見出し画像

no.30 ミッションインポッシブル〜義母の葬儀(その2)嫁、義母を運ぶ

ともあれ、葬儀社との契約は済んだ。
次は、自宅葬の準備である。
葬式は義父母の部屋で行なうことにした。が、ここで問題発生。

義母を安置するスペースを確保するには、介護用ベッドを撤収するしかなく、しかも、そのベッドにはまだ義母がいるのだ(汗)

レンタル会社に電話をすると、「すぐに引き上げに伺います」とのこと。
が、そうなると、すぐさま、ベッドを空けなくてはならない…(汗)

葬儀社の女性スタッフと夫と私とで、あたかも、ピンチの場面でマウンドに集結するバッテリーと伝令みたいに、これからの手順を話し合う。

まず、義母をベッドから下ろす。
レンタル会社の人がベッドを引き上げたら、ベッドのあった場所に義母を移動する。作業をするのは、葬儀社の女性スタッフと、夫と、それから私。
以上を確認し合い、各々持ち場に着く。

はじめに、棺布団という納棺用の布団の敷布団の方(幅が普通の半分くらい、薄く、左右に3箇所ずつ持ち手がある)を葬儀社の女性スタッフが義母の体の下に滑り込ませた!と、思う。
そのあと、葬儀社の女性スタッフが「失礼します」と言って、ベッドに上がった!ような気がする。
私の記憶は、この辺りが切れぎれになっている(汗)
葬儀社の女性スタッフは、棺布団の持ち手のうち頭の方の左右の持ち手を、夫が右側の真ん中と足の方の持ち手を、そして、私が左側の真ん中と足の方の持ち手を持った。
それから、互いに目で合図を送り合い、呼吸を合わせて、義母を乗せた?棺布団を持ち上げ(義母がハンモックの中の人のようになっていた気もするが、定かではない)、義母の方は見ないようにして(とても見れない)、水平に移動。どうにか、義母をベッドから下ろすことができた。義母が軽くて助かった(汗)

それにしても、いかなる宿縁でもって、この場に居合わせ、この難儀な作業を共にすることになったのか。一瞬、感慨にふける。
葬儀社の女性スタッフ、若いのにしっかりしている。とても感心した。(心の中で拍手)

直後に、レンタル会社から女性スタッフが二人来られる。
大急ぎで防水シーツ、マットレスのカバー、義母の頭を守っていた座布団を外していると、お二人とも、部屋に入る前に膝をついて、お悔やみを言ってくださる。

これは、ケアマネ氏、医師、看護師、訪問看護師、葬儀社のスタッフ、皆そうだった。
このような型通りの挨拶、お悔やみの言葉に、慰められていることに気づく。

二人の女性スタッフは、義母の傍らで(作業しづらかったと思う)、工具を使い、素早くベッドを分解、搬出された。プロフェッショナルな仕事ぶり。

私たちは、義母をベッドのあった場所に移動。葬儀社の別のスタッフが、机飾りを整えてくださる。

義父は静かに義母の傍にいた。
慌ただしかった一日が終わろうとしていた。


在宅介護*観察日記『義母帰る』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?