オタクのニヤニヤ笑い、それ「萌え」です!-自分の中の「萌え」と向き合う-
こんばんわ。深夜区トウカと申します。
前回記事で「年内更新はこれで最後」と謳いましたが、8歳女児さんというnoteライターさんに触発され、緊急で筆を取っています。
この記事には萌えという語の自壊性など面白いテーマがふんだんに盛り込まれていて是非とも読んで頂きたいのですが、まず私がなぜ筆を取ったのかを説明します。
この記事から私が受け取ったメッセージは二つ。
とかく、8歳女児さんは萌えに一石を投じ、働きかけを促しました。
私はオタクです。ですから、なんとしても8歳女児さんが提示した挑戦状に対するアンサーを返さなくてはならないのです。
また、この記事で語ることは私が大阪大学萌研究会による同人誌「もえけん」に影響されて筆を取ったもののまとめるのに難航し寝かせていたことでもあります。
即ち、これは「もえけん」さんに対するアンサーでもあるのです。
それでは、私の「萌え論」を聞いてください。
辞書的な萌えの定義の確認
8歳女児さんは「お前の言葉で『萌え』を伝えろ」というメッセージを我々に向けて残しました。
それこそこの記事の本質であり、私はこれから萌えをとは何なのかを考えなくてはいけません。
ですので、多くの先駆者の方がそうしているように萌えという語の辞書における定義から調べてみることにします。
理由は、私の認識が辞書の定義から異なっていれば異なっているほどに自分の萌えというものが浮き彫りになるからです。
とはいえ、後半からは辞書の定義よりも経験的な定義を論じていくので、軽く把握しておくくらいにとどめておきます。
萌えの辞書的定義を調べるに当たって複数のweb辞典を当たりましたが(ニコニコ大百科などのユーザーが編集可能な記事ではサンプリングが偏っている可能性を考慮したため)、どれもデジタル大辞泉(小学館)を参照しているらしく、説明は同一でした。
やはりというべきか、ここにおいての萌えという語の示す範囲は相当広いです。しかし、意外にも私の直感的感覚とはさほど矛盾しません。
特に「必ずしも恋愛感情を意味するものではない」という一文。
これはとても大事な点だと思っていて、萌えとは「恋愛感情的なかわいい」を介さなくても発生し得るものだという私の直感と一致しています。
意外と辞書的定義と私の中の認識が近いことが分かったわけですが、そこから私と辞書的定義との差異を見つけなければ話になりません。
「萌え」と「かわいい」を分つ
まず言わなくてはならないのは、この萌えの定義では「萌えが単なるかわいいの俗語バージョンに過ぎない」という点です。この説明は明らかに「かわいい」という語の説明にも流用できてしまいます。
その点については
という補足が入っています。つまるところ、この項目ではかわいいと分割することは想定していないので、この定義だけを追いかけていても仕方がないということです。
なので、まずは自分が「『かわいい』と『萌え』をどう使い分けているか」を確認します。
まず、「かわいい」。
これは相当範囲の広い言葉です。わざわざ例を多く挙げる必要もないかと思います。美少女キャラクターのイラストを見て「このイラストかわいい」だとか、動物を見て「かわいい」とか、あらゆるシチュエーション/対象に向けて使います。
これに対し、「萌え」は相当範囲が狭くなります。萌えの範囲や場面は人によって大きく違うと思うので、こちらは具体例を挙げます。
今年(2023年)公開の映画「響けユーフォニアム アンサンブルコンテスト」の後半、麗奈がなぜか肉まんやあんまんではなくチョコまんを買ってしまい、それが気に入らず他の人に押し付けようとするシーンがありました。
久美子から「なんでチョコまんにしたの」と呆れ混じりに問われるものの口を開かず子供が地団駄を踏むように周りへ麗奈はチョコまんを押し付けます。
このシーンで私は「かわいい」とは明確に離れて「萌え」ました。
つまり、「かわいい」と「萌え」の示す範囲は同一ではないということです。
萌えた理由を考え、「推し」と「萌え」を分つ
それでは、私はなぜ萌えを感じたのか? 状況を分析してみましょう。
このシーン、麗奈は「言葉を用いてきちんと経緯や心情を説明しない」「自分で買ったものを周りに押し付ける」等、子供っぽく振る舞っていました。
それでは、萌えとは「子供っぽく振る舞うキャラクターを見た時に生じるもの」なのでしょうか?
