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「アジャイルとは何か」を説明する

 「アジャイルとは何か」ということを、先日語らせて頂いた。また、ずいぶんと根本に返った話を今更と思われるかもしれない。ただし、「アジャイルとは何か」、このことについて会話した相手は開発者、開発チームではない。日常で開発には携わらない方々だった。

 そうした方々に向けて、アジャイルなるものを語る。それがいかなる経緯で今に至り、われわれに何をもたらし、どこへ向かおうとする営みなのか。その本質を語ろうとするのは、簡単なことではない。それでも、このところそうした機会を積極的に作っている。

 私は、アジャイルに希望を持っている。

 私が寄せる希望とは、開発への変革以上に、仕事への向き合い方そのものの変革だ。かつて、さんざん開発の文脈で語り明かした「アジャイルとは何か」を、より広い文脈で捉えていく。「アジャイルに取り組むことが越境だった」時代があったが、今は「アジャイルの越境」を後押ししていく状況にある。

 アジャイルとは何か。様々な解釈、回答を呼び寄せる、この問いに対して、今回は次のように語った。

 実際の行動、現実のアウトプットによって、具体的な学びを得ることができる。この学びでもって、次の行動やアウトプットをより成果に近づけられる仮説や計画を立てる。(つまり、チーム自身もアウトプットも改善、変更する)この繰り返しによって、成果を引き出す試み。
 こうした複雑な動き(フィードバックサイクル)を実現するために専門性を持ったメンバーでチームで事にあたる(ゆえにマインドセットも期待する)

 決して熟れているとは言わないが、共通の文脈・背景が少ない者同士で理解を作っていくためには、分からないことを分からない言葉で説くわけにもいかない。

 加えて、スクラムの雰囲気については次のように示した。

 3つの原則を中心に、具体的な活動イメージを外周円で示している。これらの外周円の間にどんな強調があるかを補足した。4つある。

・チームによる協働
・アウトプットへのフォーカス
・広く深くフィードバックを集める
・協働と成果に繋げる仮説の立案

 最初に「チームによる協働」をあげているのは、アジャイルな営みのベースにあることだからだ。また、チームが最初に取り組むのは早速バックログを潰していくことではなく、まず互いを知る、というチームビルディングが何よりも始めにあるからだ。

 次に、「アウトプットへのフォーカス」をあげたのは、「何やら曖昧とした印象をそのままに回転運動をしていくことがアジャイル」なのではない、ということを強調するためだった。むしろ、検査適応を充実させるためには、つまり充実したフィードバックを集めるには、その具体的な対象がなければ始まらない。スプリントでの結果(アウトプット)を求めるからこそ、その先に成果(アウトカム)の気配を掴んでいくことができる

 そうして、「広く深くフィードバックを集める」ことで、次に向けた仮説の質を高めることができる。アジャイルは、次の判断、次の行動をより良くするための動きだ。今経てきたスプリントは、次のスプリントのために存在する。そのためには、スプリントを終えるときによりチームの協働や成果(アウトカム)を期待できる「仮説」が見出されていること。

 この回転から、われわれはより強いチームへの成長と、ワクワクするような成果への予感を得る。そんなことが可能だとしたら。ソフトウェア開発に限らず、広く私達の仕事にとって期待が高まる営みだと思わないか。

 アジャイルへの誘いは、続く。

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