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【落語好きの諸般の事情】#07 玉石混交?落語映画問題

2005年放送のドラマ『タイガー&ドラゴン』(TBS)が落語ブームの呼び水になったといわれる。一般的には。しかし実際のところそれだけじゃないのは、ブーム前から落語を追いかけていた者はみんな感じているし知っている。
マスコミが落語というジャンル自体を忌避していた1990年代から、当時の若手落語家や落語会主催者による地道なライブ活動の蓄積はあったし、『タイガー~』直前の2000年代前半に人気落語家が次々と他界したことが、変革のタイミングとちょうど重なったのもあった。2004年から5年間開催された地域イベント「大銀座落語祭」の存在も大きかった。爆発するマグマの準備は着々と進んでいたことは忘れちゃいけない。その上で、それらの要素とは別に『タイガー~』でマグマの量が増えたことに異論は全く無い。このドラマの影響で、今まで避けてきた層や媒体が確実に目を向け始めたからだ。

『タイガー~』の功績は、落語ファンの裾野を広げたことの他にもう一つ、映画・テレビ・雑誌で落語をテーマにした作品や特集がイッキに増加したことである。
最も顕著なのが映画で、2005年以降、私が知っている限りではこれだけ落語に関係した映画が公開されている。落としているのもあるはず。

『寝ずの番』(2006年)
『しゃべれども しゃべれども』(2007年)
『やじきた道中 てれすこ』(2007年、古典落語ネタ多し)
『歓喜の歌』(2008年、立川志の輔の新作落語が原作)
『落語娘』(2008年)
『シネマ歌舞伎 文七元結』(2008年、歌舞伎舞台を映像化した作品)
『アニと僕の夫婦喧嘩』(2009年)
『ドキュメンタリー映画 小三治』(2009年)
『落語物語』(2011年)
『月光ノ仮面』(2012年)
『らくごえいが』(2013年、オムニバス)
『TOKYOてやんでぃ』(2013年、うわの空・藤志郎一座の芝居が原作)
『トワイライト ささらさや』(2014年)
『もういちど』(2014年)
『の・ようなもの のようなもの』(2015年)
『ねぼけ』(2016年)

ここでは単純に公開年数順に並べた。
私が観たのは16本中11本だが、素敵な作品もあれば、「なるほど、こう来たか」と唸る作品もあった。また開始10分で「あー、この製作者、落語に興味無いな…」と思える作品も正直あった。どれがどうという指摘はここではしないけど、いずれにしても「落語映画」というジャンルがこの時期に確立したのではないかとさえ思える量ではある。その意味では、数の多さは今後のジャンル存続のためにも重要なのである。仮に玉石混交だったとしても。

冒頭ドラマの話からスクリーンの方に話題がシフトしてしまった。今までになく長くなってしまったので、テレビにおける落語が題材のドラマ・バラエティについては、またいずれ改めて。


さて、ここから先は今回のオマケです。
過去に拙サイト「落語別館」の日記やブログで書いた、東京時代に足を運んだ寄席と落語会の観覧記。それにちらっと説明を加えてのリサイクル公開(一部本邦初公開もアリ)。第7回は、今からちょうど10年前にあったメモリアル落語会の思い出です。

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