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ソフトウェアと、プロダクトと、システム(系)

 前回、「つくる」の解像度を上げようという話を書いた。

 「ソフトウェア」という概念を、あえてエンジニアリングの視点に振り切らせると、「プロダクト」とは、ソフトウェアでその中核をなしつつ、ユーザーやビジネスという視点を組み入れる範疇ということになる。

 ここで、「いやいや、ソフトウェアにも当然ユーザーの視点があるでしょう」という見方が出てくるが、そこで「ソフトウェア」と「プロダクト」の境界をあいまいにすると、扱いがぼやけるため分ける。ここでは「ソフトウェア」とはエンジニアリングによって実現される何か、として置く。

 むしろ、そうしないと「エンジニアリング」そのものの強調が足りず、単なる一手段でしかなくなり、その他の目的(ビジネスほか)に押しやられることになる。

 その結果は、「ソフトウェア」としてはもちろん、「プロダクト」としての持続可能性を損なうなど、それこそ他の目的(ユーザーの利用)を果たせなくなる要因に繋がる。

 さて、プロダクトの先のイメージに、「システム(系)」が存在する。「時間」と「ステークホルダー」を加えよう。

 ここでいう「システム」とは、例えば「ヘルスケア」「医療」の領域は次のようなイメージだ。

 実現する「価値」に広がりがある。それゆえに、関係者・参画者(ステークホルダー)は増える。

「プロダクト作り」のその先にある「システム作り」

 「価値」を構造的に捉えたものが、「システム」である。その構造には多様なステークホルダーが関与することになる。そのすべてのステークホルダーを一元的にガンバナンスすることは現実的ではない。それぞれのニーズ、関心が異なり、その間のトレードオフも複雑に絡みあうからだ。

 とすると、この構造がより良き方向へと変わっていくためには、各ステークホルダーが自律的に動いて成り立つ必要がある。それぞれのニーズ・関心に基づき動きながら、それでいて全体の調和が系としての良き展開に繋がっていく状態。それを特に「エコシステム」という。特定のステークホルダーによる、特定の利益展開に根ざしたアプローチでは到達しえない(プラットフォームの限界)。

 「システム(系)」に行き着くのは、難しい。それゆえに、「システム」に関しても、Minimum Viableが適用できないか、というのが手がかりだ。

「プロダクト作り」のその先にある「システム作り」

 この一連の流れ、その間にある「移行」についてより解像度をあげていきたい。そんな話を、また行うつもりだ。


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