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大人の食育講座 〜献立の立て方と調理のコツ〜 ②

コープみらいブロック委員様からのご依頼でコープみらいの組合員様向け墨田・台東カレッジ「大人の食育」連続講座の第1回目の講師を担当させて頂きました。

前回の献立の立て方のコツに続きまして、調理のコツのお話です。

なかなか味が決まらない

お料理のお悩みで多いのが、「上手く味が決まらない」というものです。毎日の食事は、なるべくシンプルな材料をシンプルな調味料で食べるのが1番負担にならずに続けられますし、使う調味料が少なければ味も決まりやすくなります。調味料を減らせば、その分食材にコストを多く振り分けられるので、結果としてより多くの栄養が摂れる食事が出来上がるというわけです。

シンプルな調味料として大切なのは、塩とオイルです。質の良い塩とオイルがあれば、大抵の野菜は美味しく食べられます。

おすすめのオイルはごま油とオリーブオイルです。ごま油で炒めると和風、中華風、韓国風に、オリーブオイルで炒めると洋風に食べる事が出来るので、同じ食材でもバリエーションが増やしやすいのです。オイルは、炒めなくてもスープにひと回しして風味やコクを出したり、生野菜のドレッシングとして和えたり、使い道は色々あります。

ただ、シンプルな食べ方に慣れていないと物足りなく感じる場合もあるので、その場合はお醤油やみそなど、それ自体が旨味を持つ醗酵調味料を足すと良いですね。オイスターソースやナンプラー、練りごまなどもあれば便利ですが、無理に揃える必要はありません。基本調味料の「さしすせそ」とオイルがあれば充分です。

【基本調味料】
さ … 砂糖
し … 塩
す … 酢
せ … 醤油
そ … 味噌

煮物の味付けのコツについては先日公開した記事に詳しくご説明しています。

ご高齢者や病気などで塩分を控えたい場合は、酸味を上手く取り入れると減塩しやすいので、レモン果汁やお酢を取り入れてみて下さい。

旨味の在り処を知っておく

料理を美味しくするキーワード「旨味」ですが、旨味は一体どこにあるのでしょうか?
出汁の代表的な材料である風味原料と呼ばれる鰹節、干し椎茸、昆布、いりこなどでしょうか?(「かしこい」お出汁、と覚えましょう)

これらには特に多くの旨味成分が含まれますが、お肉や魚介、乳製品や野菜にも旨味は含まれています。多いか少ないかはありますので、旨味の多い食材と少ない食材を上手く組合わせると、本当に塩とオイルだけでも充分美味しいお料理が出来るのです。

レッスンで作るクリーム煮は生徒様に大変好評ですが、調味料は塩とバターだけです。後はソーセージと牛乳やチーズの旨味と野菜の旨味を組み合わせているので、しっかり旨味がある味に仕上がります。
また、魚の煮付けや貝のおみそ汁に出汁を入れなくても美味しいのは、このためです。

では、旨味成分とは何かと言うと、グルタミン酸をはじめとしたアミノ酸類です。主なアミノ酸としては、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸、などがあります。
加工食品の原材料表示を見ると「調味料(アミノ酸)」と書いてあるのは、これらの旨味成分を添加していると言う事です。いわゆる「うま味調味料」ですね。ほとんどの場合グルタミン酸を指しています。

また、一流料亭では鰹節と昆布の合わせ出汁が使われますが、別々でも充分美味しい出汁をなぜ合わせるのでしょうか?
鰹節の旨味成分はイノシン酸、昆布はイノシン酸なので、異なる旨味成分を合わせると相乗効果でより美味しくなるため、鰹節と昆布を合わせるのです。

ちなみに、干し椎茸にはグアニル酸、貝類にはコハク酸が多く含まれているので、寄せ鍋の〆の雑炊はたくさんの旨味成分が合わさっているのでとても美味しいのですね。

また、野菜にも旨味成分を多く含むものがあります。何だと思いますか?
1番多いのはトマトです。
思い出してみて下さい、トマトとニンニクとオリーブオイルだけで作るパスタがありますが、とても美味しいですよね。トマトの旨味にニンニクの風味とオイルのコクが合わさり、充分美味しく食べられます。
他の野菜ですと、白菜やきのこ類などが挙げられますし、だいたいの野菜に多かれ少なかれ旨味成分が含まれていると考えて良いでしょう。

最後に、皆さんとみそ玉を作って、ご試食頂きました。

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生徒様にお話を伺うと、「おみそ汁を作るのが面倒」と言うお声が少なからずありますが、時間に余裕がある時にみそ玉を作っておけば、お椀に入れてお湯を注ぐだけでおみそ汁が食べられますので、是非お試し下さい!

試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!