20代は、めちゃくちゃしんどい。
30代後半になって、すごく感じるようになった。
やっぱり、20代ってめちゃくちゃつらいよな、と。
やっぱり、と書いたのは、当時ずーっとそう思っていたから。
若いだけで楽しそうだと思われるけど、わけもわからず学生から社会人になって、病まないほうがおかしいくらいに、しんどい。
23歳くらいの頃に言われた。一番いい時だねって。
どこが?と思う、今でも。きっとそう言える人は楽しい23歳だったんだろう。もしくは、振り返ってあれはあれでよかったと思える程度には、生きることができていたんだろう。
けどそれって実は少数派じゃないのかな。私は文字通り、死にそうな毎日を送っていたよ。
働き方は人それぞれ、の前段階
死にそうだった理由のひとつに、まだ自分がどういう人間かわからないからもがくしかなかった、というのがある。
私のキャパなんて、現代を人並みに生きるにはとても足りないのに、まだそれも理解できていない。みんなやってるんだからやれないのがおかしい、と思っていた。
そもそも、周りの同世代も独身で健康な人がほとんど。社会に出たばかりでフルタイムで働くのが当たり前。その環境にいて人それぞれとか言われても響かないし、まず働いてみないことには自分がどんなタイプなのかも分からない。社会の汚さや理不尽さもまだ知らない。早熟な人は別として、そのあたりが一般的な20代のしんどいところだと思う。
だから、がむしゃらにやる。体力があるからできてしまったりする。
時々、なんかおかしい、しんどすぎるのでは?と思っても、こんなもんなのかとやり過ごしてしまう人もいる。
休む勇気は生きるスキル
ここまでの生き方自体は、ある程度しょうがないのかもしれない。
だって、やってみないとわからないから。
でも、それが進んで鬱っぽくなってしまうと、思い込みが激しくなる。みんなはすごい、みんな頑張ってるのに自分は…などと思ってしまう。
周りがちゃんとできているように見えるのは、単にその人は合っている場所にいたり運がよかっただけかもしれないのに、そういうことはなぜか目に入らない。
今ここに書いていることは、ぜんぶ私個人の経験と考えにしかすぎないのだけれど、これだけは自信を持って言える。周りがみんなすごい人に見えたら、休もう。
そこまで我慢してしまった人は、だいたいどこかで心か体がおかしくなって、ペースダウンせざるを得ない時がやってくる。
でも悲観することはない。立ち止まってみると見えてくる。自分の限界とか、本当はあれがどうしても合わなかった、とか。そこから初めて、どうすれば自分はこんなに死ぬ思いをせずとも生きていけるのかを、考えられる。
30代の実感と後悔
私の場合は、29歳で結婚し、幸せにはなったけれどフルタイムで働くのはとても辛くなった。仕事だけでぐったり疲れる日が増えた上に、二人分の家事がのしかかってくる。
20代は、ストレスや体力的なしんどさを受け止める体があったのだと思う。不健康なほど痩せていて、精神的疲労も今の比じゃなかったのに。ああ、土台が若かったのだと痛感する。ちなみに結婚生活自体に対するストレスは微塵もない。
自分のことがわかってくると、別のしんどさが現れる。そう、『私のいるべき場所はここじゃない』だ。だからといって、じゃあどうすればいいの?
その答えが出なくて、行動力のない人(私)は、ここで延々と悩むことになる。
働き方が合わないのはもうとっくに分かっていたけれど、続けなきゃ続けなきゃと、限界まで辞めないつもりでいた。しんどすぎるのが普通になり、限界がどこかわからなかった。
年をとれば、どうせ変わる
でも、思い切って休むと、そこまで頑張らなくても意外と大丈夫なことに気づいた。
そこから出てみれば、なにも世間はフルタイムで働いている人ばかりではないし、子育て中の専業主婦(育休ではない)も意外に多い。働き方も体力も人それぞれ、と素直に思えるようになった。女性は特に、結婚しても出産するか、出産しても働くかなど、目に見えて枝分かれしていく。
自分がそうしたいから選ぶのではなくて、そうせざるを得なくて選ぶことも多くなるけど、自分のことがわかっているというのはやっぱり強い。優先順位をつけつつ、生活も仕事も、自分は〇〇だからこういうふうにしていこう、という道筋が立てられる。
仮に20代を休まず突っ走れても、どうせ誰にだって変化は訪れる。5年後10年後の自分は今と同じではなくて、よくも悪くも想像した通りにはならない。絶対結婚しないつもりがするかもしれないし、いろんな不調も勝手にやってくる。それは周囲も同じだから、今誰かにチクチク言われたとしても、放っておけばいい。
この仕事を頑張らなきゃ後がない、死ぬしかない、みたいにもならなくていい。無理すればするほど、たぶん、いつかそれは不可抗力によって終わる。あっけないほど簡単に。
だから、あんまり早くから色々決めつけたり自分を追い込んだりして、苦しくなる必要はないよ。
さいごに
むかーしむかし、声優のかないみかさんが『20代の時より、30代の今のほうがずっと楽しい!』とおっしゃっていて、16歳くらいでそれを聞いた私は、その言葉がずっと忘れられなかった。
当時は30代なんて想像もできなかったから、新鮮で。こんな女性もいるんだなって。
その言葉を、今の私も、しんどくなっている誰かに贈りたい。
30代、楽しいよ。20代よりは怖くないよ。
そして今は、もっと年上の楽しそうな人をお手本に生きてるよ、と。