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"表"だけではなく"裏"までプロダクトマネジメントする

 プロダクトマネジメントには2つの世界がある。一つは、ゼロからイチ。もう一つは、イチから先。前者は「新規事業」であり、後者は「既存事業」の認識へと段階的に移っていく。

 新規から既存への認知的な移行は比較的時間をかけておこなわれるが、その本質は比較的早く移り進んでいく。事業が一定の成果をあげて、持続する段階に入ったところで、効率への最適化にモードが切り替わる。これは人の意図が介在せず、ほぼ無意識に取られると思って良い

 だからこそ、「次の価値」、「まだ見ぬ価値」を見出すには、意図的にその探索を行わなければならない。つまり、段階をはっきりと捉え、応じたマネジメントを取る必要があるということだ。

 この手のモード切り替えを人は得意としない。むしろ、判断と行動における負荷が続かないように、状況に対して「慣れ」、そして無意識のうちに「自動化」していく。昨日の判断を今日の判断に用いる。もちろん明日の判断にも。

 ゆえに、直感に反する「ねじれた判断」を意識的に取るタイミングが発生する。この負荷が非常に高いし、また周囲と合意形成するのに労力を要する。事業を安定化させようと躍起になっているところで、新たに価値探索を始めようという声がどれだけ受け入れられるか。「気が早い」と一蹴されやすい。

 このプロダクトチームにありえる「傾向」を踏まえて、プロダクトマネジメントには「不確実性を飼い慣らす」が必要あると考える。

 それはさながら「アンチフラジャイル」的である。「不確実性に揺さぶられないようにする」でも、「不確実性のゆらぎから元に戻れるようにする」でもなく、「不確実性の高まりを自ら作り出し、その効果を得る」。

 自ら、状況をゆらがし、展開を分からなくして、かえってそこから可能性を見出す。こうした判断が意識的に取れるチームは格段に強い。もちろん、必ず生まれる不確実性の「ゆらぎ」に対して、「負け切らないcapability」を宿しておくことが求められる。


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