見出し画像

【最強の初デート】ソロモン諸島の秘境ティロトンナ村へ

こんにちは。或るサー夫婦の「ツマ」です。
私達夫婦は日頃からロングライド、冒険旅、ボディービル(オット)、トレイルランニング&ウルトラマラソン(ツマ)など非凡な日常を繰り広げ、その様子をnoteで発信しています。

そんな私達ですが、実は結婚どころか出会って間もない頃から冒険旅の歴史を紡いでいます!

2023年はそんな私達の過去編もお送りしていきます。

その第1弾!
記憶を呼び起こしながら書き綴り、やっとリリースできます!(涙)

つぶやきでも予告していた、最強の初デート編です。

その栄えある行先は・・・

ティロトンナ(Tirotonna)村!

(どこ?)

I. ティロトンナ村ツアー決定までの経緯

ティロトンナ村ってどこ?って話ですが、
南太平洋に浮かぶ国「ソロモン諸島」にある、とある村なのです。

なぜにソロモン諸島かというと、
実は私達はJICA海外協力隊のOBOGで、ともにソロモン諸島に派遣された先輩後輩です。

ソロモン諸島は2500以上ともいわれる島々が寄り集まった国です。
一時は最大40名ほど派遣されていた隊員がそれぞれ各地の島に散らばって活動していました。

未来のオットとなるAくんと未来のツマの私も別の島で活動していました。

ある日、任期満了を間近に控えた先輩隊員のAくんが、休暇を利用して私の活動地に遊びに行きたいと連絡してきます。

自分の任地に興味を持ってわざわざ来てくれることは隊員にとってとても喜ばしいことなので、もちろんOKして、おもてなし旅程プランを練ります!

・・・が、しかし!

案内できるところがないっ_| ̄|○

お腹を空かせた隊員を満たすオシャレストランがあるわけでも見どころ溢れるリゾート地があるわけでもない・・・

どうしたものか・・と考えあぐねた末に思い立ったプラン。それが

ティロトンナ村ツアーなのです!!

現在、ソロモン諸島の民族の多くは海辺で生活しています。
海の幸がありますし、貨物船の往来で物資の調達も便利だからです。

しかし私が住み、活動していたサンタ・イザベル島は事情が異なります。
過去にソロモン諸島にいた「首狩り族」がサンタ・イザベル島に来襲し、島民はジャングルの中へ中へと逃げていきました。
その名残で今でもジャングルの奥深くに住み続けている人々がいるのです。

(地元の人なら気合入れればちょいちょいジャングルを抜けて海辺の町に来れるので、文明から隔絶された民族ではないです。Tシャツ着て、ビーサン履いています。)

ティロトンナ村はジャングルの中にある村の1つで、私の活動地から最も近い場所に位置しています。

標高は高くありませんが、その道中は日本のように整備されていないため足場が悪く、急こう配なので、誰かれ構わずこのツアーを提案するわけにはいかないのですが、未来のオットAくんは私から見てタフなイメージが強かったので問題なかろうと思い話してみました。

すると好奇心旺盛な性格のAくんは「ぜひ行きたい!!」と力強く答えたので、このツアーの決行が決まりました。

II. 登山口ブアラへの行き方

未来のオットAくんの活動地は「チョイスル島」でした。

チョイスル島とサンタ・イザベル島は距離こそ近いのですが、2島をダイレクトで繋ぐ公共交通機関がありません。

そのため、Aくんはひとまず首都のホニアラ(ガダルカナル島)に上京し、サンタ・イザベル島の州都かつ私の活動地であるブアラに向かいます。

ホニアラからブアラにくる方法はおもに2つあります。

まず空から来る場合。
ホニアラのヘンダーソン空港(戦時中に日本軍が作りました。)の国内線ターミナルから1日1便、週に4便の直行便が出ています。
無事に乗れたら40分ほどでサンタ・イザベル島のフェラ空港に到着です。

ただし悲しいかな、これには大きなトラップ(?)があります。

まずこの飛行機の搭乗可能数は18名。
当日の搭乗数が上限を越えると乗ることが叶いません。

しかしそこは大丈夫。
基本的に上限数をオーバーすることは無いのでこれはイイのです。
(チケット代が現地人には手が出ないほど高額(片道2万円弱)なので、公職者かJICA関係者しか乗りません。)

最大のトラップは天候です!
なんとフェラ空港の滑走路は舗装されていない原っぱなので、雨が降ると着陸できないし、離陸もできません。
そのため、ひとたび雨が降ると、その日は欠航になってしまいます。
体感では就航率5割くらいでした。

フェラ空港の滑走路と飛行機

空がダメなら海で攻める!
というか現地の一般人は船で往来しています。(片道5000円ちょい)
しかしこの船、旅客船ではありません。

貨物船なのです!

