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世界の期待を集める日本を分断する者達


2022年07月30日

政治 時事

今日はこの話題です。


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目次

  1. アメリカは日本の軍隊を正当化する動きを支持すべき

  2. 世界の民主主義国家は不安定な状況にある

  3. アベガーの次は「分断ガー」




1.アメリカは日本の軍隊を正当化する動きを支持すべき



参院選を終え、改憲4党で憲法改正の国会発議に必要な参院の「3分の2」にあたる166議席に達したことで俄かに注目を集めている憲法改正論議ですけれども、7月11日にアメリカのリベラル派の大手新聞「ワシントン・ポスト」が社説で、「アメリカは日本の軍隊を正当化する動きを支持すべき(The U.S. should support Japan’s move to legitimize its military)」という記事が掲載されました。

その記事の概要は次の通りです。

・安倍晋三元首相が金曜日に狙撃され、日本中が衝撃に包まれたことを表現するのは難しい。また、日本の民主主義が見事に回復力を発揮したことを、他の言葉で表現することは困難である。

・悲劇からまだ立ち直れない有権者が、日曜日、日本の参議院の新議員を選出するために大勢集まった。

・日本とその民主主義を守ることは、2006年から2007年、2012年から2020年の2期にわたって首相を務めた安倍氏自身のキャリアを定義する使命であり、後者は歴史上最も長いものであった。

・安倍氏は辞任後も、与党自民党の政治的影響力のあるリーダーであり続け、その与党候補の選挙運動で攻撃された。

・アベノミクスと呼ばれる積極的な景気刺激策で低迷する経済を立て直し、米国、インド、オーストラリアとの関係で「インド太平洋」(日本の通貨)に対する新しい戦略的ビジョンを明確にし、日本の軍事的近代化を図ることで、第二次世界大戦後の日本の発展を守るためには、それを更新しなければならないと安倍氏は考えていた。これらはすべて、中国の台頭と台湾への脅威、そして北朝鮮の核の潜在力に対抗するために必要なことだと安倍首相は考えていた。

・安倍氏が亡くなるまで、安倍氏もその後継者も、この計画を完成させることはできなかった。

・環太平洋パートナーシップ自由貿易協定は、米国と日本、そして他の9カ国の経済をより密接に結びつけるものであった。しかし、ドナルド・トランプ氏は安倍氏の積極的な働きかけにもかかわらず、大統領としてTPPを頓挫させ、バイデン大統領も復活させることはなかった。

・しかし、もう一つの重要な点として、日曜日の選挙は、日本の軍隊の合法性を明確にするために75年の歴史を持つ憲法を改正するという安倍氏のアジェンダを前進させた。

・支持者は、国民投票を経て憲法を改正するために必要な衆参両院の3分の2の議席を獲得している。第二次世界大戦後にアメリカの監督下で起草されたこの憲法は、「永久に戦争を放棄し」、「陸海空軍」を維持することを「決してしない」と約束する。しかし、日本は25万人の「自衛軍」のために年間約500億ドルを費やしているのだ。

・米国や他の民主主義諸国は、民主的な日本の軍事力の正当化を支持すべきである。

・確かに、日本の多くの人々は、軍国主義が残した恐ろしい遺産を認識しており、この考えにまだ反発している。韓国や中国には日本統治時代の苦い思い出がある。そして間違いなく、改正案への支持は、安倍氏が長年代表を務めてきた日本の保守的なナショナリスト界隈で最も強いのである。

・とはいえ、この改正案は、日本が陸海空軍を保有しているという、すでに現実となっていることを合法化するだけである。

・これは戦争放棄を無効にするものではなく、日本の集団安全保障支援を促進し、場合によっては台湾の防衛を含むことになる。

・21世紀の日本は国際社会の信頼できる一員であり、その安全保障への貢献は、ロシアがウクライナに侵攻する前よりもさらに必要とされているのである。

・安倍首相はあまりにも早く去ってしまった。彼が日本と世界に与えたインパクトは、忘れられてはならない。


このように、日本の自衛隊を合法化、すなわち憲法改正するよう促しています。


2.世界の民主主義国家は不安定な状況にある



このワシントン・ポストの社説について、7月26日のニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演した地政学者の奥山真司氏は、次のように解説しています。

奥山)この記事を読んで思うのは、アメリカが「日本に早く貢献してくれないと困る」と言っているということです。しかも、アメリカのリベラルメディアです。安倍さんのようなナショナリストには厳しい見方をする方々なのですが、そういう人たちが「日本、頑張ってくれ」と言っている。その背景が恐ろしいなと思います。

