日本語訳：

• 黒海穀物イニシアティブ（BSGI）が機能していた期間、ウクライナの穀物輸出が順調だったことが、国際価格の押し下げと食料不安の軽減をもたらしていた可能性は極めて高い。このイニシアチブの期間に、3,200トンを超える食料が国際的な市場に届き、食料価格指数は2022年３月のピーク時から23%下落した。とりわけ開発途上国は価格低下がもたらす益を享受しており、それに加えて、ウクライナから穀物を直接輸入できることによる益も享受してきた。

• BSGIからロシアが離脱した結果、ウクライナの輸出は減少しており、このロシアの離脱は、戦争遂行を支えるウクライナ経済及びその経済力を弱体化させようとする明確な企てである。農業部門は戦前のウクライナ輸出の40%を占めており、現在においても極めて重要な経済部門である。なお、2021年は食料輸出で280億ドルの売上を得ていた。

• ウクライナは穀物を輸送するために、河川輸送・鉄道輸送・自動車輸送といった代替手段をうまく活用してはいる。だが、このような代替手段の輸送力が、黒海経由の輸出ルートに匹敵する能力をもっている可能性は低い。