本記事は、戦争研究所(ISW)の2024年3月16日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
アウジーウカ方面、ロシア軍の戦術変化
報告書原文の引用(英文)
日本語訳
アウジーウカ周辺で任務中のウクライナ軍大隊指揮官は、アウジーウカ付近においてロシア軍が、古典的なワグネル・グループ式歩兵主体「肉弾攻撃」を、装甲車両を用いた強襲に変えるという創意工夫をしており、そうすることで、ウクライナ軍に対する継続的な圧力を維持し、その圧力を増加させていると、3月15日に語った。このウクライナ軍指揮官によると、ロシア軍は複数の「師団」(各師団に所属する、完全戦力の兵員・装備を有していない可能性の高い部隊のことを指していると思われる)で攻撃を仕掛けているとのことで、ロシア軍はアウジーウカ方面において10対1の数的優勢を達成することを目指しているとのことだ。また、この指揮官は、ウクライナ軍がロシア軍の前進を遅滞させていると述べたうえで、情勢が安定していると自信をもって言うことはできないと述べた。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つの主張によると、アウジーウカ付近でのウクライナ軍の反撃は勢いを失いつつあるとのことで、ウクライナ軍は予備戦力を欠いている、もしくは、さらに後方の防衛線に退きつつあるとのことだ。だが、ISWはこの主張を裏付けるものを確認していない。一方、有名ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、アウジーウカ陥落後にウクライナ軍が「十分にすばやく」回復したと主張し、ウクライナ軍がアウジーウカ方面で数的優勢を得ていると断言した。しかし、アウジーウカ西方の戦術情勢が流動的であり続けるなか、ISWはこの主張も確認できていない。
アウジーウカ方面の最新戦況
(米国東部時間2024年3月16日15:00時点)
※地図中の❶と❷の日本語訳
3月15日投稿の撮影地点特定可能な動画によって、トネニケ[Tonenke]の西方でロシア軍が前進したことが分かる。
3月16日投稿の撮影地点特定可能な動画によって、ロシア軍がネヴェリシケ[Nevelske]を占領したことが分かる。