新行)恐ろしい。

奥山)それは世界の民主主義国家・先進国が、どこも不安定な状況にあるように見えるからです。

新行)世界の民主主義国家が。

奥山)例えばスペインは現在、非常に不安定な状況にあります。地方選挙が行われたのですが、来年(2023年)はもしかするといまの首相が危ないかも知れない。また、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も政権発足からうまくまとまらず、支持率が大きく落ちています。

新行)不安定ですね。

奥山)フランスのマクロンさんは再選を果たしたのですが、そのあとの地方選でボロ負けしまして、「政権運営は大丈夫なのか」と言われています。

新行)フランスも。

奥山)アメリカに至っては、先日話を聞いて驚いたのですが、カリフォルニア大学アーバイン校に「暴力阻止センター」というところがあるのですが、そこが調査した結果によると、アメリカ人の有権者の50.1%が「これからアメリカで数年以内に内戦が起こる」と答えているのです。

奥山)それくらい政治分断が厳しい状態にあると見ているということです。世界の民主主義国家が政府に対して不満を持っているし、主要政党に対しての信頼が落ちていて、「それでは少数政党の方に行こうか」と。現状の政治体制に不満を持っているのです。

新行)政治体制に。

奥山)日本では暗殺事件はありましたが、その数日後に選挙をして与党が大勝した。その上、ここ3年くらいは、地方選はありますが大きな選挙はなく、岸田政権の自民党体制は盤石です。経済的には落ち込んでいる部分もありますが、民主主義国家で政権運営がここまで安定している国は、世界を見渡してもありません。

新行)民主主義国家のなかで。

奥山)そうなると日本への「憲法も改正してしっかりやってくれよ」という期待は大きいのではないでしょうか。

新行)日本国内を見るといかがですか?

奥山)期待に対して「自覚がない」ことが残念ですね。そこはこれから大きな問題として出てくると思います。

奥山氏はワシントン・ポストという"リベラル紙"が、日本に「世界に貢献してくれ」と促していて、その背景には、世界の民主主義国家・先進国が不安定になっていることが影響していると指摘しているのですね。


3.アベガーの次は「分断ガー」



奥山氏は世界の民主国家が軒並み厳しい政治分断にある中、ほぼ唯一日本だけが政治的に安定していると述べています。それゆえ、その分だけ世界が日本の貢献に期待するのですけれども、当の日本にはその自覚がないとも指摘しています。

ただ、そうは言っても、日本国内にも、何を考えているのか「分断」を煽る勢力が存在します。例えば、日本で起きているあらゆる問題は安倍元総理の責任だと主張する人達、いわゆる「アベガー」もその一つです。

安倍元総理の「国葬」について、一部有名人、マスコミ、野党などが反対していますけれども、彼らはこぞって「国民を分断させる」と叫んでいます。

東京新聞は7月20日の社説で「安倍氏「国葬」 国民の分断を懸念する」との見出し記事を掲載し、先日の参院選で返り咲き当選した立憲民主の辻元清美氏は「『国葬』に踏み切ることは、国民の分断につながりかねない」と述べています。

安倍元総理が存命中こそ「アベガー」と批判することが出来ていたのが、安倍元総理なき今、今度は「キシダガー」になるのかと思いきや、そんな声は聞こえてきません。

あるいは、彼らの目には岸田総理は"ステルス"となって映っていないのかもしれませんけれども、これについて、ノンフィクションライターの窪田順生氏は「アベガー」達は、安倍元総理の死を受けて、日本のあらゆる問題は「社会の分断」が原因だと主張する「分断ガー」へとアップデートしている印象を受けると述べています。

窪田氏は、「分断」の度合いでいえば、学生運動などが盛んだった1960~70年代の方がよほど深く、激しく対立していたと指摘した上で、NHK放送文化研究所が1993年から参加している国際比較調査グループISSPの調査でも、『対立している』が20年前(99年)と比べて減少しており、グループ間の対立意識は弱まる傾向がみられていると述べています。

窪田氏は、「日本社会の分断」なるものは、「分断を深めるな!」と騒いでいる人たちの頭の中でしか起きていなかったと述べ、「安倍政治が続いていたこの時期、我々の社会が深めていたのは、『分断』などといった大層なものではなく、『一部の人による安倍晋三という政治家への憎悪』だったのである」と斬って捨てています。

確かに世間から轟轟たる批判を受けている「朝日川柳」なるものをみても、「安倍元総理への憎悪」というのは十分に感じ取れます。

世界が、政治的に安定している日本を期待の眼差しで見ている中、こうした「分断ガー」の人達に無闇に煽られないよう注意したいですね。

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