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一箱古本市に出店しました

本日は、一箱古本市に出店してきました。
今まで何回か出店しているんだけど、いつも準備がバタバタになってしまう。
なんで、余裕をもって支度できないのか。
昨日も、持っていく本に値段をつけ、タイトルを隠したシークレット本につけるポップを遅くまで書いていた。

お店の様子

今回は室内での開催だったので、風の心配をしなくていいのが有り難かった。
読み終わった本、面白そうだなと仕入れた本、シークレット文庫に、地元の島のZINE。

冷蔵文庫さんの記事をネットで読み、面白そうだなと思っていたので、今回は初めて用意してみた。
告知が遅れてしまったので、今、本ないんだよという人もいて申し訳ないな、と思ったけど、みんな開けて楽しんでくれていたので良かった。

途中から、冗談で「本、冷えてます」の貼り紙をしたら、「本当に冷えてるのかと思った!」と仰る方もいた。

「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」という、大前粟生さんの小説をもっていったんだけど、通りすがりのご婦人が、不思議そうな顔でタイトルを眺めていたので、声をかける。

「ぬいぐるみとお喋りする部活に入っている、男の子と女の子のお話なんです」と、超ざっくりした説明をすると、「ぬいぐるみとお喋りする部活なの?」と、不思議そうな顔のまま、「ぬいぐるみとお喋りする人はやさしいのかしら」と呟いて去っていった。
気にしたことはなかったけど、確かに面白いタイトルだよね。

島の話をしてみたり、冷蔵庫の説明をしてみたり、今日一日で一か月分くらいはお喋りした気がする。
お笑い芸人さんって、プライベートでは物静かな方も多いときいたことがある。
本当かどうかはわからないけど、本当だとしたら私は彼らの気持ちがわかる気もする。
スイッチの切り替えなんだろうな。

私も、普段職場などでは必要以上に喋らない。
だけど、古本市で店番をする時や、映画館のボランティアの時は、スイッチが入ったように口が動く。出囃子はならないが、「はいどーもー!うみねこ書房でございます!」って感じである。
職場の人とかが偶然見かけたら、「ぽん子めっちゃ喋れるじゃん」と驚くことだろう。

私が古本市に出るのは、本が好きっていうのもあるけど、本を通して色んな人とお喋りできるのが楽しいからだと思っている。

直接お話しはしなくても、買った本を読んで、何か思ってくれたのならば、間接的にお喋りしたようなものだとも思う。
かつて、その本を読んでいた私と、私のところから本を買ってくれたその誰かが、ゆるく繋がったっていうのかな。うまく言えないけど。

シークレット文庫に、村上龍の「69」を入れた。
主人公と同じ、17歳のときに読んだ本だ。
「一生俺の楽しい笑い声をきかせてやる」という一文が好きで、苦しい時や、悪意を向けられた時に、時々思い出していた。

そんな感じのことをポップに書いて置いてみたんだけど、ちょうど当時の私と同じくらいか、少し若いくらいの男の子が、その本を買っていった。

その男の子と会うことは多分もうないだろうし、彼が本を読んで何を思うかは自由だ。
だけど、自分がその子と同じくらいだった頃を思い出して、彼が楽しく暮らしてくれたらいいな、と勝手におせっかいなことを思ったりもした。

好きなものとか、好きなことがあると、そのことが色んな出会いを連れてきてくれると思っている。
今はそんなことなくても、好きなものを好きだと言い続けていれば、いつか一人くらいは、私もそれ好き、と言ってくれるんじゃないかと思う。

友達がいなくて、一人で図書館で本を読んでいた私や、誰にも読まれない日記を10冊くらいずーっと書いていた私のことを振り返りながら、そんなことを考えている。




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