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おれらのうた。

これから何回かに渡って、複数のアーティストについてのコラムを書くのですが、まず知っておいて頂きたい「おれら」という概念があり、これについて個別のエントリで説明してしまうと、文字数が多くなってしまい、読者の方の負担になってしまう可能性があったため、まずコチラだけ先にUPいたします。

「おれら」という概念

OZZYの中にある概念の一つに、「おれら」というものがあります。
コレクトに言い表すのが難しいのですが

・学校では目立たない
・なんなら不登校
・帰宅部。あるいは文化系の部活。
・勉強はできる方ではない場合が多い
・さりとてスポーツも微妙
・とはいえヤンキー文化には馴染めない
・そういったものを補強するために、文学やサブカルに走る
・劣等感と自意識を拗らせている
・厭世的でありながら、変にお人よし
・人といると疲れる。一人が好き
・でも寂しい
・でも人と接するのが苦手。どうしたらいいかわからない。
・キラキラした世界が苦手
・青春に良い思い出がない
・成人式には出なかった
・リア充は爆発すればいいと思っている

いわゆる、青春時代にキラッキラした思い出が一切ない人というか、むしろ思い出したくもない人というか、思い出すと死にたくなる人というか、ヘドロのような自意識と自己嫌悪と自分を取り巻く世界への怨嗟とで、ドロッドロになっている(いた)人というか……実はそれって昔のOZZYそのものでして(成人式には出ましたが)、そんな過去を持っていたり、今現在それを拗らせているひとたちを「おれら」と総称しています。

きっと少なくないと思うんですよ。
むしろ、サイレントマジョリティなんじゃないかとすら思います。
モヤモヤと燻る何かはあるけれど、「夜の校舎窓ガラス壊してまわった」り、「盗んだバイクで走り出」したりできない、ごくごく「ふつう」に見える少年少女。そして、かつてそんな少年少女だった人たち。

それが、OZZYの考える「おれら」です。

amazarashiのようなバンドが一定の評価を得ているのがまさにその証左ですし、「おれら」の側のアーティストは他にも、大槻ケンヂや大森靖子、神聖かまってちゃん、銀杏BOYZ、そして最も成功した「おれら」であろう、THE BLUE HEARTSなどがいます。
彼ら彼女らの曲がこんなにも「おれら」の胸を打つのは、彼ら彼女らもまた、「おれら」の一人だからだと思うんです。
当事者でなければ読み解くのが困難な言葉というのがあって、そういった言葉が歌詞やインタビューでの発言、著書等の中に結構出てくるんですよね。

おれらのコトバ

では、「おれら」でないとわからない言葉ってどんなものがあるかというと、こんな感じです。

大森靖子と神聖かまってちゃんのヴォーカル、の子のコラボ曲、「非国民的ヒーロー」には、こんな一節があります。

僕の部屋だけバグってる 夜も昼もうまく来ない 君を太陽にして無理矢理起きてる
だけどね 君が努力しちゃったら 二度とね 僕じゃ届かなくなっちゃいそうだし

この一節に、この曲の主人公が置かれた状況と彼(彼女)の青春時代、その中で形成された精神性が集約されています。
昼夜のない生活(おそらくひきこもり)の中で、唯一の「太陽」である彼女(地下アイドル?)に光を見出しているけれど、彼女が努力して売れていってしまえば、僕の届かないところへ行ってしまう(だからこのままでいてほしい)。
という、非常に幼稚で身勝手でしょうもない願望なのですが、それが叶わぬものであることを、誰よりも主人公が理解しているのです。諦念と開き直りを行き来する心情がよく描かれた一曲です。

神聖かまってちゃんの「33才の夏休み」などは、全編にわたって「おれら」感の溢れる言葉で埋め尽くされています。MVの映像も、胸が痛くなりそうなシーンが多々あります。あとドラムスのみさこちゃんが可愛いですよね。あとsquierのストラト、壊すなら僕にください。

一方で、メッセージ自体はシンプルで、言語としては誰でも理解できるものの、刺さる人と刺さらない人が分かれそうな「ことば」もあります。

欅坂46に楽曲提供された「サイレントマジョリティー」は、全編とおして難解な表現は使われておらず、聴く人によっては刺さらないばかりか気恥ずかしささえ感じるかも知れません。これは「おれら」的にいうと、「何を言うかよりも誰が言うか」というところで、大森靖子が言うから、大森靖子が欅坂に託した言葉であるからということが、やはり大きい。
大森靖子がこれまで「おれら」と築いてきた信頼関係があればこそ、あまりにもストレートすぎるメッセージを「本気だ」と信じることができるのです。
だって彼女は「おれら側の人」だから。

【2019.12.23追記】
「サイレントマジョリティー」は、秋元康氏のものを靖子ちゃんがカヴァーしたものというご指摘を頂きました。ここで訂正しておきますね。

あまり沢山紹介してもなので、このあたりで個々のアーティストへの掘り下げは止めますが、なんとなくご理解頂けたでしょうか?

この概念を踏まえて頂いたうえで、いくつかアーティストに関するエントリをUPしていく予定です。

サポート頂けましたら、泣いて喜んで、あなたの住まう方角へ、1日3回の礼拝を行います!