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年齢を重ねるごとに身体は衰える。でも感情は...

年齢を重ねることは「孤独・絶望的・哀しい」というネガティブなイメージが湧きませんか?そもそも「老化」という言葉自体がネガティブなイメージに直結するワードです。

実際、多くの人は足腰の病気や、生活習慣病などの肉体的な病気。もしくは心理的なストレスや、家族・友人の喪失に伴う悲しみに直面しています。

一方で、2000~2009年に行われた研究によると、大人になってから少なくとも70~80歳までの間、幸福感はかなり高いレベルで維持され、感情が安定するという事が示されています。しかもこれは一部の幸福なヒトだけでなく、ほとんどの人に当てはまるのです。

年齢を重ねれば肉体も脳も衰えていくハズ。普通に考えたらネガティブな影響しかないと思いますよね。でも、ほとんどの人はそうではないという事です。『なぜでしょう??』

今回は、”年齢を重ねて身体が衰えても、ヒトの感情は衰えない”それどころか、”成長する部分も大いにある”という事を2010年のスタンフォード大学の研究を踏まえて解説していきます!

歳は絶対にとっていくもの。若返ることはありません。だからこそ、悲観的に捉えず、立ち向かう勇気を!


なぜ、感情は加齢によって衰えないのか?

1990年代から2000年代に提唱された、加齢により感情がポジティブになっていくという5つの理論を紹介します。

1.死や寿命と直面する事が、今という瞬間の感情への満足感を高めてくれる。
2.加齢により認知能力が低下し、否定的な感情を理解することが難しくなるため、ポジティブに解釈することが多くなる。
3.過去の経験に基づき、これから自分が感じそうな感情をあらかじめ理解して、行動を変えることが出来る。
4.加齢に伴い、脳の構造は不幸を感じやすい部分から損傷していく傾向がある。
5.ストレスによる体の反応が加齢により減少していく。

2.4.5あたりは自分にとって非常に都合のいいことですね。不幸・ストレス・ネガティブといったもの自体を感じる能力や、反応する能力自体が損傷すれば、幸福を感じるしかないというシステムですから、なかなかに都合がいい。

理屈ばかり言ってもしょうがないので、実際に面白い研究を見て検証していきましょう。


年齢を重ねることによるボーナスエフェクト『陽性効果』とは?

2003年の研究によると、高齢者と若者を集め、できるだけたくさんの画像を思い出すように指示したところ、高齢者は少ない量しか思い出すことが出来なかったのですが、ネガティブな画像よりも”ポジティブな画像をより多く”思い出しました。

逆に若者はネガティブ/ポジティブを同じくらい思い出しました。

この効果を研究チームは”陽性効果”と名づけました。

この効果は世界中の研究所で再現されており、f-MRIを用いた脳イメージングにおいてもその証拠が見つかっています。

2007年による追加実験によると、ポジティブ感情は高齢者も若者も変わらないのにもかかわらず、年齢を重ねるごとにネガティブ感情を忘れやすくなっていることが判明しています。

この都合の良い脳機能の損傷は、より強い幸福感を感じる為に非常に重要な役割を果たしていると研究チームは結論付けています。


感情コントロールは年齢を重ねるごとに上手になっていく。

高齢者は、感情的な映画を見たり、エピソードを思い出したりしたときに、若者よりも涙を流したりするような反応が鈍くなっていることが分かっているいます。

一方、自分自身では若者と同じくらい強く感情が動いたと報告する傾向にありました。

この2つから言えることは、高齢者は感情を強く感じていると自分では思っている為、幸福感はとても感じやすい傾向にあります。

しかし、悲しいことや高ストレス下においても涙を流したり、痛みを感じたり、うつになったりというような身体的な反応を感じにくく、不幸を感じにくい傾向にあるといえるのです。

実際の生活においては、対人関係では対立を避け、おなじみのグループだけで遊ぶ傾向があり、怒りを経験することは少ないというデータが2008年にBucksらによって報告されています。


この記事で伝えたかったことは...

何やら理屈やら実験やらをひたすらたくさん並べましたが、私が伝えたかったのは”歳を重ねることをビビりすぎる必要はどこにもない”という事です。

年齢を重ねることは「孤独・絶望的・哀しい」そんなの人が決めたことです。TVが決めたかもしれませんし、映画かもしれません。周りの人がそうでしたか?

でも、年齢の重ね方なんて人それぞれ。体は衰えるかもしれませんが、感情は衰えません。それどころかポジティブに成長する場合だってあるんです。

年齢を重ねて、さらに幸せになったっていいじゃないですか。

自分の人生の歩き方は、自分で決めてください。それがきっと、あなたにとって最高の幸せをもたらしてくれます。加齢は怖いことじゃありません。本当に怖いのは、自由に自分を選べないことです。私がいつも人生について見つめ直してほしい時に進める本。それが、ブロニーウェア著:死ぬ瞬間の5つの後悔です。この本には、人生の最後に死の床で語られた”誰にでも共通する後悔”が書いてあります。器用に生きられないアナタが、幸せに生き”きる”ために。この本を贈ります。

そして、本はどうしても読めないというヒトの為に、年齢の取り方を見返したい時にオススメな映画がコチラ。プライムなら無料ですよ。


引用
Scheibe, Susanne, and Laura L. Carstensen. "Emotional aging: Recent findings and future trends." The Journals of Gerontology: Series B 65.2 (2010): 135-144.

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