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長靴を履いた猫は。

 長靴は後ろ足に履くものだなんて、固定概念だよ。長靴を履く猫には前脚用も必要だったのさ。
 でも困ってしまって、にゃんにゃんにゃにゃん。前脚用はすっぽり履けたけど、後ろ足用がどうもしっくりこなくって。猫の手じゃ、じょうずに引っ張り上げることはできませぬ。こんな時、猫の手はちっとも役にたたない。どなたか手伝ってくださいな。

 長靴とくれば黒色だなんて、決めつけちゃいけないよ。創られたイメージにとらわれるだなんて、時代錯誤もいいところ。赤にピンクにブルーに褐色。今や雨の交差点は、色彩の花畑。歩行者用青信号で行き交う、渡り切るまでの春景色。

 歩行者用青信号が点滅し始めたら、急いで渡らなくてはならないね。でないと犬のおまわりさんを困らせてしまうことになるからね。

 ピンクの長靴を履いた猫。正しくは、後ろ足用長靴をうまく履けていない猫。長靴を新調してくれたのはとってもありがたいことだけど、実は少し困ってる。だって、オイラ、雨の日は外に出ないと決めてるんだもの。
 雨はきらい。濡れるのきらい。長靴履いても体が濡れるからきらい。まったく余計なお世話をしてくれたものだと思う。なぜなら前脚に長靴履いたなら、傘させなくなるじゃないか。 

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