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自分の頭で考える

仕事をしていると「どうすればいいですか?」という、あたかもこちらが最適解を知っているかのような問いを受けることがよくあります。

私も全知全能の民ではないので、分からないことはたくさんあります。しかし脳は空白を嫌うので、自分の知識や経験から当てはまりそうな答えを探して、どうにかこうにか回答を導き出します。

このような質問をされると、脳のリソースを吸い取られてぐったりします。ですが、毎日のように「どうすればいいですか?」と向き合っているうちに、考えて決断することが上達していく感覚を憶えるようになりました。

おそらく筋トレやマラソンと同じで、決断の回数を重ねるほどに考える力も鍛えられていくのだと思います。

問題解決と意思決定のプロセス

KT法は、社会心理学者のチャールズ・ケプナーと社会学者のベンジャミン・トリゴーが、問題解決と意思決定のプロセスを体系化した思考法です。

KT法では、思考、反応、行動のパターンは、次の4つのプロセスに分類できるとしています。

ケプナー・トリゴー(Wikipedia)より引用

「どうすればいいですか?」には複数のレイヤーがあります。分析段階で袋小路に陥っている場合もあれば、状況把握(SA)すらままならなず立ち止まっているケースもあります。

どのような問題解決でも、まずは現状を正しく把握するところからスタートします。そのうえで適切な分析フェーズへと進んでいきます。

4つのプロセスのなかから、意思決定に直結する決定分析(DA)を深掘りしてみましょう。

決定分析(DA)の4ステップ

決定分析とは、複数の選択肢から最適案を決定するプロセスです。とりわけビジネスにおける意思決定においては、期待成果、制約条件、リスクを幅広い観点でバランスよく考慮して、効果、効率、納得性の高い決定を行うことが求められます。

決定分析は、以下のステップで行います。

1.目的の明確化:意思決定の目的を明確にする
2.目標の設定:評価基準となる期待成果と制約条件を列挙し、重みづけにより意思を視覚化する
3.案の発想と評価:目的を満たすための案を発想し、目標と照らして評価する
4.リスク評価と最終決定:案を選択した場合のリスクを考え最終決定を下す

ケプナー・トリゴー(Wikipedia)

1.目的の明確化

まずは、何をすべきかという目的を明確にします。

目的と目標はよく似た単語ですが、「〇〇を達成するために、××をする」と表記したとき、〇〇が目的で××が目標です。目的=KGI、目標=KPIと置き換えてもよいかもしれません。

2.目標の設定

目的が明確になったら、何を達成すれば目的が成し遂げられるのかという目標をリストアップしていきます。

リストアップした目標をMUST(必須)WANT(できれば)の2つに部類します。MUSTは必ず達成すべき目標、WANTは達成出来たら嬉しいなという目標です。

さらに、WANT目標に優先順位(重み)を付けていきます。1~10などの数値を付けて定量的に判断を行い、どのWANTを優先すべきかを考えます。

3.案の発想と評価

目標の優先順位付けが終わったら、意思決定の案を考えます。ここで考える案は、すべてのMUST項目を満たしている必要があります。

案の候補が出揃ったら、WANTの視点で点数を付けていきます。下記の3つの案の中では、WANTのptが最も高い案2が最有力候補です。

4.リスク評価と最終決定

案を絞ることが出来たら、将来的なリスクを考慮します。問題ないことが確認できたら、意思決定は完了です。

意思決定することの大切さ

少し小難しい書き方をしましたが、意思決定とは複数の選択肢から最適案を決定するという行為です。これは「選択肢を考える」「最適案を選ぶ」の2つのステップに分けることができます。

自分で選択肢を考えることは、問題解決能力の向上にとって極めて重要な行為です。わたしたちは自分で選択した案で成功したという体験を通じて、別の問題に直面したときに対処する自信を得ることができます。

自らの知識や経験に基づいて決定を下し、それに対して責任を持つことは、自己のアイデンティティを強化し、他人から信頼を得ることに繋がります。

自分で考えたけれど最適案が決められないという人は、意思決定に対して少し誤解をしているかもしれません。

意思決定とは、正解を見つけるプロセスではありません。選択肢の中から最も適した道を選ぶことであり、それが後に正解と呼ばれることもあれば、そうでないこともあります。

重要なのは、その時点で利用可能な情報、状況、個人や組織の価値観に基づいて最良の選択をすることです。平たく言うとどの選択肢に張るか、ということです。

自分が下した意思決定が、失敗や予期せぬ結果を招くこともあるでしょう。その経験から得られる教訓は、次の意思決定の改善に役立ちます。意思決定は結果だけでなく、プロセス自体が価値を持つのです。

自分の頭で考えて決める習慣をつけよう

「どうすればいいですか?」と尋ねることには、メリットとデメリットがあります。他者の意見を聞くことで見落としていた選択肢に気付くこともあるでしょう。しかし、他者に頼りすぎると自分自身の意思決定能力が鈍る可能性があります。

情報が不足している、時間が限られている、または単に経験がないなど、様々な理由で自分で選択肢を考えるのが難しい場合があります。しかし、自分で考えることによって問題解決能力が向上し、新たな問題に立ち向かう自信に繋がります。

自分の人生において、重要な決断を下すのは自分自身です。自分の能力を信じて、自分の人生を自分の手で導いていく勇気を持ちましょう。

では。


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