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突然のことがあった時、その人の経験が出るよね

突然ですが、今日事故に遭いました。
父の運転する車が交差点で信号待ちをしている時、後ろから追突されました。

その衝撃と事故にあった驚きとでしばらく呆然としていました。
父は「これはやられたな。」と一言こぼしてさっと車を降りていきました。私はその言葉にハッとして急いで父の後を追いかけて車を降りたのでした。
父と相手の運転手が話しています。ですが相手はすぐに示談に持ち込もうと話しを始めてきました。うーん、これはなんとも面倒なことになりそうな空気。父に一方的に話しているのがわか離、どんどん私のイライラゲージが上がっていくのがわかりました。
ついに私はそんな様子に耐えかねて「警察に連絡します。私ちょっと連絡してきます。」と2人に聞こえるようにちょっと声を張り上げて最寄りの交番へと走りました。

交番へ走っている最中、『ぶつけた方が悪いのに逃げようとしている感じが嫌だな』とか『あっ、相手のナンバー携帯で撮っておけば良かった』とか、私はさっきの相手の印象が悪かった事ばかりを考えていました。
走っていると自分の体力のなさを痛感して後悔したりもしましたがなんとか到着。交番に着いた時には息も絶え絶えで、頭も若干混乱気味で、それでもなんとか職員の方に事情を説明しました。息は次第に落ち着いていきましたが冷静さはまだ戻ってはきていませんでした。

交番からの帰り道、そう言えば隣に乗っていた子どもを預けっぱなしだったことに気づきました。車を飛び出し、どうにかしたい一心で動いていましたが、大事なことを忘れていたなぁと自分の火の着きやすさを恥ずかしく思いました。
車に戻ると母が子どもをあやしてくれていました。父は保険会社に電話を入れながら一服していました。少し端に寄せた車が2台止まったままでした。
程なくして自己処理のためにパトカーがやってきてお互いから事情聴取を始めました。

事情聴取が終わり相手方との連絡交換になりました。相手は保険会社が分からないなど色々とまた手間のかかる感じで…それを聞いた私はまたイライラ。こんな状態なら車に乗るな!と頭では沸騰する気持ちを外に出さないよう必死で口を閉ざしていたのでした。多分目はギラギラだったと思いますが…
父は嫌な顔ひとつせずその人の話を聞いていましたし、とても丁寧に相手に尋ねる姿勢をみせていました。そして的確に相手に質問して必要な情報を聞き出していました。

父はこの春、40年以上勤めた銀行を退職しました。
何度か支店長を務めた経験もある人です。言わば銀行員のプロ。そして接客のプロだと思います。そんな父ですからきっとこんなお客さんを相手にしたことも、もっとすごい人を相手にしたことも、それこそたくさんあるんでしょうね。私みたいにすぐに冷静さを失って走ってしまうようなこともなく淡々と。でも必要なことはしっかり伝える、聞き出す力に圧倒されました。父の蓄積された経験の厚みを、その背中を、事故という思わぬ場所で垣間見ることができたのでした。
事故には遭いましたが今のところ大きな怪我もないのは幸いです。そしてこのような父の姿を見られて良かった、とは言い難いですが、貴重な経験をさせてもらいました。

ちなみに相手方の対応に不満のあった父はその方の自宅の電話番号も聞き出しており、自宅にいらっしゃった相手方の奥さんにも事故の内容を伝えていました。突然のことに奥さんもさぞ驚かれたことでしょう。程なくして相手方の保険会社の方から父へ電話があったそうです。そのしたたかさもまた、本当にお見それいたしました。

私はやっぱりまだまだ子どもで喧嘩っぱやくてどうにもなぁ、と子どもと手を繋ぎながら後悔していた私。しかし父は「あの時すぐに警察に行ってくれて助かったよ。ありがとう。」と私のことも気遣ってくれました。思い立ったが即行動の私も少しは力になれたのなら浮かばれたものです。
そんな父の背中をあとどれくらい見られるだろうな。退職してまだまだこれからの人生。父からもたくさんのことを教わっていきたいと思った1日でした。

予測もつかないことが突然起こった時、あなたならどう対処しますか?
私は今回の経験を胸に、少し冷静に周りを見て行動したいと思いました。それが出来るかは分かりませんが気持ちだけでも持っておきたい。人生の経験の厚みを教えてくれた父を見て、そう思いました。

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