甲板の地下に荷物を入れて運行している船に、人も乗りこむのです。
そのため基本的に座席はなく、甲板にシートを敷いて雑魚寝をしたり自分の荷物に腰を下ろしたりして船内を過ごします。

貨物船の船内

その所要時間に驚くことなかれ。

直行便こそ8時間程度ですが(それでも長い)、荷物の積み下ろしをする経由地が多ければ多いほど船にいる時間は長くなります。

10時間以上はザラ、ひどい時は24時間以上かかることも。

そしてこの貨物船は不定期便なのでいつ就航するか分かりません。
船会社の事務所に問い合わせたり現地の人に聞き出したりしてやっと利用できます。

ティロトンナ村への玄関口でありサンタ・イザベル島の州都ブアラに行くことさえも困難であることが分かっていただけるかと思います。

脱線しましたが、未来のオットAくんはというと、

飛行機で来ることができました!!
(自称晴れオトコ)

帰りは晴れの日を待って(笑)、飛行機で帰りました。

III. 危険すぎる?登山条件

ブアラからティロトンナ村への道のりは私一人では案内できないので、同僚で親友のアネーラにガイドを頼みました。

運が良いことに、Aくんがブアラに滞在している期間中に数年に1度の国会議員の総選挙があり、ソロモン人はそれぞれ自分の登録地域の投票所に行かねばならず、アネーラはそれがティロトンナ村でした。

アネーラは投票日前日の昼頃に出発するということで、私達もそれに便乗した次第です。

しかしです。
登山日当日の早朝にバケツをひっくり返したようなスコールが。

ティロトンナ村への出発が昼だったので、朝は職場に出勤しました。
こんな状況で出立できるのか?と仕事をするアネーラにおそるおそる聞くと、

「私は明日投票なので行かざるを得ない。でも貴方達は本当に行くの?」

足下が悪いティロトンナ村までの登山道を雨の中行軍するのは少々気がかりでしたが、このチャンスを逃せばAくんはおそらく一生ティロトンナに行くことができない。
わざわざブアラにまで来て、ティロトンナに興味を示しているAくんの期待に応えたい!

と思い、同行させてもらいたい意思をアネーラに伝えました。

アネーラは「物好きな日本人もいるものねえ」という具合に苦笑いしつつも引き受けてくれました。

IV. ソロモン人のホスピタリティ

11:00
出発準備のため、アネーラと私は職場を早退してそれぞれ自宅に帰ります。
アネーラからは「12:00に合流ね。連絡するわ。」と言われるも13:00過ぎても連絡なし。

これが俗にいう「ソロモンタイム」です。

しかしこのソロモンタイム、ただ時間にルーズというばかりではなく、12:00にはまだシトシト降っていた雨が13:00にはすっかり止んで晴れ渡ったので、天候を見て出発を遅らせていたのかな、と思っています。

13:30
アネーラから連絡があり、Aくんと一緒に待ち合わせ場所に向かいます。
そこにはアネーラとともに娘二人(当時7歳と3歳)も一緒でした。

ティロトンナへの登山口に向かう道中には、アネーラと私の同僚であるベロニカが家族経営する商店があります。
アネーラはそこに立ち寄り、大きなボニート(かつお)を購入。

当たり前ですが、ジャングルに住む人は魚を食べません。
タンパク質は小動物や持ち運びに便利かつ手軽に調理できるツナ缶で摂取します。
これから険しい道中を登るというのに大きなボニートを買ったのは、夕食に私達二人をもてなすため。

ソロモン人には数え切れないほど面倒見てもらいましたが、そのホスピタリティには毎度頭が下がります。
本当にありがとう!!!

V. 第一関門・氾濫した小川越え

13:45
今朝からのドシャ降りによる影響により登山口に向かう私達の足は早くも制止を強いられます。

いつもはなんでもない小川が、氾濫間近になっている・・!

小川(?)

しかし登山口に行くにはどうしてもこの川を渡らなければなりません。

一直線に詰まれている岩の上を慎重に歩くしかない・・・。
アネーラは3歳のマッオを背負って渡り、7歳のサイリーンは誰よりも果敢に、そしてAくんと私はアネーラやサイリーンから「レフト!!」「ライト!!」などと指示してもらいながら慎重に、一歩一歩進んでなんとか第一関門を突破しました。

道中でここが一番肝を冷やした場所かもしれません。

VI. いざ、手つかずのジャングルへ!

14:30
さあ、ここからがジャングルの始まりです。

登山口(後日撮影)

え・・?ここ?!
と聞き返したくなるほどうっそうとした登山口から入山する頃にはどこからともなく仲間が増え、10名ほどのパーティになりました。

私は以前に一度ティロトンナに行ったことがあるのですが、その時の記憶にはない土砂崩れ(?)でえぐられた道や今朝の雨での水が小川のように流れる場所をかわしながら急斜面を登ります。

そんななか7歳のサイリーンは大きな荷物を持ちながら誰よりも早く駆け上がり、3歳のマッオも裸足で確かな足取りでズンズン進んで感心しました。

えぐられた道
小さい背中が頼もしい
大人たちも頑張る!

