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東京の寒さは不味い。

東京の寒さはうすら不味い。
開け放つ前の扉の隙を流れ込む外気に、清廉な冷たさがない。
肌理を透き抜けるような冷やかな誘いがない。
東京の寒さは澱んでいる。

東京の寒さは、微温い水に喩えられよう。
それは、口腔の粘着を漱いでくれるも、喉を抜ける時に体温を残していく。
よく冷えた水ならば、喉を澄まし、胃を澄まし、気持ちも澄まし、脳を醒ます。
微温水は、寧ろ、口に這っていた粘着を体内に薄く広げてる。
東京の生微温さは、ねばねばしている。

このような心象を描くのも、初めて東京訪れた時に視景に捉えた、あの灰色がかった金属製の空気の所為に他なるまい。

あの時点で「東京の空気は汚い」は、私の内に確固たる事実として植え付けられた。

あの光景が精神を支配している。

東京に着てから侵されている蕁麻疹も、真に空気の汚れた所為か、精神的頓狂の所為かも知れない。

東京の空気にノレない。

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