ナスミィ

家で療養する時の過ごし方を選ぶためのヒントや、私が関わらせて頂いた方々が何を大切にして…

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家で療養する時の過ごし方を選ぶためのヒントや、私が関わらせて頂いた方々が何を大切にして、どんな生き方をしたかをお伝えしていきます。ちょっとした困りごとがある方も覗いてください。

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私がnoteを始めた訳

noteを始めて半年が過ぎました 何故、書き残そうとしたのかを改めて考えてみました。 訪問看護師という仕事を通じて、療養する方の人生最期の大切な時間に一緒に過ごす経験をさせてもらい、伝えられたものを残したいという気持ちが始まりでした。 本人も家族や周りにいる人たちもエネルギーを使うその時、とても大きなもの、それは この後を生きていくための力になるもの、を頂いているのだと感じていました。 私が力をもらったように、その大きな力は、だれかの力になってくれるのだと信じたい。

    • 仕事のこと

      考えてもいない想定外の現実は、受け入れがたい。変えられない事実を変えたいと思ってしまう。でも、病気は待ってはくれない。 医療の現場では、答えのない深い悲しみの底に、今にも沈んでしまいそうな方と出逢う。 そんな時に、少しでも力になれるのであれば、寄り添わせて欲しい。 そんな思いで、たくさんの方々の大切な人生の尊い時間を一緒に歩ませてもらった。 母の1周忌を終えた2021年12月から始めたnote。その約1ヶ月後に父も病気で亡くなった。 生前母は、休日に私の仕事の電話が鳴る

      • 日常の中にあっていい

        生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Cさんは70歳代の男性です。 急な腹痛で救急外来に行って一旦帰宅しましたが、腹痛は治まらず、消化器外来を受診して胆のう炎の診断で入院しました。 胆のうから管を入れて、絶食なので栄養を点滴でとるために中心静脈カテーテルが首のところから入りました。 入院翌日にC

        • 自分で最後の時を選ぶ

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Bさんは90歳代の女性です。認知症と脳梗塞があって、自宅で転んで胸椎圧迫骨折をして、心不全の診断も受けています。ある日吐血して救急車を呼びマロリーワイス症候群という消化管の病気と誤嚥性肺炎の診断で総合病院へ入院しました。 治療を終えて退院しましたが、吐いた後

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        私がnoteを始めた訳

          耳は最後まで聞こえている

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Aさんは60歳代男性。最近まで都会で料理人をしていました。胃癌がわかって治療が始まりましたが、一人暮らしを心配した息子さん家族に同居を提案されて、田舎に引っ越してきました。 数ヶ月後に食事が摂れなくなり、こちらの大学病院に入院になりました。鎖骨のところから高

          耳は最後まで聞こえている

          大出血することなく穏やかに

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Eさんは、90歳代男性です。だるさが続いて近くにクリニックに行ったら、血液検査で貧血があることがわかり薬を飲み始めました。それから数ヶ月経った頃、受診中に顔色が青白く血圧も下がって総合病院を紹介されました。 精密検査で胃癌による慢性出血の診断で、入院して胃カ

          大出血することなく穏やかに

          穏やかな気持ちで瞼を閉じる

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Dさんは90歳代の女性です。大きな病気をすることがなかったので、病名は廃用症候群と認知症です。 4か月前に自宅の駐車場で転んで、胸と股関節が痛いので整形外科を受診しました。結果は骨折でしたが保存的治療を選びました。 元来自分で生活の管理ができていて、薬の管

          穏やかな気持ちで瞼を閉じる

          治療の選択、穏やかな最期

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Cさんは80代の男性で、肺腺癌と診断されて、抗癌剤治療は希望しませんでした。 診断から5ヶ月した頃に、息苦しさと、お腹の張りや食欲不振、吐き気があって、癌性胸膜炎、癌性腹膜炎、腹膜播種のため入院しました。腹水は穿刺できない量でした。 緩和ケアチームが介入して

