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日々よしなしごと~能を観る楽しみとか~

まさか、この私が能鑑賞をするようになるなんて、正直自分でも笑っちゃう。これも年の功のひとつなのか・・・


先日、初めて東京の国立能楽堂にて能鑑賞をしてきた。ある新聞社の企画で、一つの演目を違う解釈で、違う演者が舞うというもので毎年この企画を実施していて今回は17回目だそうな。
それまでもその案内はデカデカと広告されていても、気に留めることもなくスルーしていたのだな。
しかし、今回はめっちゃ食いついて、これは絶対に行こう!と思って、即オンラインでチケット申し込みしたのだ。

能に関心を持ったきっかけはこのnoteでも書いたが、一昨年京都での薪能鑑賞のツアーに行ってからだと思う。その時は、京都で、平安神宮で薪能なんて雅でいいなあ・・・という程度の関心だったが、ミニレクチャーを受け鑑賞したらとても感動した。それから能への関心が高まった。
その後、当地での薪能やら、能が趣味の知人に教えてもらった金沢の能会をいそいそと見に行ってはため息をついていた。
これまで見てきたのは「隅田川]とか「野宮」とか、シテ(主人公)が女性なので感情移入しやすかったというのもある。
もうめっちゃミーハーなのですわ・・・

能のもう一つの魅力は、舞台の造形そのもの。これも究極にシンプルで仕様が決まった設計であり、地謡や囃子方の場所も厳密に決められ、舞台への上がり方、舞台上でどのようにふるまうかも厳しく決められているみたい。
そういえば、流派によって地謡の方たちの所作も違うことも気づいた。
いずれも整然とキレイなのは言うまでもない。
日本の芸能ってやっぱり型なんだよね~と思いつつ
そんなことにいちいち胸キュンになったりして・・・笑

世間一般には「能鑑賞」というと、ものすごく教養高くて難解な芸術を理解する高尚な趣味を持った人・・・と思われるだろうし(思わないか)、私だってつい最近まではそんな風にイメージしていた。能鑑賞が趣味と聞けば、なんだか後ずさりしつつ、若干皮肉と羨望が混じったような感じのリアクションになったかも 笑

そんな私も、当店の企画でやっている「枕草子」の読み解きなどやっていると素直に日本の古典に興味が湧いてきて、能にも関心が向いてきたわけで。
ていうか日本の古典に興味が湧いてきた?

最初は能鑑賞の「作法」もよくわからない、いつ始まり、どんな物語でどんな展開でどんな風に終わるのか・・・これは何度か見れば、なんとなくわかってくるし、謡曲も正直聞き取れるのは少しだけ。謡本(舞台で謡われる内容を書いたもの)を読みながら見ている人もいるけど、やっぱり舞をしっかり見ている方がいいかなと、分からないなりに思う。

能らしい極限までそぎ落とした静かでゆっくりとした動き、感情を表す型や、手や足の動きの美しさ。
シテ(主人公)が女性の場合には、もちろん男性の演者が女の面をつけて舞うのだが、先日見た「野宮」の六条御息所は本当に悲し気な女性に見えてくるのが不思議だった。

自分がこれほど熱心に、時に涙したりため息もつくほどに能に魅せられ楽しむことができるなんてねぇ・・・
きっと自分の中に新しい世界を受け入れる奥行ができたのかもしれない。
まだまだ知的な好奇心はあるけど、本当に好きだなと思う傾向が分かってきた。だから時間とお金は本当に好きなものに使おう!

これから長いとは言えない人生としても、この年になって胸がときめきドキドキするようなものを発見するのは、やっぱり楽しい!

今のはやりの言い方で言えば「能ガール」とでも言っちゃおうかな 笑
もうひとつふたつ萌え~なものがあるけど 笑
それはまたね。




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