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サウンド"音"でバランスをとる

ストレスマネジメントに役立つサウンドヒーリングの秘密

私たちは仕事や人間関係、将来への不安など、さまざまなストレス源に日々さらされています。ストレスは、心身の健康に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる主な原因の一つです。しかし、古代から伝わる知恵と現代科学の融合によって、ストレスマネジメントに革命的な方法が提案されています。それが、サウンドヒーリングです。



サウンドとは

西洋医学に基づく従来型の医療分野において、超音波と呼ばれる音波が胎児の画像を作成したり、腎結石の治療に使用されるなど具体的に音(サウンド)が使われていますが、さらに補完医療の領域でも音はストレスや痛みの緩和に使用されています。では音とはそもそも何でしょうか? それは波として物体の振動を空気中で移動させる手段として働くものです。その音の波である音波は、人間の耳鼓に到達し、脳を通じて電気的インパルスに変換されることで、私たちは音を知覚します。ただし、私たちはすべての音波を認識することはできません。人間は16 Hzから16000 Hzの間の音を聞く能力を持っていますが、この閾値を超えた音を聴覚でとらえることができません。その閾値よりも低い音は超低音(インフラサウンド)と呼ばれ、閾値よりも高い音は超音波と呼ばれます。この超音波は、前述の胎児の画像を作成したり、腎臓結石の治療に使用されています。

サウンドヒーリングとは?

人間に聞こえるかどうかに関わらず、すべての物体にはそれぞれの共鳴する音、つまり周波数があります。人間が共鳴できる周波数は多数存在し、臓器、骨、組織などの体の部分はそれぞれ固有の共鳴周波数を持ちます。そして、各部の周波数がうまく共鳴しているときは、バランスが取れた健康的な状態にあります。しかし、体の一部が調和を失い、不調和な振動がある場合、「不調」な状態となります。不調和な振動をしている体の部分に、正しい共鳴周波数を当てて不調和な部分に働きかけをすることが、サウンドヒーリングの基本的な目的となります。

つまり、サウンドヒーリングは、音の波動を利用して心身のバランスを整え、健康を促進する療法です。音は波動であり、この波動が私たちの体や心に働きかけることで、ストレスの軽減、リラクゼーションの促進、さらには深い癒しをもたらすことができます。

アコースティック音の威力

音の周波数は必ず倍音(ハーモニクス)というものを生み出します。たとえば、ピアノで「ド」の音を鳴らしたら、鍵盤を右側に登っていき次の高い音の「ド」は、倍音となります。この倍音の周波数というのは1つ上の音ではなく、さらにその上の倍音、さらにその上の・・・と続きます。つまり、基本の周波数は元の波であり、倍音列における一番低い音です。基本周波数が50Hzの場合、第二調和周波数は100Hz、第三調和は150Hz・・となります。

アコースティック楽器は、基本音と倍音の両方を生み出します。技術的には、すべての音が無限の倍音を生み出しますが、人間は最初の数個の倍音しか聴覚で音として認識することができません。一方、CDなどのデジタル音源は、そのように音として認識できる可聴周波数のみを記録しているので、それ以外の倍音周波数はカットされています。

フランスのミュージシャン兼鍼灸師であるファビアン・ママン氏によると、ヒーリング音は本来アコースティックであり、理想的にはライブ音でなければならず、録音された音で最適でないと言います。本当のヒーリングサウンドは、楽器がライブで倍音を生み出すときに発生します。レコードのようなアナログ音の録音であっても、アコースティック楽器の出す倍音の50%が失われます。よって、録音を聴くことで得られる効果は生のアコースティックほどの期待はできません。やはり本当の音の効果はライブサウンドの中で発生します。

倍音(ハーモニクス)

ストレスに対するサウンドヒーリングの効果

バイノーラルビート

異なる周波数の音を左右の耳にそれぞれ聞かせることで、その周波数の差から脳波を調整し、リラックス状態や集中力の向上を促す技術をバイノーラルビートと言います。特定の周波数のバイノーラルビートは、ストレス軽減に効果的とされています。

ソルフェジオ周波数

グレゴリオ聖歌で使われた失われた古代の音階とされ、特定の周波数が心身のバランスを整え、ストレス解消に役立つとされています。たとえば528Hzは奇跡の周波数などと呼ばれ、DNAの修復やストレス軽減に効果があると言われています。

トーニングとハミング

自分の声を使った癒しの方法です。特定の音を出すことで、体内で共鳴を生み出し、ストレスを減らしながら心身の調和を促します。鼻孔から口腔にかけて音を軽く響かせるハミングは、血圧の低下や心拍数の減少にも効果があるとされています。

サウンドヒーリングを生活に取り入れる方法

音楽を聴く

リラックス効果のある音楽や、ソルフェジオ周波数を含む曲を聴くことで、簡単にサウンドヒーリングを始めることができます。

バイノーラルビートの活用

ヘッドフォンを使ってバイノーラルビートを聴くことで、目指す脳波の状態へと導くことが可能です。集中力の向上やリラクゼーションに役立ちます。

トーニングとハミング

自分の声を使って、特定の音(例えば「オム」や「アー」)を長く出す練習をすることで、内側からの癒しを促します。

“Our voice is the most healing instrument”
Jonathan Goldman

Healing Sounds: The Power of Harmonics

これらのサウンドヒーリングの効果は、多くの科学的研究によって支持されています。バイノーラルビートやソルフェジオ周波数が、実際に脳波の状態やストレスレベルに影響を与えることが示されています。さらに、声を使ったヒーリング方法は、心身にリラックス効果をもたらすことが知られています。

-Takeway-

  1. 音は波であり、振動を移動させる役割を果たす。音の波は耳膜に届き、そこで電気信号に変換され、脳を通じて伝わり音として認知される

  2. 周波数は倍音(ハーモニクス)を生み出す。倍音は基本周波数の倍数であり、楽器や音響楽器は基本音と倍音の両方を生む

  3. サウンドヒーリングでは、生演奏の音が最も効果的であり、アナログ録音でも倍音の50%が失われるとされる

  4. 音の周波数が細胞やエネルギーフィールドに影響を与えることが示され、声を使ったヒーリング(トーニング・ハミング)には、血圧や心拍数の低下、メラトニンや一酸化窒素など重要なホルモンの放出を刺激する働きがある

  5. サウンドヒーリングは、ストレスフルな現代生活において、心身のバランスを取り戻し、より良い生活の質を手に入れるための有効な手段である

(参考)
・Goldman , J. (2017). The 7 Secrets of Sound Healing
・Mason, R. (2006, April 12 ). The Sound of Healing: Interviews with Jonathan Goldman
・Zampi, D. D. (2016). Efficacy of Theta Binaural Beats for the Treatment of Chronic Pain
・Mckusick , E. D. (2014). Tuning the Human Biofield: Healing with Vibrational Sound Therapy
・Maman, F., & Unsoeld, T. (2008). The Tao of Sound. : Tama-Do, The Academy of Sound, Color and Movement

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