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女子高生の映画レポ 犯罪の未来

『罪の声』土井裕泰監督
2020/11/28 映画館にて

※当時書いた感想のため、現在とは相異なる内容もあります。

原作がとても情報量の多い内容となっているが、
それを2時間20分に落とし込んでいることも、
そしてその2時間20分の中でも原作の迫力を失っていないこともよかった。

ただ、阿久津が前半、事件内容を直接的に説明していたのが少し気になってしまった。限られた時間で観客に伝えるのは難しいことだが、少し作品の流れにブレーキがかかってしまうようだった。

私が作中で注目したのは、
生島望役の原菜乃華さんと 生島聡一郎役の宇野祥平さん。

望の明るい性格から、自分の夢が絶たれた悔しさ・絶望感・やるせなさまでが克明に伝わってきた。

宇野さんはおそらくこの作品のために痩せたはず。
※実際役作りのため10kg以上痩せたそう

頭の浮き出た血管が、聡一郎の生き様を教えていた。
阿久津から
『青木組は解散した。』
と伝えられ、頭を手で抱えるシーンは号泣。

依然としてなくならない犯罪。
だが、時代が移り変わっても、手段が変わっても、
変わらないことが一つある。
それは、

『被害者(そしてその周りの人)には一生癒えない傷が残る』

ということ。
特に未解決事件の場合、
『まだ犯人が生きているのではないか、ましてや自分の近くにいるのではないか』
という不安や恐怖がある。

動機がどうであれ、人を殺めたり『恐怖』という鎖につなぐことは決して許されない。
また、どんな犯罪も必ず人間の心の闇が原点だ。
嫉妬、復讐、欲望…
だがそれらは人間にのみ備わる「理性」によって抑制できるのではないか。
目の前のことでいっぱいにならず、その行動によって将来自分が、そして他人がどうなるかを考える。
これこそ人間に与えられた特権なのではないのか。
さまざまな欲 も 理性 も人間のみのもの。
正しく使うべきだ。

新しい「令和」という時代をスタートした日本に必要なこと。
それは

過去の愚行から学び、より良い未来を創り出そうとする姿勢だ。

そんな声が原作、そして映画から聞こえてきた。


追記
『動機がどうであれ、人を殺めたり』してはいけない。 について

私は先日『ロストケア』(前田哲監督)を観てきました。

でもこの言葉って安全地帯にいる証拠?
穴の底で這うような人間を余計に苦しめている?

「悪いことは悪い」
そういう簡単な話ではないのかもしれない。
と二年半越しに自分の映画レポを読んで考えました。

こうやって時を超えて、そして作品を超えて考えられることって楽しいし、幸せだな。






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