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「なぜ」が生まれにくい世の中で

最近読んだ本
「ロウソクの科学」が教えてくれること
について、気づきを書いておこうと思う。
科学者ファラデーの歴史的名著「ロウソクの科学」を元に
ファラデーの講義を写真入りで、わかりやすく解説してくれている。

身近な「なぜ」から世界は拡がる

ロウソクはなぜ燃えるのか?
そんな疑問からこの本は始まる。
ロウソクの燃焼で、一体何が起こっているのかを解説してくれている。
それ自体は学生時代の勉強したことを思い出しながら、興味深く読める。
ファラデーが講義をしたものを再現しているのだが、こんな先生がいたら面白いだろう。聴衆が興味を引くような講義の進め方、わかりやすさがそこにはある。
ロウソクの世界にどんどん引き込まれていく。

ロウソクはなぜ燃えるのか?
当たり前のことに疑問を持つことがなかなかできない世の中になってきている。
つい先日、新聞の記事に「地球の地軸は傾いている、なぜ地軸が傾いているのかは諸説ある」と言うようなことを書いてあった。地軸が傾いていることはもちろん理科で習ったので知っていた。だけど、地軸がなぜ傾いているのだろうと、今まで考えたことがなかったことに気づく。
些細なことも、「なぜ」を考えると、意外にわかっていないことが多い。ファラデーのロウソクの講義のように、「なぜ」を考えることで世界は拡がるのである。

全てがつながっていくという感覚

「ロウソクはなぜ燃えるのか」と言う謎から出発し、ロウソクの原料、ロウソクの燃焼で起きていることなどを、実験を交えて分かりやすく解説していく。
最終的には、ロウソクで起きていることは、私たちの体の中でも起きていると言う話にまで展開していく。

私達の体も、酸素を取り込み、栄養である炭素を燃やし、炭酸ガス(二酸化炭素)を放出している。この出された炭酸ガスは、地球上の植物の成長のために使われる。大気は私たちにとっての「悪」であった炭酸ガスを「善」として必要とする植物に運ぶ。炭酸ガスは私たちには疾患をもたらすが、植物には健康をもたらす。

「ロウソクの科学」が教えてくれること より出典

一つのなぜを解明すると、それが地球全体、宇宙全体の普遍的な法則だったりする。それがまたなんとも感慨深く、面白い。
ロウソクの燃焼が、人間の呼吸で起きていることと同じであり、酸素や炭酸ガスは、地球全体で、絶妙なバランスのもと、循環しているのである。

「なぜ」を感じにくい世の中で

現代は、「なぜ」が生まれにくい世の中だと思う。なぜ、ロウソクは燃えるのか、そんなことは当たり前だ、分からなくても生きていけるし、パソコンでググればすぐに答えは見つかる世の中である。

それでも、子供達には、いろんな「なぜ」を感じてもらいたいものである。
我が家の夕食時、今日一日でなぜ?と思ったことを発表することを提案してみた。
小1息子が「なぜ、信号が赤とか青とかに見えるのだろう」
小4娘も「なぜ、おいなりさんは、さんをつけて言うのだろう」
と、発表してくれた。なぜって聞く時の子供達の目は輝いている。

ちょっとだけ喧騒な世の中から離れて、純粋に「なぜ」を感じてみたいなと
思えたそんな良本であった。
いじょう!

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