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あなたの「失われたモテ」は何ですか?

 自分の頭の中にぐるぐるとめぐる思考や想いを大人になってからうまく表現できていない。私のよくない癖なのだけど、いつもお手本を参考にし、それに沿った意見や振る舞いをしていたな。
だから、このnoteでは素直に自分の気持ちを表す場にしよう。完璧じゃなくていい、格好つけない、キラキラしなくていい。自分の話を書こう。こんな想いにさせてくれた本をMy Book Reviewの1発目にご紹介したい


私と本との出会い

私はこの春に職場での人間関係をきっかけに休職をした。休職に入る前、大学の先輩がこの本を私に勧めてくれた。突然の紹介だったので、最初は?な状態だったが、先輩が読み上げる、あとがきの文章に私は惹きつけられた。あとがきには著者の黒川アンネさんが今回書籍化されたエッセイの連載前に決意したことが書かれていた。

自分に課したのは、誰かや他の人の話をするのではなく自分の話をすること、その時々に自分がいちばん書きたくないと思っていることを書くということ

失われたモテを求めて、あとがきより

 自分の中の黒い、モヤモヤした気持ちを言語化したいと思っていた私は、黒川さんが”自分がいちばん書きたくないと思っていること”をどのように書いているのか?が気になり、本を手に取ってみた。

モテって一体なに?

 『失われたモテを求めて』は都内で編集者をしている黒川アンネさんのエッセイである。30代の彼女は体形や年収を周囲から馬鹿にされ、「誰かに選ばれた、好きになってもらった、という記憶がない」と語る。この本では黒川さんが「モテるとは一体何か?」を様々な角度から分析する。「モテる」は恋愛だけの言葉ではない。「モテる」を「他の誰かから選ばれる」経験と置き換えれば、それは就職活動や昇進等のキャリアにも関わってくる。本書では恋愛だけではなく、キャリアや女性としての選択(卵子凍結等)をテーマに、黒川さんの黒歴史や傷も赤裸々に折り込みながら、新たなモテ概念を提言していく。

選ばれるだけがモテる、ではない

 私のお気に入りのエピソードは就職活動についてだ。なかなか就職先が決まらない黒川さんに友人は「自分のせいでしょ」と言う。面接を受けた企業は個人の能力ではなく、見た目や扱いやすさから学生を選ぶ。企業からの否定の連続によって、「選ばれたい」という執念に似た気持ちを抱くようになっていった。日本社会のルールを理解し、選ばれるために必死になってしまう自分に心当たりがある人は多いのではないだろうか。そんな当時を黒川さんはこう振り返る。自分に欠陥があったわけではなく、日本社会のルールに適さなかっただけだった。そしてこう続ける。「あなたはとても素晴らしい人で、ちゃんと評価もされる日がきます。どうか視野を広げてみてください」と。

 私はこの本を2回読んだ。1回目は黒川さんのモテ提言をちゃんと理解できなかった。しかし、2回目はブックレビューのために腰を据えて読んだことろ、”自分がいかに「他者から選ばれること」に執着をしていたか”ということに気づかされた。転職時には”選ばれるのか?” という不安に襲われる。また就職が決まった後は、”選ばれたからには、求められる姿にまずはなろう”と必死に頑張ってきた自分を見つけたのだ。その”選ばれたい、選ばれたからには頑張る”根性が私を蝕む。でも黒川さんは違う。彼女が培ってきた教養や語学力を武器に、会社が無名であっても、海外の出版社と堂々と交渉し、信頼を勝ち取り、関係性を築く。彼女は語学や文学が好きで、この道を選択した。自ら選んだのだ。その結果、今の彼女ができた。私にとってその彼女の姿が眩しく、改めて”自分のなりたかった姿は何か?”を考えるきっかけになった。選ばれるだけがモテる、というわけではない。まずは「自分が選ぶこと」、「自分を大切にすること」からモテはスタートしていくのだ。

まとめ

 「モテ」という一見キャピキャピした言葉がキーワードであり、著書は30代女性、黄色の水玉のポップな表紙にキラキラ女子像が思い浮かぶ。しかし、実際は自信をなくしてしまった、自分を変えたいと思う大人女子に寄り添い、背中をそっと押してくれる1冊だった。本を読み終わった後、私は早速ライティングの講座に申し込んだ。自分の黒く、モヤモヤした気持ち、この厄介なものと向き合うための準備だ。私も自分のことを語ろう、一番書きたくないことを素直に綴ってみよう。そして、もう一度、もう一度だけ、なりたい自分に向き合ってみよう、そんな勇気をこの本は私に授けてくれた。

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