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縦スクマンガWebtoon作品の応募作品「医療系」「恋愛系」について解説するやつ

コルクスタジオで縦スクロールマンガの賞が開催されています。縦スクマンガはいわゆるWebtoonって言われてるスマホで読みやすいマンガのことです。(Webtoonは商標登録されてるので、たぶん用語として使ってないのかなと)

ネーム応募が可能なので、みじんことオーマもさっそく2作品出してみました。縦で読まれること、現在のWebtoon市場のことを考えてつくってみたので、今回はその辺を解説していきます。

1)Webtoon作品は傾向がある

ざっと縦読み作品を見てみると分かるかなと思うんですが、2022年12月現在だと、Webtoonであんまり多様性がなくて、けっこうジャンルが絞られてるんですね。
男性向けだと無双する系のアクションモノ、女性向けだと中世ヨーロッパが舞台な感じの恋愛モノ、現代だと不倫モノ、みたいな感じです。

昨年くらいからWebtoon制作スタジオが増えてきて、脚本や線画担当する人が求められ始めてきたんですが、いくつか応募し、各社の編集者と話してみて分かったのは「医療系」は求められて「いない」ということです。

医療モノもあるんですけど、コンピューターと同化して無双するとか、前世の知識を使って無双するとか、医療のおもしろさよりも「無双」の気持ちよさが売りになってる感じがしました。

また、某社の編集さんに聞いたところ、縦読みのほうが絵のクオリティーが求められてる、というようなことを聞きました。その方が「サッカー漫画が難しいかも」という考察もされていて、その理由として、横にパスをしにくいから、言ってたんですね。アクション系が人気になるのも、縦画面で戦いや魔法の魅力を出しやすいからじゃないかって言ってて、なるほど~って思った思い出があります。

2)絵が描けなくてもチャンスがある

無双アクション系とか、中世ヨーロッパ風恋愛系とか、そこまで興味はないんですが、みじんことオーマはマンガ・小説ジャンルでの実績はありません。しかし、Webtoonだと企画脚本のみ、ネームのみ、線画のみ、着彩のみ、と分業制でつくるので(1人でつくってることももちろんある)、絵が描けなくても物語だけ魅力的につくれれば、「物語を仕事にできる」チャンスがあるなって思ったんです。

好きなことを自分の好きにつくりつづけるのは楽しいですが、私自身は「うまくなりたいなら早く仕事にした方がいい」と思ってる派なんですね。やり方が合うかどうかは人それぞれですが、自分は最初からプロになったほうがうまくなるし、そのほうが楽しいと考えてるんです。

物語で食べていけてないと、生活の糧をどこか別で探さないといけないし、ぜんぜん違うことをやりながら物語をつくれるほど、物語をつくるってぬるくないんです。創作はめちゃくちゃ頭を使う。だからこそ創作なら創作に集中できた方がいい、と今の自分は思っています。

とはいえ、自分がふだんあまり読まないジャンルの物語をつくりきれるのか。すでに出てるWebtoon作品を読みつつ、各社に企画応募してみました。
結果、数か月の間に5~6人くらいの編集さんと話し合って企画をブラッシュアップしたり、ボツになったりしつつ、いろんな知見を得ることになりました。いくつかはまだ継続中です。

2)Webtoonと横読み作品は読者層が違う

Webtoonは2022年6月くらいから研究し始めたのですが、早めに応募して編集者と話せたおかげで、いろんな知見が得られました。それを活かして描いたのが作品『お菓子の魔法使い』です。(持ち込みしたいので、作品へのリンクは取っちゃったよ)

流行りの中世ヨーロッパ風の世界を舞台にした恋愛モノなんですが、主人公がパティシエールでお菓子つくりが得意、ヒーロー役が魔法使い、ということで「絵映え」をめちゃくちゃ意識しています。

この企画はもともと他でいいとこまで言ってた企画で、そこからさらにブラッシュアップしてWebtoonの読者に受けるような展開に直した感じですね。横読みと縦読みでは読者層がかなり違うという話もあって、縦読みの読者は基本的に「スキマ時間」に読むので、複雑で難しい話はあまり好まれないという話もあります。

Webtoon発祥の韓国では、いろんな作品があり、中には哲学的なものもあったり、そもそも分業じゃなく一人でつくってるものもあるみたいなんですが、日本に来るのは「売れた作品だけ」なので、黎明期の現在は傾向が偏ってしまうのかもしれません。

とはいえ、コルクはこれまであんまり売れ筋っぽい作品を狙いにいかない傾向がある気がするんですよね。

「物語の力で、一人一人の世界を変える」をミッションに掲げていて、100年読まれる作品をつくろうとしている企業が、今の売れ筋を追うかなぁと。

そんなわけで、『お菓子の魔法使い』も、企画として通るのであれば、冒頭はマスに届くように売れ筋を押さえつつも、恋愛に終始するよりは、もうちょっと人間の難しい内面を描けたらなとは思っています。

落ちたら、もうちょっと直して他に持ち込んでもいいしね。

3)タイミングが合うかわからないけど医療系も出す

そしてもう1本。山羊からヒトに生まれ変わったお医者さんを主人公にした今回の縦スク賞に医療SFを応募してみました。

この企画は他のWebtoonスタジオでは、ほぼ受からないと思っています。現在の売れ筋と違いすぎるので、読み手と作品の足並みがそろうかが分からないからですね。特にWebtoonはフルカラーでつくる分、コストがめちゃくちゃかかるので、スタジオとしてよほどヒット作を多数抱えていないと、リスクを取り切れないはずです。Webtoonはリリース時に16話くらいを一挙公開するのが普通なので、売れないとけっこうな赤字かぶっちゃいますから。

ただ、コルクだったら攻めるかもしれない、と思って、今回は縦スクに合わせて制作してみました。そんなわけで、王道売れ筋企画と攻め気味の企画と2種類を今回応募してみました。中間がなかったですが締め切りまで間に合わないので仕方ない。

どちらも3話まで描いて応募するつもりでしたが、『神々のカルテ』は1話しか終わりませんでしたね。。3話までシナリオは描いたので、今年中には3話分アップしようかなと思っています。

もとの『異種性クロニクル』というタイトルは気にいってたんですが、「医療モノ」っていうのが分かりにくいので変えました。弟子が主人公の『王様のカルテ』っていう話と姉妹作品なことがわかるように、カルテってところだけそろえたよ。

もともと一番描きたかったのはこの弟子の話なんですが、ストーリーラインが難しいので、BLACK JACK形式で数話ごとにいったん解決していく先生の話で物語の見せ方を修業しつつ、作品の世界観について自分の中でも深めていけたらなと思っています。

とりあえず、コルク代表の佐渡島さんに一年前、「世界観があるのは分かったけど、分かりにくい」「なんの話だかぜんぜん分かんなくてどこを楽しめばいいのか分からない」ととにかく「分からない」連呼された状態から、「他者が読んでも分かる」状態にもっていけてたら、進歩したかもっていう気がします。

あとは客観視点でもちゃんとおもしろくできるようにつくりつづけていきたい!改善点は自分で考えるのでアドバイスはいらないですが、こんな風に思ったよ、ここがよく分かんなかったかも、っていう感想コメントは大歓迎です!

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