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「上手く答えるための学習」 と 「問いを得るための学習」

 経験から学びを得て、自分の武器にする。皆さんも日々コルブの経験学習モデルを回しまくっていることと思う。

コルブの経験学習モデル

 このモデルを回転させる際のコツはいくつもあるが、まずは「具体的経験」に着目してみよう。何が役立つ概念にまで昇華していくかは事前には判然としないため、最初はとにかく経験の「絶対量」を上げる作戦を取ることになる。

 量は質を凌駕する。というか、量を上げる以外あまり手がなかったりする。質をあらかじめ狙って、量を限定できるとしたら、それはすでに学習が進んでおり、何かしらの手がかりを持っているということだ。つまり、対象とする領域について、既に何らかの経験があるかないかで、学習の方針は変わり、その期待結果も異なる。

対象経験による学習方針の違い

 経験がある場合は、すでに獲得している知識を手がかりに、「より上手くやるにはどうしたら良いか」を問いに置く。実践の改善、改良のために「必要となる経験」「資する経験」を選び、習熟に時間を費やす。

 一方、経験がない場合は、先の通りまずは絶対的な経験量を得る。ここで時間の使い惜しみをすると、限定的な経験をベースに置くこととなり、分が悪くなる。
 「経験」を次に活かすためには「ふりかえり」を行う。
・「何をやって何が起きたか」
・「何が良き状態・結果で、何がよろしくなかったのか」
といった問いをもとに経験の言語化を行う。最初のモデルに立ち返ると、このふりかえりで漠とした身体的経験を扱えるように、情報として整理するのが狙い。この情報をもとに、使える概念を作っていくことになる。

 ただし、得られた情報をすぐさま概念に持っていこうとはしない。持っていこうにも、まだふりかえりの結果は断片的なことが多いからだ。事実や感想、疑問など、様々な情報が混在している。

 ゆえに、まずは「問いを立てる」ことを行う。ふりかえりの結果を眺めて、疑問を得る。
・「なぜこのような状態結果となったのか(WHY)」
・「どのようにすればより良き結果となるのか(HOW)」
・「起きていることにどんな意味や価値があるか(WHAT)」
など、情報群を俯瞰しながら、掘り下げを行う。すぐに答えを出さなくてよい、まず眺めて、それから問いを置いていく。すべての情報がいきるわけではない。答える甲斐のありそうな「問い」を捉え直して、掘り下げを行う。

 こうして「上手く答えるための経験学習」と、「問いを得るための経験学習」の2通りが存在する。狙いが異なるため使い分けを行いたい。

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