【散文詩】実験材料にされ続けた馬鹿の記憶

切創から凝固した水銀の粒子が悪夢を扇動する

有機体を機能不全に追い込んだ淡い記憶が生霊ののぞみを叶える蜜を口角から一雫

唇が隠微な二枚舌をチロチロと理性を融解して切り裂く
飢えと灼熱は本能をくり抜きコーンに添えて二枚舌に差し出す
施錠を外しドアのぶが廻される
咄嗟に理性を帰還させる手際に見惚れるしかない
何ごともないふりは夢と現を逆転させる新手の詐欺の手口だろうか
踏み台にされ責任の濡れ衣を重ね着させられるたびに節操のない二枚舌の欲望は真面目な顔が八つ裂きにされる夢をみる
唯々諾々と事大主義の悪弊を駆使してのさばる抜け目のない右顧左眄の鬼畜は顔色ひとつ変えずに刎頸を裁ち落とす
正当な防衛手段の行使は無罪放免の不起訴処分