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終わっちゃった

もういつの事か忘れたけど、軽音サークルにいる高校同期からマカロニえんぴつを組もうと言われた。

多分7月頃だったような気がする。

というのも入学当初はサークルに友達が少なく、声をかけることの出来る人間が少なかったらしい。パートはリードギターを頼まれた。

偶然にも僕のサークルにはそれぞれの楽器に1〜2人は高校同期がいたため、高校同期だけを集めてマカロニえんぴつを組むことが出来た。

しかしその頼んできた子以外は高校同期であるものの、全く話したことが無い子ばかりだったので鬼気まずかった。

あと僕の元々の担当はギターボーカルだったのに、技術が要求されるリードギターを任されてしまったので不安でいっぱいだった。

そういうこともあってモチベはそんなになかった。

ある夏の日に大学に集まって曲を決めた。

決まった曲は「mother」と「hope」(「hope」は後に「溶けない」に変わり最終的に「ブルーベリーナイツ」になる)。どちらも初心者の僕にはギターの難易度が高い。

ということでmotherのリードギターを担当するものの、もう一曲はバッキングギター(リードほど難しくない)を担当することになった。

1月末にある1年生のみが出れるルーキーという選考会を念頭に置いて練習しよう、という感じで解散した。

ちなみに曲が決まった後もめちゃくちゃモチベがなかった。気まずいから。

12月初旬から練習することになったが、音も十分に取れていないまま参戦したので合わせても悲惨なものにしかならなかった。

負けず嫌いだからちょっと悔しかった。

2回目以降のバン練はエフェクターを購入して参戦した。付け焼き刃の音作りのmotherは、まだまだ課題が残るものの「それっぽいね」と言われてちょっと嬉しかった。

バン練が増えるにつれて気まずかったバンドメンバーとはすっかり仲良くなった(と思う)。個性の爆発した奴らばかりだった。さすが甲南高校。

それからはバン練が日々の楽しみになり、課題をしらみ潰す個人練すらも楽しかった。バン練は唯一の経験者のキーボードが気になるところを次々に挙げてくれた。口が強いので怖かった。

ある日、今までで完成度が1番高いmotherを録音できたことがあって帰ってから何回も聴いた。悲惨な出来だった1回目を思うと、成長した自分に感動すら覚えた。

年が明けた。選考本番に向けて毎日のバン練が当たり前になった。しかし6人もいるので都合が合いにくく、どうしても23時以降(たまに早朝)になってしまった。

でも深夜のバン練は楽しかった。結局練習が終わっても3時まで喋ったり、遅めの青春が来たようだった。(早朝は普通にしんどかった。)

本番間近になっても日々課題は見つかり、正直焦っていた。0に等しかった昔のモチベは、気づいた頃には限界値を超えていた。

落ちて、もうこのメンバーで演奏出来なくなることが嫌だった。

選考前の最後のバン練。別にいつもと変わりなく練習するつもりだったが、その日はみんなハイになっていた。完成度も過去一だった。みんな同じ思いなんかなーと思ってちょっと嬉しかった。

その日の夜は、その録音を何回か聴いて寝た。

本番当日、出番は最後だった。

前日に3バンドが演奏しており、その日は4バンドのみだった。そのため出番はすぐ回ってきて、落ち着く暇も無かった。

どのバンドもクオリティが高く、みんな萎縮してるかな〜と思ったがそうでもなかった(1人だけめちゃくちゃ萎縮してたけど)。

僕のギターから演奏が始まった。正直演奏中のことはあんまり覚えてない。気づいたら2曲目のラスサビだった。ただただ演奏に夢中で、このまま終わらなければいいのにとも思った。

演奏後はギターを褒められて嬉しかった。お世辞かもしれなけれど、自分の中の達成感とリンクしたので素直に受け取ることが出来た。

搬出を行った後、結果発表があった。

結果は落ちた。1日目に圧倒していたバンドが受かった。悔しかったけど、すっと受け入れられた。みんなも悔しかっただろうけど、顔にはあまり出してなかった。

その日のうちに打ち上げをした。バンドの話はせず変な恋バナとかをした。もうあんまり覚えてないけど。でもめっちゃ楽しかった。

あんなに気まずかったのに、ご飯を食べる仲にまでなったんだなと少し感動したりもした。

その後は別のバンドの2次会に顔を出した。みんな受かる自信があったから、荒れてた。こういう技術とプライドがあるやつばかりなので、このサークルに入ってよかったなと思った。

6時頃に帰りついて寝た。11時に起きて、ぼーっとしてた。母親に結果を報告したら、そのあとになぜか涙が出てきた。

感情を言葉にすると涙が抑えられなくなる体質のことを忘れていた。すっと受け入れてたけど、ああやっぱ悔しかったんだなと思った。親に見られないように2階に上がって、ちょっと泣いた。

落ちたことになのか、もうこのメンバーで演奏できないことになのかは、あんまり分からなかった。

今回の選考はとてもとてもいい経験になった。音作りの大切さを学んだり、1年生だけで2曲仕上げたり、マカロニえんぴつというバンドを改めて好きになったり。

「悔しさをバネにする」って言うし、せっかくなので次のステージに進むためのバネだと思うようにする。

このメンバーでバンドを組む機会はあんまり無いかもしれないけど、またすぐご飯くらいは行きたいかな。

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