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【大月書店通信】第163号(2022/8/31)

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パキスタンで、国土の3分の1が冠水したといわれる深刻な豪雨・洪水災害が起きています。地球温暖化にともなう異常気象や災害の増加が、多くの人々の生命に関わる問題であることを、私たちの誰もが直視しなければならない時代になりました。

ローマ・クラブの有名なレポート『成長の限界』が出されてから、今年でちょうど50年。気候危機が深刻化するなかで、「地球の限界」や「資本主義の限界」が論じられています。

しかし、8月新刊『LIMITS――脱成長から生まれる自由』の著者ヨルゴス・カリスさんは、「人間の際限ない欲望追求が、有限な地球の限界にぶつかる」といった問題の立て方に異を唱えます。「限界」をそのように「人間の外部」に設定することで、私たちは期せずして、民主主義を通じた解決策を手放しているのだと。

脱成長ムーブメントを世界的にリードする著者による、自由、民主主義、エコロジーの新しい思想。解説には、『人新世の「資本論」』(集英社)で知られる斎藤幸平さんも参加しています。ぜひご一読ください。

【新刊案内】

8月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。

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●脱成長vs.人間の自由? 既存の図式を覆す
LIMITS――脱成長から生まれる自由
ヨルゴス・カリス[著] 小林舞・太田和彦・田村典江[監訳]
小林正佳[訳] 斎藤幸平+FEAST[解説] 2,420円(税込)

ローマ・クラブ『成長の限界』から50年。資本主義の限界、地球の限界……。気候変動とパンデミックのなか、「限界(LIMITS)」が再び議論の中心に現れた。脱成長論の牽引者による、自由、民主主義、エコロジーの新たな思想。

試し読みできます

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●不可視化されてきた現場の実態に光をあてる
テレビ番組制作会社のリアリティ――つくり手たちの声と放送の現在
林香里・四方由美・北出真紀恵[編] 2,860円(税込)

テレビ番組制作に欠かせない存在でありながら、放送局の陰に隠れ、放送制度の枠外に置かれてきた番組制作会社。その実態とデジタル化が進展する放送事業の現在を、関係者のインタビューを軸に描き出す、初の本格的研究報告。

試し読みできます

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●近畿・中国地方の郷土玩具を調べてみよう!
47都道府県の郷土玩具 3 中国地方・近畿地方
日本玩具博物館・井上重義[監修] 斉藤道子・砂野加代子[文・編]
3,300円(税込)

奈良や京都を中心に信仰にかかわる玩具や古い歴史が感じられる玩具に、明治時代につくられた神戸人形などの比較的新しい玩具も見られる近畿地方。日本海や瀬戸内海、中国山地の風土が生んだ中国地方の素朴な人形の数々を紹介。

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●特集=「統一教会」問題とメディア
放送レポート9月号 no. 298 550円(税込)

●紀藤正樹弁護士インタビュー~カルト宗教への対応の見直しを~●〈合法的な搾取〉の追及を~「霊感商法」取材の経験から~(津田正夫)●講演・斉加尚代さん 『教育と愛国』を制作して●大村県知事に聞く「表現の不自由展」

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●特集=教育格差をうまない社会に
月刊 クレスコ9月号 no.258 550円(税込)

家庭の貧困が子どもの教育に深刻な影響を及ぼしている実態が、あらためて明らかにされている。子どもの権利をないがしろにする政策を批判し、子どもたちの豊かな学びと生活のために今、求められていることを考える特集。

【フェア】

★ 緊急フェア「宗教右派とジェンダー~仕組まれたバックラッシュ」 ★

安倍首相銃撃事件を受けた緊急フェア「宗教右派とジェンダー~仕組まれたバックラッシュ」の選書リストを公開しました。

2000年代初頭の性教育・ジェンダーフリー教育へのバッシングにより「排除」された児童書から、近年の保守政治と「家庭」への介入志向を読み解く理論書まで、幅広く選書しています。

現在、大阪の清風堂書店様と隆祥館書店様でフェア開催中です。

他の書店様でもぜひ開催をご検討ください。

9月刊行予定の『改訂新版 統一教会とは何か』(有田芳生 著)もお楽しみに!

【イベント】

★ 抵抗の形を模索する東アジアのフェミニズム・ムーブメント ★

9月16日~18日の3日間、成城大学で開催される「カルチュラル・タイフーン2022」。今年のテーマは「抑圧されたものの回帰、雑多なフェミニズムのための颱風」とのこと。

3日目のシンポジウム「抵抗の形を模索する東アジアのフェミニズム・ムーブメント」は、小社刊『ハッシュタグだけじゃ始まらない』の編者・執筆者による報告です。香港からのゲストも参加予定。

他にも、小社にゆかりのある登壇者やテーマの分科会が盛りだくさん! オンラインも併用なので、ぜひご参加ください。

【話題の本】

★ 『THE GIRLS 性虐待を告発したアメリカ女子体操選手たちの証言』一部公開 ★

7月に刊行した『THE GIRLS 性虐待を告発したアメリカ女子体操選手たちの証言』。ウェブメディア『PRESIDENT Online』で、一部を無料公開中です。

★ 『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』インタビュー ★

ベストセラー『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(加藤圭木 監修・一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール 編)のインタビュー記事が、『モデルプレス』に掲載されました。

【編集後記】

先日、デイヴィッド・フォスターの来日公演を見に都内某所へ。チケットのお値段、なんと23,500円。興味がない方にとっては信じられない額だろうが(お布施とは思いつつも)チケット確保に躊躇はなかったし、金額相応の時間を過ごせたと思っている。
とはいえ、頻繁に来日されたらたまったものではないのだが…(S)

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