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1月の金曜日「満杯ハウス」

 妻の妹が里帰り出産のために妻の実家にいたのだけれど、とある事情(雨漏り的な)でいられなくなり、一部屋余っているからという理由で、義母と一緒にウチに来ることになった。確かに、ゆくゆくは娘の自室にするつもりの部屋は余っており、ちょっとした物置的に使っていて有効活用しているとは言い難い。事情が事情だし、僕としても無下には出来ないので、一時的に一緒に住むことになった。僕も自分の娘が生まれた直後は、妻の実家にかなりお世話になったので、恩返しというわけではないけれど、役に立てて嬉しさもある。分不相応ながら中古マンションを買って良かった。おかげでローン地獄だが。まぁ、楽しい地獄だから良しとしよう。

 今日の昼までは、妻のもうひとりの妹とその子供も泊まっていたので、僕含め大人五人、新生児含め子供三人という、サザエさんかよ! 的な状況だった。余っているとはいえ一部屋、広さは六畳なので、一時的とはいえ寝るときはタコ部屋みたいになっていて(言葉よ)笑った。僕以外は全員女性で、肩身が狭いということはないのだけれど、僕は親戚含めみんな男系家族だったので、この女系家族の感じは新鮮さもある。気分はなんかビッグダディといった感じ。観たことないので知らんけど。そういえば元バンドマンが奥さんの実家で暮らすことになった小説が昔ありましたね……。

 さて、姪っ子たちから見て、僕は伯父さんなのだけれど、それを自称するのはなんとなく憚られる。とはいえ、「おにいさんだよぉ〜」というのも違う。村上春樹『ダンスダンスダンス』に「おじさんはひどい。僕はまだ三十四歳だ」的な台詞があったので、それを根拠(?)に、三十四歳を過ぎるまでは断固としておじさんだと自認しない、というポリシーを持っていたけれど、もう三十七歳だ。どうしたものか、と悩む僕の脳裏に、あの歌がうっすらと聞こえてくる。薄らぼんやりと、あの懐かしいメロディがフェイドインしてくる。『エビウェイユーロー♫ エビウェーイ♪  イザハー イザハー♬  アキーノホン ホンチュー♫』そうそうそう! たしかERの最後の方のシーズンにも出てたよね? ということで、『おいたん』を自称することにして無事解決。セットした髪に触っちゃダメ、なんかたまにギターを弾くとこも完コピだ。

 娘も賑やかな家の雰囲気の中で楽しそうだ。ちやほやされている赤ちゃんを横目に若干赤ちゃん返りしてしまっているきらいもあるけれど、まぁ良いでしょ。人数が増えて、トランプに人生ゲームにと、やりたいことがたくさんで忙しそうだ。どこを見渡しても誰かしらがいるという状況だけれど、僕には自分の部屋があるから大丈夫。まぁ、あまり長居してないけどね。

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