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Twitterスレッド翻訳: @Volodymyr_D_氏によるウ露両陸軍の戦術比較


ロシアとウクライナの攻撃スキームの比較

春のロシア軍攻勢と9月のウクライナ軍反転攻勢を比較することにしました。その目的は、両軍に異なった結果が生じた理由を理解することにあります。


ロシア軍とウクライナ軍の攻撃戦術スキーム

ロシア:

この戦争の最初期からロシアの攻勢作戦は、主要高速道路と重要人口密集地に沿って行われました。ロシアの攻勢が重装甲車両に依存していることを考えると、これは理解可能なことです。

この戦争で、歩兵・航空・砲兵支援がまったくないままで、都市への突撃を試みる戦車隊列を目撃しました。これは完全に間違った戦略です。

このことは戦車の隊列が待ち伏せ攻撃されるという現実につながりました。大規模な部隊は、キーウ近郊で目撃したように、狭い進行地域において阻止される可能性があります。キーウ近郊での車列は数10kmの長さに及びました。

5月以降、ロシアはいくらか戦術を変更し、徐々に軽歩兵のグループ(主にルハンシク・ドネツィク州で動員された兵)による攻撃を用いるようになりました。この軽歩兵の任務は、あとに続く主力部隊の突破のために、防衛上の弱点を見つけることにあります。

この攻撃は集中的な砲兵火力を伴いました。5~6月、ロシアの砲兵使用はピークに達したようでした。この時期の砲撃数は、ウクライナ軍のデータを信用すれば、1日あたり5万~6万5千回に達しました。

しかし、ロシアの攻勢コンセプトに変更はありませんでした。ロシア軍の機動は、主要道路に沿って、ある集落から次の集落へと一つずつ進むものです。


ロシア軍の攻撃戦術スキーム

この戦略の欠陥は以下です。
① 軍事的損失の多さ(ロシア軍は多くの強襲を実行するが、その大半は失敗するために生じる)。
② 旧ソ連製野砲への高い依存。その結果、集約的な兵站と多数の弾薬庫が要求される。
③ 戦争の進展の遅さ(一回の攻撃では済まないので、ロシア軍は一つひとつの都市・集落に同じ手順の攻撃を繰り返す必要がある)。

これらのすべてが、7~8月に集中的な攻撃を続けるための十分な戦力を、ロシア軍がもはや持てなくなったという現実へと導きました。7月、ロシア軍はこの現実を“作戦的休止”と呼びましたが、のちにこの“休止”は後退に変わり、そしてハルキウ州からのロシア兵の逃走になりました。

ウクライナ:

ウクライナはロシアとはまったく異なる攻撃コンセプトを確立しました。多数の機動グループは、主要道路だけでなく森林や平原にある道路も使って移動します。これらのグループはロシア軍部隊間の“隙間を埋め”、補給線を断ち、局地的な包囲網を効果的に形成します。


ウクライナ軍の攻撃戦術スキーム

防衛線の突破後、攻撃第二波がロシア軍の複数の拠点を、さまざまな方向から攻撃します。これを実行するには、高度な協同行動・信頼できる通信網が必要となります。それは、それぞれの部隊が、互いの位置を把握する必要があるからです。

ロシアの情報能力と協同能力は極めて低い状態です。防衛線が突破されると、軍司令部は作戦状況を理解できないことが多く、かなり遅延して情報を受け取ります。それゆえ、多くの誤った決定をするのです。

しばしばロシア軍は、戦闘に参加すべきタイミングで後退します。そして反対に、後退すべきときに戦闘を続けます。後退時に多くの軍事的損失が発生するのは、このことが原因です。

結論:

装甲車両と火砲の量ではロシアはかなり優位に立ちます。しかし、これは兵站上の大きな問題を生じさせます。ロシア軍は大量の燃料と弾薬を必要とするのです。

この結果、ロシア陸軍は“扱いづらい”ものになります。貧弱な協働能力と情報能力、そして不十分な訓練度の兵員、それらは状況を悪くさせるだけです。

ウクライナ軍はロシア軍に比べて、かなり機動力があり、よく組織化されています。また、より優れた情報力を持っており、それにより戦況の正確な評価が可能になります。

しかし、装甲車両数が不十分なため、軍の大部分を軽歩兵で構成することになります。そして、軽歩兵は砲兵火力に対して無防備なのです(特に攻撃中においては)。

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