、
・デザインの理由を論理的に説明できることでクライアントに納得してもらいやすい。
・目指すゴールが明確になることでデザインがしやすくなる。
・コンセプトという縛りがあることで創造性が発揮される。
からです。

コンセプトのつくり方はプロジェクトにより違うのですがどの案件にも共通しているのが、
①兎に角調べること。
・会社について深掘り
・既に店舗を持っている会社様なら自社の他店舗について
・他店のデザイン
・出店するまたは企業縁の地の特有の伝統工芸、素材(木、石、土、金属など)
・出店するお店の特徴と共通の特徴をもつ他のもの
・その他お客様との会話の中で出てきたキーワードについてもコンセプトになりそうなものを調べる。

②それらを理解しプロジェクトに適した一言にまとめること。

この2点はどのプロジェクトにも共通しています。

鋼の錬金術師で錬金術の基本は、理解・分解・再構築という話が出てきますが、デザインも同じだなあと思いました。
上記のコンセプト作成の工程がまさに理解・分解・再構築って感じです。

1回目のコンセプト打合せの様子。
それぞれが調べてきたことを共有しながら考えを積み上げる。

⑧コンセプトを空間デザイン要素へ変換
コンセプトだけでは空間はできないので、コンセプトを空間をつくるための要素に変換します。
空間は主に以下の要素で構成されています。
・空間の構成(レイアウト)
・形
・素材
・色
・ディテール
コンセプトから要素を抽出し上記5つの空間要素に変換していきます。
下記の資料は上記5つの構成要素と少し違いますが、大体こんな感じにまとめています。

コンセプトから空間構成の各要素に変換する。

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