見出し画像

M3を買った話

 この前、なんとなくフィルムカメラを探しに銀座のカメラ屋を何軒か覗きに行きました。

 大通りに面した老舗に入った時、目の前のショーケースのM3達に目を惹かれました。
もちろん、その時は買うつもりはなくただなんとなく腕を組んでジーッと見ていました。すると、ベテランの店員さんが「触ってみる?」と、一台見繕って出してくれました。

 それが、我が家のM3との出会いでした。

 カウンターの前に案内されるや否や、ベテラン店員さんの怒涛の解説が始まりました。最初は話半分(失礼)だったのですが、なんだかとても楽しそうに昔話を交えてM3を解説してくださるので、だんだん私も引き込まれていくと共になんだか買って帰らないと後悔しそうな、そんな気がしてきました。

 そんな気が確信に変わったのは、初めてファインダーを覗いた時でした。

 M3のファインダーは最高傑作だなんだという話はよく目にしますが、それを抜きにして、ファインダー越しに見えた銀座の街並みに、なんだか脳天をズバッと突かれたような感覚がしたのです。

 しかし、問題がありました。

 当たり前ですが、それなりに状態が良いM3にレンズを付けて買ったら30万コース。月の手取りが全部吹っ飛びます。というか、私は現在お小遣い制なので半年分以上が一気に飛びます。でも、「買って後悔」がモットーなのでそこは曲げじとお迎えすることを決めました。

 帰り道。

 手にはM3とエルマーの沈胴式レンズが入った紙袋。

カモフラージュ(?)もバッチリな紙袋



 嬉しさとやっちまった感と資金繰りの恐怖が複雑に絡み合っていた私はどんな表情をしていたのでしょうか。

 そんな、サラリーマンとライカM3の出会いでした。

月給分のM3を畳に直置きしてました。
なんたる無礼。


 その後、もっと大きな決断をするとはつゆ知らず…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?