          治療の選択、穏やかな最期

          「家に帰りたい」から始まる

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Bさんは80代男性で、慢性腎不全、慢性心不全があって、自転車で通院していました。 「体調が悪い」と、いつものように近くの診療所に行きましたが、総合病院に救急搬送されて心不全と腎不全の治療を受けました。 その後は、食事や水分の制限と目標体重を目安に、医師の指示を

          「家に帰りたい」から始まる

          こだわりを捨てない

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Aさんは80代男性で、慢性膵炎で入退院を繰り返していました。 強い腹痛で入院して、痛みが治まると病院からこっそり抜け出して帰ってきていました。 入院の度に食事と服薬指導を受けましたが、Aさんは生活を変えることはありません。 食生活が原因の膵炎悪化で、入退院は繰

          こだわりを捨てない

          家族からかけられる言葉

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Dさんは80歳代男性です。食道癌の診断がされていて、2年前に腎機能低下で精密検をしたら多発性リンパ節、肺、骨転移がわかりました。 放射線治療もしましたが、半年続けたところで骨転移からくる腕と足の痛みが強くて、食欲も落ちてしまいました。 痛みのコントロールと栄

          家族からかけられる言葉

          大切な人のそばにいる

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Cさんは80代女性で肺癌がわかってからも一人暮らしをしていました。 ケアマネからの紹介で、初めて私たち看護師が家に伺った時は、在宅酸素のチューブをクルクルと器用に巻きながら家の中の移動をしていました。酸素の取り扱いは慣れたものです。 Cさんの口からは、片方の

          大切な人のそばにいる

          揺れる思いを抱えて、家で最期を迎える

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Bさんは80歳代の男性です。肝細胞癌の診断はありましたが、年齢的なことと認知症もあるため積極的な治療は行わない方針です。 腫瘍は大きくなっていて、微熱や食欲不振、眠っている時間が多くなっていて、どの症状も老衰によるものもあると診断されました。肺炎を繰り返して

          揺れる思いを抱えて、家で最期を迎える

          LIVE配信の花火もいい

          YouTubeでたまたま長岡花火LIVE配信を見つけて、画面越しに久しぶりの花火を楽しみました。 長岡は友人が住んでいるので何度か行ったことがあって、花火の時に行ってみたいとずっと思っているのですが、まだ叶えられていません。 見たかった花火大会を家で見ることができるなんて、何て贅沢。 子供の頃から、花火大会はドーンという音と、空から降ってくる大きな光にワクワクしたものです。私は花火が上がる夏祭りの日に生まれたそうで、心惹かれる理由なのかもしれません。 昨日仕事から帰って

          LIVE配信の花火もいい

          6人家族、犬と猫に囲まれて

          生き物は、産まれた時から終着駅に向かって歩いている。 穏やかで気持ちよく過ごして、それまでの時間を大切に生きて欲しい。 人生の幕引きには色んな形があっていいと教えてくれた、在宅で出会った方たちと訪問看護師のお話です。 Aさんは、70歳代男性。S状結腸癌の診断で、抗癌剤の内服治療を約2年していましたが、食欲不振と検査上全身状態の悪化があって入院治療しました。退院後の化学療法は、体重が落ちて体力的に通院が難しくなりました。 そこで、積極的な治療は希望せず、介護保険を申請して、

          6人家族、犬と猫に囲まれて

          ひと時のふれあい、その後。

          田舎のお寺に、お盆前の墓掃除に行った時のこと。 先祖が眠るお寺は、自然がいっぱいの山の中腹にあります。 普段から、散歩している犬を見かけると何犬かなぁ?って、つい見てしまうのですが・・・ 田舎道を進んで、左にゆるくカーブすると遠くに黒っぽい犬を3匹連れている人が見えました。 近づいたら甲斐犬を連れている猟師さん。 3匹は並んで歩いています。 えっ? もしかして? まさかの? その甲斐犬の大きさは成犬よりちょっと小さい。 先日、動物病院で会った甲斐犬と同じくらい。 予

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