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現代ファンタジーの書き方

さて、異世界ファンタジーに続いて、現代ファンタジーの書き方です。

これに関しては、正直な話、何から話すべきか、というのに困っております。

と言うのも、「現代ファンタジー」というくくりが、あまりにも定義が広すぎて、色々な作品に適用できてしまうからです。

それこそ、ローファンタジーでも、ハイファンタジーでも、現代を舞台にしたファンタジー作品であれば「現代ファンタジー」になる。

しかも、書き方によっては、ジャンルが「SF」にもなり得るし、「ホラー」にもなり得るという、なんともジャンル分けが難しい分野になります。

ですが、そんな中でも、共通して適用できる注意点はありますので、そこについて語っていきたいと思います。

1.舞台設定に関する注意点

現代ファンタジーを書く際に、舞台をどこに設定するか、ですが、これはもう日本語で書く小説であるのなら、間違いなく舞台は「現代日本」にすべきです。

さらに言うのなら、「東京」であるのがベストです。(ただし、作中で明言する必要はありません。あくまでも、東京が舞台だろうな、と感じ取れるくらいの描写であればいいです)

これは、前回の異世界ファンタジーに関する解説で「ナーロッパ」のことを説明しましたが、「現代日本」「東京」というのが、一番多くの日本人読者にとってわかりやすい舞台となるからです。

例えば、舞台を「現代中国」にしたとしましょう。でも、現代の中国がどういう環境で、どういう日常生活を送っているのか、知っている読者はほとんどいません。となると、作中でいちいち説明が必要となるわけです。この説明が面白ければ、それはそれでありかもしれませんが、たいていの場合は本編に移行するまでにワンクッションを置くこととなるので、邪魔くさいだけで終わってしまいます。

同じ理由で、舞台を「東京」以外の土地、例えば石川県の金沢市にしたとしましょう。ですが、金沢に住んでいる人以外は、そこがどんな土地であるか、熟知している読者は少ないです。そもそも、地理的にどこに位置するのか、もわかっていない人が多いです。

そこで、「現代日本」の「東京」とすると、これはもう、一気にわかりやすくなる。住んだことがなくても、行ったことがなくても、なんとなく大都会で人が大勢いるなあ、というイメージは湧いてきます。また、人が大勢いる、ということは、物語作りにおいても大きなメリットとなります。物語は、人と人が織りなすものですから、人と関わる機会が多い場所というのは、それだけダイナミックに話を展開しやすくなります。

……とまあ、ここまで、「現代日本」の「東京」を推してきたわけですが、あえて差別化を図るために、地方都市や、小さな町村を舞台にする、というのも全然ありだとは思います。

ただ、その場合は、「なぜそこが舞台なのか」という必然性を物語に持たせることが重要です。

例えば、私が過去に書いた失敗作では、『魔女のキックが世界を変える』というものがあります。これは、表の顔はキャバ嬢で、裏の顔は仕事人、という女の子達が活躍する武闘アクション物ですが、よりによって、舞台を石川県の金沢市に設定してしまったのです。では、金沢である必然性は? と問われると、特にそこである必要はなく、明確な回答を出せない感じです。ただ単に金沢が好きだから、そこを舞台にした。それだけの理由でした。

必然性が無いままに、地方都市や小さな町村を舞台にすると、どうしても色々な制約が出てきてしまいます。なので、あらためて書くなら、物語上そこである必然性が無いのなら、舞台は「現代日本」の「東京」に設定するのが最適なのです。

2.では何を書くか、という問題点

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