妖精異郷―アイルランドの妖精ABC (深夜画廊)

　アイルランドの妖精譚【ようせいたん】を、たくさん紹介した本です。
　妖精の絵も、たくさん載っています。大判で、美しい本です。ほとんどすべての絵が、モノクロなのが、惜しまれます。

　二〇一一年現在からすると、二十八年も前に刊行された本です。
　現在であれば、日本語で妖精について解説した本は、いくつもありますね。
　けれども、当時は、非常に珍しい本でした。

　今、解説文を読むと、細かい部分に、古さがあります。外国の地名や人名などの表記が、現在と違っていたりします。

　とはいえ、本書が、妖精についての貴重な資料であることは、変わりません。
　アーサー・ラッカム、ギュスターヴ・ドレなど、名だたる画家たちの妖精画を見られるのも、魅力です(^^)

　本書の絵は、十九世紀末に描かれたものが多いですね。その頃のヨーロッパで、神秘的なものに対する関心が高まったのが、わかります。
　世紀末芸術―神秘的で、やや退廃的な―に興味がある方は、本書を読まれるとよいでしょう。

　以下に、本書の目次を書いておきますね。

まえがき

BANSHEES バンシー～死を告げる妖精
CAVE FAIRIES 洞窟の妖精～古き海辺の種族
CHANGELINGS 取り換えっ子～妖精の子ども
CLURICAUNES クルーラカーン～小さな酒飲みの悪戯者
DAOINE SIDH デーネ・シー～不滅の妖精の一族
DEMONS 海に棲む悪魔の一族
DULLAHANS デュラハン～頭のない幽霊の伝説
FAR DARRIGS ファー・ダリッグ～悪戯好きな「赤い男」
GHOSTS アイルランドの幽霊たち
GIANTS 巨人～古代の大いなる英雄たち
THE GRUAGACH グルアガッホ～魔法を使う生きもの
THE IMMORTAL MAN さまよえる不死人～放浪者メルモス
LEPRECHAUNES レプラカーン～驚くべき靴屋の妖精
MERROWS 人魚～美しき海の乙女
MONSTERS 水中に棲むアイルランドの怪物
THE PHOUKA プーカ～妖精の馬
SOLITARY FAIRIES 一人暮らしの妖精と群れをなす妖精たち
TIR-NAN-OG チル・ナ・ヌオーグ～永遠の若さの国
VAMPIRES 赤い血を啜【すす】る吸血鬼
WATER SHEERIE ウォーター・シェリー～妖しい鬼火
WEREWOLVES 狼憑き～狼の国の人獣
WITCHES 魔女～暗き悪魔の手先たち
WORLDS OF WONDER ロード・ダンセイニの幻想世界