寅三つ時の好奇心。
明け方の、二度寝しなくちゃならないくらいの短い睡眠時間から抜け出た不意の目覚めに、あるいい考えが浮かんでしまった。雪の残る冬の寒く夜明けにはまだ間がある闇の時間に、きゅっと冷たいビールなど。
飲みたくなったのじゃないんだよ。飲んだら美味しいかな? 試してみたくなって缶ビールをベッドサイドに持ってきた。ご丁寧にも几帳面な性格が、ビアグラスを片手に持ってたよ。
さて、まだ朝の4時を少しまわったばかりの寅三つ時。この時間、こうしたシチュエーションでビールを飲んだことは未だかつてない。
果たしてうまいものなのか。
迷っていたのに習慣か、缶ビールを持つと同時にプシュッとあけてた。これって条件反射だったのよ。
冷えたビールはあけるもの! ってね。
仕方ない。注ぐか。
とくとくとく。
優しく、それでいて程よい勢いで。泡立ちは大事。
神経を集めてムラなく、一定のリズムを刻みながら。おかげでいい泡が盛り上がる。
さて、準備は整った。
果たして寝起きのビール、はたまた二度寝のビールの味わいはいかに。うまいと出るか、にがいと出るか。はてさて、どっちだ。神様の言うとおり!
好奇心は期待のベクトルで未知の世界を照らし出す。描く世界は虹色で、明るい世界を見せてくる。踏み入らずに何とする。
それでもね。経験は知っているんだもんね。
恋も、グルメも、描く夢ほど現実は甘かないってことを。
それでもね。走り出した好奇心は止められない。止めたくない。背中を押しにかかる波に乗ってこそ、遊び心の炎が燃え上がる。
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