眠れぬ夜のジャックラカン

明日は朝早いのに眠れない夜。そんなときにはラカンを繙く。

翌朝は涎の臭気にさらされた単行本が壊死している。

夢の中に精神分析医はおらず、「小説の神様」に喧嘩を売った安吾がいた。

仲間(太宰)の掩護射撃だ。

安吾は「小説の神様」には「文学の問題はない」と看破した。

「文学のふるさと」を感知出来ない奴は金持ちだろうが賢かろうが文学の圏外だ。

言葉による「描写」が失われたとき近代文学は終わった。

おそらく生物史の中で最も「文字」の反乱する現在において、象徴界は他者との縁になることはなく、小さな共同体の中でのみ通じるコモンセンスに乗っかる極小の言語圏に分裂している。

そう、既に国内はもとより国際的にも「対象α」には無数の変異体が存在している。

「開かれた共同体」など絵空事だ。開けばバラバラに散り同一性を保てないし、閉じれば密な縦社会が出現する。

逆説的な二項を安易に順接されるかのように言説化するだけの遊戯は刹那的過ぎる。
テイラーの焼き直しで1984を克服できはしまい。