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「夜の案内者」鐘の音の町7

 数日後、アサはネズミと一緒にルゥの骨を池につくっている畑の近くに埋めに行くため、死んだ鼠の脂を練り合わせてつくったロウソクに火をつけ、足元を照らしながら歩いていた。彼女の希望どおり、ルゥの肉は刻まれ、人々にふるまわれた。
 手のひらに収まるくらいの少量の骨を、土に埋めて上に石を乗せる。両手を合わせて目をつぶり、彼女のために祈った後、立ち上がったアサはネズミに話しかける。
「ずっと言えなかったんだけどね。あなたが死んだ理由。わたしがあなたを殺した理由、かな」
 アサはそこで一度言葉を切り、ルゥの墓を見たまま言った。
「特に、ないの。ただ実験のためにあてがわれて、それで殺しただけ。素敵な理由をつけるなら、薬の使い方や身体の構造、組織の保存方法とかを学ぶため」
 ネズミは無言のままだった。どんな表情をしているかも分からない。
「でも、いのち、みたいなものに、初めて触れたと思った」
 地平線の向こうに残っていた光の残骸が消えた時、空に鐘の音が響いた。

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小説投稿サイト「エブリスタ」で連載中の「夜の案内者」の転載投稿です。
物語のつづきはエブリスタで先に見られます。

▼夜の案内者(エブリスタ)
https://estar.jp/novels/25491597/viewer?page=1

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