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愛されてたと気づくのは、もう少しあと

バセドウ病。

歌手の絢香さんが公表したこともあり、名前が広く認知された病気だ。

私はバセドウ病を患っている。




名前は知っていても、その実、どんな症状がある病気なのかまで知っている人は少数だろう。

バセドウ病とは甲状腺ホルモンが異常に多くつくられることで、新陳代謝が過剰になる病気だ。

甲状腺は、主に全身の代謝を高める役割があり、ホルモンの分泌は多すぎても少なすぎても体に不調が現れる。

とまぁこのnoteはバセドウ病について話したいわけではないので、病気についての説明はこの辺にする。
詳しく知りたい方は調べてみてほしい。

とりあえず知っておいてほしいのは、バセドウ病の不調はあらかじめ予知できないということ。
今日の自分が元気はつらつでも、明日の自分が布団から一歩も出れないほど体の具合が悪くなることもある。

そしてそれは朝起きるまで分からない。




2022年11月の話だ。
1ヶ月前から楽しみにしている予定があった。
高校時代の友人と串カツを食べに行く。

予定が決まったその日から、ご飯の日をモチベーションに仕事やらなんやら日常生活を頑張っていた。

そして迎えた当日。

すこぶる具合が悪い。
頭が痛い、体が重い、動悸がする。
布団から出られない。

少し無理をすればなんとか行けるかもしれないが、頑張る気力も少しばかり足りない。

しばらく逡巡したが、泣く泣くその日の予定は諦めざるを得ず、友人に連絡を入れた。




時は流れ2023年の冬。

相変わらず通院は続いているし、毎日薬を飲まなくてはならないものの、1年前よりもだいぶ体調は安定するようになった。
そして、また2人とご飯の約束をした。

今回は無事元気に食事をすることができ、楽しい時間を過ごした。




ご飯のあと、先のLINEの「山」と連絡をよく取るようになった。
会話の流れで、1年前の約束の際、当日にドタキャンしてしまい申し訳なかったと謝った。
「全然気にしないで、大丈夫だよ」などと言われると思っていたのだが、私が想像していなかった返答が来た。


どうやらあの日、私になんと返信するかを2人で相談してくれていたらしい。

「当日ギリギリに連絡が来たということは、直前までなんとか頑張ろうとしていたんじゃないか」

「どう連絡を入れれば、私に罪悪感を覚えさせないだろうか」

そんなことを色々考えた結果のLINEだったそうだ。

私は知る由もなかった。




私はいつも2人の優しさに気づくのに時間がかかる。




高校時代、彼氏のためにダイエットに励んでいたことがある。
昼食をプロテインに置き換え、お菓子を我慢していたのだが、空腹が原因でとにかく毎日イライラしていた。

らしい。

イライラしていた自覚はなかった。

しかし、彼氏と別れ、ダイエットをやめた後になって、
「あの時のはるはいつもイライラしてたし、はるの近くでお菓子食べようもんならすごい目で見られたよ(笑)」
と告げられ、そこで初めて気づいた。

そんな私に文句も言わず、なるべく私の目につかないところでお菓子などを食べるように配慮してくれていたらしい。




彼氏と別れた日も、振られてしまったことを告げるやいなや、駅まで迎えに来てくれて一緒にドーナッツを食べた。
何を話したかまではあまり覚えていないが、別れたことについてはさほど触れられなかった気がする。

長らくダイエットをしていて、甘いものも我慢していた私は、ドーナッツを3つ平らげ、挙句汁そばまで完食したのだが、
「絶対汁そばから食べるべきだったよ。そしたらドーナッツ3個も食べなかったよ」
と言われたことだけ覚えている。




私の愛情の注ぎ方は、速攻型だ。
好きな人にはすぐに好きと伝える。


2人の愛情は後から効いてくる。

1年、3年、もっと後になることも。




もしかしたら私が気づいていないだけで、もうすでに伏線が張られているのかもしれない。

次に愛されていたことに気付くのはいつだろう。




今も昔も、そしてこれからの私のことも、たくさんの愛で包んでくれてありがとう。




バレンタインということで、愛について想いを巡らせていたら、ふと2人のことが頭に浮かんだのでポツポツと書いてみた。

書いているうちに今年のバレンタインデーは終わってしまったのだけれど。

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