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【本紹介】『ステレオタイプの科学ー「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか』

女性は理系科目に弱い、男性はコミュニケーション力が低い。
こうした、人をある種のカテゴリーにあてはめて見る固定観念のことを「ステレオタイプ」という。

このステレオタイプは、人のパフォーマンスに大きく影響を与える。

実際には能力差がないにも関わらず、周囲からステレオタイプに基づく目で見られることを恐れ、それに気を取られてしまうことで、実際にパフォーマンスが低下し、恐れていた通りのステレオタイプをなぞってしまうという現象が、繰り返し確認されている。
これを「ステレオタイプ脅威」という。

数学の能力に差がないにも関わらず、学校の数学のテストでは、女性の平均点が低い。
運動能力に差がないのに、黒人よりも白人の走る速さが遅くなる。
赤ちゃんの扱いに慣れていない男性が、それを気にするあまり緊張してしまい、抱っこすると本当に赤ちゃんが泣き出してしまう。
身の回りにはステレオタイプ脅威が溢れている。

しかも、実際に周りからの偏見や差別がなくとも、本人が周りからどう思われるかを恐れるだけで、ステレオタイプ脅威が生じてしまうのである。

この影響は本人の人生に大きく悪影響を与えてしまう。しかも、身の回りに溢れている現象なのだ。

しかし、その対処法は実は簡単である。
ちょっとした声かけや環境設定で、ステレオタイプ脅威によるパフォーマンス低下を防ぐことができる。

ダイバーシティが叫ばれる今日、ステレオタイプ脅威の理解とその対処法の徹底の重要性はますます高まるばかりだ。
本書は、ステレオタイプの悪影響のメカニズムと実践的で有効な対処法をともに示してくれる。



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