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聞こえ方は人それぞれ

”カクテルパーティー効果″を知っていますか?
様々な音が混在するなかで、注意を向けた音を選択的に聞き取ることができる聴覚の機能のことです。このカクテルパーティー効果は聴覚機能の1つである〝選択的聴取機能″によるもので、そのおかげでざわざわしたカフェやレストランでも、会話を楽しむことができます。

実はこの”選択的聴取機能”は、すべての人に同じように備わっているわけではない、ということが知られています。
例えば子ども。聴覚機能は、15歳頃までは発達過程にあると言われています。すなわち、保育園や小学校の児童は発達の途上にあり、騒音や過度な響きによって、言葉の聞き取りに影響を受けやすいのです。
他にも、自閉スペクトラム症など発達障害のある人も、選択的に音を聞くことが苦手な場合が多いといわれています。いろいろな音の情報をすべて拾ってしまって、聞くべき話に集中できなかったり、すごく疲れてしまったり、ということがあるそうです。響く場所では特に音の聞き分けが難しい、という話もあります。そして多くの当事者から聞かれるのは、「大人になるまでみんな同じだと思っていた」「早く知りたかった」という言葉です。

そもそも、好きな音、嫌いな音は人それぞれ。居心地がよい場所、悪い場所も人によって違います。このことに意識を向ける機会をもち、自分の感覚の特性を知ることは、居心地のよい生活環境を整えるための第一歩になります。
そんなきっかけづくりとして、川崎市の小学校では、自分の感覚を知り、感覚の多様性を知ることで、子どもたちの共感的・受容的態度を育むことねらった授業が行われました。

椅子を引きずる音が嫌な人、セミの声が嫌いな人って、こんなにいるんだ、みんな自分と同じじゃないんだ、といった発見が、環境を整えるための視野を広げてくれます。

さまざまな聞こえ方をもつ人々が共生する社会、ユニバーサルデザインという文脈においても、響きが抑えられた、一つ一つの音を聞きやすい音環境、大事です。

〝建築雑誌″の特集「生きづらさを支える建築」に関連の記事が充実しており、おすすめです。


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