それは、私個人の感覚から言うと、それはNoです。なぜなら、それ以外の場面でも普通に萌えるからです。
例えば、私は「ごちうさ」にはメインキャラクターの一人・リゼがひょんなことから普段のクール系とはイメージの異なるお嬢様風の格好をしているのを見られてしまい、他キャラクターに別人と勘違いされ、正体がバレないようにぎこちなくもお嬢様らしく振る舞うという回(わかる人にはロゼ回と言ったほうが早いでしょう)があるのですが、私はその仕草にいちいち萌えてしまいます。
これは別に子供っぽい仕草ではないですよね。少なくとも、私はそう認識していません。なので、私の中で子供っぽい仕草と萌えとはノットイコールです。
そして、この区分は「推し」との差別化にも使えます。
「推し」とは、特定のキャラクター(人物)に対して使う語です。そして、先述の場合、私はリゼのぎくしゃくした仕草に対して萌えています。
萌えという語は動作にも使えますが、推しはそうではありませんよね? ここにおいて、萌えと推しの区分も完了しました。
ちなみに、「ごちうさ」における私の推しはシャロです。
萌えのジャンル分け
ここまで、「萌え/かわいい/推し」の区分を行ってきました。しかし、萌えも一枚岩ではありません。
それらを整理するため萌えを列挙し、それをジャンル分けします。
・仕草萌え:リゼがぎこちなくお嬢様を演じるのを見て萌える、麗奈がチョコまんを喋らず周りに押し付けるのを見て萌える
・外見萌え:エリオ(「電波女と青春男」)のデザインを見ただけで萌える
・関係性萌え:ツンツンしていた矢野(「私の百合はお仕事です!」)が姫芽(同)に素直になるのを見て萌える
だいたいこんな感じでしょうか。過去の萌え経験から三つのジャンル分けを行い、便宜的な名前をつけてみました。
仕草萌えに対する説明はもう行ったかと思うので残り二つについて説明すると、外見萌えはキャラクターの見た目を見て萌えるやや推しに近いかと思われる概念、関係性萌えは二者の関係性の変化に対して使用する概念となります。
関係性萌えは比較的新しい語かと思いますが、ここに萌えを感じるという点で「私は必ずしも恋愛対象に対してのみ萌えるわけではない」ということの裏付けになるでしょう。
ところで、廃墟に対して萌えを感じる廃墟萌えという概念及び建物に対して萌えるという人がいますが、その点は先述の8歳女児さんと同じく萌えの区分からは排除していきます。
なぜなら、私は二次元キャラクター以外に萌えを感じたことがないからです。萌えは信仰なので嘘を吐いてはいけません。私には理解できない世界なので、含めません。
このことは、私が萌えを感じる対象において「二次元キャラクター」という共通点があることを示しています。
次の項目は、萌えを感じる際の共通点についてです。
萌える際の共通点
この共通点探しがこの記事で最も難航したパートです。
まず、「二次元キャラクター」。そこまでは良いのですが、次が続かない。
エリオが好きだから青髪のキャラに萌えるのかと言われればそうではないし、子供っぽい仕草に萌えるのかと言えばそれも違う。
結局、私は二次元の中に決め手となるような萌えの共通点を見つけることができませんでした。
思案し続けて見つけた共通点は二次元のキャラクターやシチュエーションではなく、三次元の私の行動にありました。
私は萌えた時ついつい気持ち悪くニヤニヤと笑ってしまう癖があります。それは全ての萌えた瞬間において共通するものです。
そこで、それを癖ではなく萌えの発露だと捉え直してみることにしました。
すると、私の気持ち悪いニヤニヤ笑いは萌えの瞬間とがっちり結びついたのです。
萌えを定義する
共通点が三次元におけるアクションにあると認識したところで定義付けを行いましょう。
まず、私にとっての萌えとは「オタクを気持ち悪く笑わせるもの」です。アクションを起こさせるもの、だということです。
しかし、これには大いに補足が必要です。
例えば、人が失敗しているのを見てニヤニヤと笑ってしまうことは萌えとはかけ離れています。
では、ニヤニヤ笑いと萌えてニヤニヤすることの違いにはどんなファクターが作用しているのか?
答えは、愛着です。
恋愛でも恋でもありません。愛着です。
愛着があるから、人をバカにするニヤニヤ笑いとは意味合いが全く違うのです。人をバカにする場合、その人に愛着を抱くことはあり得ません。
でも、アニメか何かを見た時思わずニヤついてしまっていたら、それは愛着を持っているということになります。
つまり、ニヤニヤ笑いをする際の愛着の有無が萌えかバカにした笑いかを決するのです。
ここで言う愛着は恋愛感情とも違うもので、もっと広い範囲を指しています。
総合すると、「オタクを気持ち悪くニヤニヤ笑わせるもの」の中でも「愛着を胸に宿しながら笑う」という非常に限定的なシチュエーションで行われるのが「萌える」という行為で、「萌え」とは「萌える」を引き起こす感情だと結論づけられます。
これが、8歳女児さんともえけんさんへのアンサーです。
そして、アニメや漫画やゲームを見たり読んだりプレイしたりしている君!
そのニヤニヤ笑い、萌えですよ!
あとがき
緊急で書いたのでお見苦しい点があったらすみません。おそらく、深夜区トウカ史上一番急いで書き上げた記事だと思います。
実のところ、萌え論的な記事は「もえけん!!」を買ってから何度かトライしてみたのですが着地点が二次元内で完結せず三次元に行ってしまうというところで尻込みしていました。
しかし、今回8歳女児さんの強いメッセージを受け、「どんな形であっても自分の萌えの形を発表しなければ」という激情に駆られ、こうして記事を執筆しました。
未熟な点が多々あると思いますが、全て自分の言葉で書いたのは間違いないのでどうか許してください。
私はこれを書き上げられてとても満足しています。
色んな人の萌えが見られるようになればもっと良いなと思います。
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
最後に恒例のセリフを言わせてください。
みなさん、良いお年をお迎えください!
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