道中、Aくんはipadで邦楽を流していました。
セトリはアラサー世代丸出しの「HOT LIMIT」「楽園ベイベー」「ココロオドル」など2000年代のラインナップ。
ノリが良い曲ばかりだったのでソロモン人も喜んでいました。

14:45
ティロトンナへの道中で一番の難所である崖に到着。
この崖はほとんど直立しており、四肢全体を使って体を支えないと上に登れません。
(少なくとも私達は。)

サイリーンは楽勝で上る
大きな岩の上は滑りやすいので慎重に
ザ・ジャングル

15:45
かなり上まで登り、空港があるフェラ島が一望できました。

手前がフェラ島。ブアラへはボードで渡ります。

16:00

ティロトンナ村到着!!

手前がキリスト教の教会。奥のトタン屋根がアセンブリー(集会所)
奥へと村が広がっています
新しい屋根を乾かしています
キレイに整備された村

VII. ティロトンナ観光ツアー

ティロトンナ村では、アネーラの旦那さんが単身赴任で小学校の先生をしており、この日はその宿舎に泊まらせてもらいます。
(旦那さんは投票のために地元に帰省中。)

背負ってきた荷物を宿舎におろすやいなや、アネーラは休む間もなく部屋の掃除やら寝床のセッティングに取り掛かります。
ティロトンナ村は電気がないので、やるべきことは明るいうちに済ませないとならないのです。

この家の間取りは、三畳くらいのダイニングと、やはり三畳くらいの部屋が3室。
この宿舎は政府から割り当てられているので、ヤシで作られた現地人の住居とは違い、加工された板で建てられています。
アネーラと娘二人で1室、Aくんで1室、私で1室という割り当てで、それぞれ寝床の準備をしました。

その後、サイリーンが「村を案内する!」というので、ついて行きます。

宿舎の正面には「ティグバコ小学校」があり、奥に進むと大きめの建物が2つ並んでありました。

これはただの住居ではありません。
ティグバコ小学校に通う子どもたちの「女子寮」なのです!

奥が女子寮、手前のトタンが炊事場

ティグバコ小学校の児童は「ティロトンナ村」のほか、「グレナ村」「バラ村」「コロモラ村」の子どもたちが通っており、学校名は村々の頭文字をとっています。

ティロトンナ村とグレナ村に住む児童は徒歩で通えるのですが、バラ村やコロモラ村に住む子どもたちは毎日歩いて通学することは不可能です。

そこで親元を離れて寮生活をし、週末に地元の村に帰るのです。
子どもたちの食事は、トタンの小屋の炊事場で、自分たちで用意します。

「こんな子どもたちがいるなんて・・・」

Aくんが感嘆しながらつぶやきます。

女子寮反対側から撮影

さて、更に進んで小山を越えると、ぽつんと一つだけ家が建っています。

これ、アコモデーション(宿泊施設)だそうです。

アコモデーション

ここからの眺めが素晴らしく、島の反対側の海まで見渡せます。

そして手前に広がる広大なジャングルの所々で雲のようなもやが漂っており、サイリーンいわく、そこに村々が存在するのだそうです。

この大自然の中にも人々の生活があると思うと、人間の強さを感じます。

広大なジャングルの中に人々の生活がある
ちなみに男子寮

VIII. 二つの人生の交わり

17:30
宿舎に戻るとアネーラが食事の準備をしていました。
立派な炊事スペースは一般人は持たないので公職者の特権です。
(ちなみに家の外にトイレがあります。これも普通はありません。)

Aくんがアネーラに「米とぎ手伝う!」と言い、サイリーンとマッオがきゃっきゃ言いながらその後をついて行きます。

立派な炊事場
良い笑顔を見せられないのが残念

洗い終わった鍋をアネーラに渡して、米を炊いてもらいます。

18:30
料理はほとんど完成しているのですが、食事の前にスイム(水浴び)を済ませるのがソロモン流。

先に子ども達が簡単に済まし、私、Aくんと順番に水浴びをします。
水は先ほどAくんたちが米を研いだあの場所です。

辺りは真っ暗。
懐中電灯一つ灯して石鹸などを足下に置き、あとは大自然の中で全裸になり、髪と身体を洗います。

19:30
みんな揃ったところで待ちに待った夕食!
Aくんが持参した巨大ライトを部屋に取り付けると全体が照らされますがそれでも薄暗い。

その中で、みんなで床に座って食事を囲みいただきます。
メニューはココナッツミルクで煮たボニートと白米、そして蒸したクマラ(さつまいも)。
ボニートと白米はブアラで調達したものなので、日常のティロトンナでの生活ではありつけない豪勢な食事です。

