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【企画書】 ヤングカンヌ2023 メディア部門GOLD

ヤングカンヌ」(ヤングライオンズコンペティション)という広告の若手で企画の世界一を決めるコンペがあるのですが、国内予選でメディア部門のゴールドをいただき日本代表になりました。
本戦は来年のフランス・カンヌで、世界中の猛者たちと戦うために毎日ペアのしょうはんと準備を重ねています。

日本代表とはいえ、まだまだ発展途上のぼくたちですが…プロセスから公開して自分たちを追い詰めたほうが、本戦までのモチベーションも高まるだろうということで、企画書とプレゼン原稿を公開します!

(※公開用に、写真などを提出資料から一部差し替えました)

課題

今回の課題は「アジアの海洋プラスチック汚染問題の解決」というもの。
出題元は、「The Blue Ocean Forum」という設立中のクライアント。

海洋プラスチック汚染は世界的な問題で、2050 年までにプラスチックの生産量が4倍になり、「海洋プラスチックごみの量が海の魚の数を上回る」という予測も出ている。
その中で、すべての海洋プラスチック廃棄物の 82% がアジア諸国から生まれてしまっているので、行動につながる解決策を考えてほしい、というオリエンでした。

メディア部門は、プロダクトやサービスなども含め、広告の領域にとどまらないメディア(伝達手段)を用いた統合キャンペーンで解決策を見出す部門だと考えています。
選考では、10枚の企画書を作成して一次審査を通過すると、二次審査では5分のプレゼンと10分の質疑応答があります(すべて英語です)。

企画書

ぼくらの発想は、「アジアの人々はすでにプラスチックが環境に悪いということは知った上で、毎日意識するのは面倒臭くて、ついついプラスチックを使ってしまっているのではないか?」というものでした。

そこで、プラスチックを買わない(使わない)という習慣が「憧れ」に変わるようなアイデアが必要だ!と考えて、ゴールドやブラックなどのハイランクのクレジットカードへの憧れを活用しようと考えて思いついたのが…「クリアカード」という企画です。

1. 表紙
2.ファクト
3.インサイトと戦略
4.コアアイデア

これは、透明な再生利用可能素材からできた新しいクレジットカードで、「海を綺麗にする」ことを象徴するデザインになっています。

このカードを所有していれば、購入のたびに「プラスチックはなるべく買わないぞ」と想起するきっかけになるし、例えば店頭でこのカードを提示するだけで、「袋はいりません」という意思表明になります。
さらに、このカードはプラスチック消費量が少ないほど還元率が上がるので、サイトやアプリで自身の購買履歴やプラスチック消費をチェックすることにもつながります。(もちろんAmazonでの購入の際も、支払い方法の選択画面・注文確定の画面で「あなたはクリア会員です」とリマインドが出ます)

5.アイデアの説明

具体的な広げ方としては、AmazonなどのECブランドのセールのタイミングで、普段のプラスチック消費量が少ないトップ5%のユーザーだけに「クリアカードにアップグレードしませんか?」という招待を行って、カードを提供します。

6.施策(フェーズ1)

クリア会員に選ばれたインフルエンサーによる発信や、マスメディアでの露出を通じて、このカードの認知を広げるとともに、クリア会員限定の空港ラウンジや、エシカルな企業だけに許された法人カードなど、継続的にユーザーの意欲を刺激します。

7.施策(フェーズ2)
8.施策(フェーズ3)

このように、毎日多くの人が使っているクレジットカードを「メディア」にすることで、プラスチックを買わない・使わないということを憧れの習慣に変えていき、継続的に問題解決へと導くというアイデアです。

9.ゴール

実際にAmazonは、「2040年までにプラスチック消費をゼロにする」という目標を公式に掲げているなど、環境団体・ECブランド・生活者のすべてにとってWin-Win-Winな企画だと考えています。

10. ベネフィットとビジョン
11.サマリー

シンプル&効果的で、好きな企画ができたと思います。
審査員の方々からは、自分ごと化させて行動を起こさせる強さがあったことや、ディテールまで考え抜いて実現可能性を高めたことなどを評価していただきました。
ジャンプ不足や展開の弱さなど、まだまだ課題もあるので、本戦に向けて着々と訓練を続けていきます。
(「企画書を公開するなんて大丈夫?」という声をいただきましたが、本戦ではまた別の課題が出て、一から企画し直すので問題ないです)

プレゼン原稿 & モック

もしプレゼンについて詳しく知りたい・参考にしたいという方がいれば…ということで、以下のnoteで詳しく公開しています!
(こちらは完全オープンにするのは不安なので有料にしています)

プレゼン原稿については、これでもか!というくらいに吟味と練習を重ねて、それが結果につながったと思っています。
クレジットカードやアプリのモック、アイスブレイクのための小道具なども、かなり力を入れて準備をしたし、質疑応答についても、想定しうる質問をたくさん列挙して、全てに答えられるように準備したことで落ちついて対応することができたので、そちらも公開しています。

挑戦する過程で、企画やプレゼンにおけるノウハウもいろいろと見つけましたが、ぼくらもまだ挑戦の過程なので、そちらはまた本戦が終わってからじっくり書きたいと思っています。世界一目指して頑張るぞー…!!

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