ソロモン諸島ではココナッツミルクを使った料理が多いのですが、どれも美味しい。
疲れた体に沁みわたりました。

ミルキム(ココナッツ煮)は南国風シチュー

20:30
食事が済んだら、サイリーンとマッオはすぐに寝てしまいました。
食べ終わった後の食器は明日、朝日が上ってから洗うので、部屋の端にまとめて置いておき、アネーラも床につきます。

Aくんと私だけが3畳ほどのダイニングに残り、小声で今日のツアーの感想や雑談を交わしました。

その話の中で、はっきりとは言いませんが、Aくんが私に好意を伝えてくれていることを感じ取り、私もAくんのことが気になっていたので、

「よろしくお願いします。」

と私から言いました。

すると「え!いいの?!」と驚いた様子のAくん。

後で聞いた話ですが、私達は活動地も違えば、先輩後輩の仲であまり話す機会がなかったのでちょっと自信がなかったそうな。

でもフィーリングが合えば関わった時間の長さってあまり関係ないんですね(しみじみ)。

そしていよいよ寝ますか、となり、
Aくんが「ライト取ってくれる?」と私に言います。

私はAくんが食事前に取り付けたライトを背伸びして外し、振り返ってAくんに渡した瞬間、Aくんがパッとライトの明かりを消してギューッとしてくれました。

これによって破天荒(?)カップルが1組出来上がってしまったのでした。

IX. 国を挙げた総選挙

7:30
起床すると昨日とはうってかわって快晴です。

朝食はソロモンのお決まりであるビスケットとミルクティーをいただき、のんびり朝を過ごします。

その後サイリーンに連れられてアセンブリーに行き、地元の子どもたちと駆けずり回って遊びました。

9:30
アネーラが投票に行くというのでついて行きます。
アネーラのように公職にあるソロモン人は、現地語はもちろん公用語の英語も堪能ですが、現地の多くの人は文字の読み書きがままなりません。

これは話せば長くなりますが、現地語には文字がないので公用文書は英語で表記せざるを得ないのですが、英語を話さない現地人にとってそれは意味が分からないものです。(文字を書く文化も近年までなかった。)

という事情により投票は文字を通じては不可能なので色とイラストで行います。
候補者一人一人に色とイラストがあてがわれており、投票用紙に示された色とイラストの組み合わせを選択して投票するのです。

投票し終えたら、その証として数日間消えないインクを手に付けられて終了です。

投票所にはソロモン諸島ではなかなか見かけない行列ができていました。

投票所に向かう人々
投票所

12:00
さて、いよいよ下山の時です。
この日は週末だったので、アネーラとサイリーン、マッオはティロトンナに残るとのこと。

そこで私達と同じタイミングで下山するカップルをアネーラが紹介してくれ、二人についていきました。

上りは1時間半弱かけて登りましたが、下りは1時間もかけずに降りてこられました。
その間、Aくんは3回ほど、私は1回滑ってすっ転びましたとさ。

フェラ島に食らいつくオットならぬAくん

■お願い
この記事を読んでティロトンナに行きたい!と思った方がいると思います(いるかな?)
それは大変うれしいのですが、決して無断で凸らないでください。

ソロモン諸島は首都ホニアラ以外の町はどこも小さく外国人はいません。
そのため、知らない日本人が突然現れると現地の人々は驚いてしまい、最悪、あなたが危険な目にあう可能性もゼロではありません。

行きたい!と思われた方はまずは以下に問い合わせてみて下さいね。

▼ソロモン諸島政府観光局日本事務所

▼Tourism Solomons


* * *

お気軽に「スキ」「コメント」をお願いします♪

こんにちは。
或るアラサー夫婦の非凡な日常の「ツマ」です。
今回の記事をお読み下さりありがとうございました!

私達夫婦はソロモン諸島という南の島で出会いました。
体力をあり余らせている私達は夫婦で冒険旅をしたり、ボディービルダーを目指して筋トレに励んだり【オット】、マラソンにハマったり【ツマ】と非凡な日常を送っています。
このアカウントでは、その暮らしぶりを記事にしてまとめております。

お気に召していただけましたら、ぜひ「フォロー」をお願いいたします。

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?